負けて気づいた好調な夏。完封負けは今季まだ4度目、連敗するのも2ヶ月ぶり《阪神ファーム》
きのう17日の朝はとても涼しく、半袖シャツから出た腕が肌寒いほどでした。阪神甲子園球場で入場を待つお客様の、いつもと違った穏やかな顔を見ながら一路、ウエスタン・中日戦が行われるナゴヤ球場へ。さすがに名古屋は暑いだろうと思ったら、新幹線を降りた瞬間「え…涼しい?」とビックリ。また最寄駅から歩いて約10分、汗をかかずに球場まで行けました。ありえない!
人工芝のグラウンドはいつもの熱気ながら、ちょっと日陰に入れば快適そのものです。選手たちも8月のナゴヤ球場はかなりの覚悟で臨んでいたはずなので、少しホッとしたでしょう。よく考えたら、今季の名古屋遠征はこれが最後なんですね。タマスタ筑後も15日で終わったので、残るは広島の2カード(由宇、尾道)と、ソフトバンク2連戦の高知遠征、次のオリックス戦が最初に倉敷であるくらい。暑さとともに、ちょっと終わりが見えてきましたね。
さて、ナゴヤ球場で今季最後となる中日-阪神3連戦は、ドラゴンズの「ファンクラブ・スペシャルゲーム FARMDAY」として開催され、各種イベントのほかチームも限定ユニホームで戦っています。色は紺というより青に近く、お揃いの帽子のつば部分と上着の一部が赤。もちろんヘルメットも同じで、新しいからピカピカです。
完封負けで6月以来の連敗
試合は、序盤に福永春吾投手が5点を失い、打線は鈴木翔太投手らの前に7安打で完封負け。連敗となりました。点を取れないことも連敗も最近あんまり見ていないような…と思ったら、完封負けは6月2日以来です。しかも、今回を入れて全部で4試合(ソフトバンク戦2、中日戦2)しかありません。すごいですね。去年は6月までで無得点試合が8つ(そのうち0対0の引き分けが2)もあったので。
さらに連敗を喫するのも6月27日、28日のソフトバンク戦以来のこと。最多は4月6日から12日までの5連敗(1分けを挟む)でしたが、それ以外は3月に1度、5月に1度、そして6月に3度の2連敗があるだけです。それもすごいでしょう?まあ2位のソフトバンクも今季最多は3連敗で、それも2度だけ。なるほど、ピッタリくっついてくるはずですよね。
矢野燿大監督に試合後、これが2か月ぶりの連敗だと告げたら「あ、そうなん?それは……頑張るわ(笑)」とのことでした。きょう18日は飯田優也投手が先発しています。頑張ってください!
《ウエスタン公式戦》8月17日
中日-阪神 25回戦 (ナゴヤ)
阪神 000 000 000 = 0
中日 032 000 01X = 6
◆バッテリー
【阪神】●福永(7勝2敗1S)-尾仲 / 長坂-小豆畑(7回~)
【中日】○鈴木翔(1勝7敗)(7回)-福(1回)-谷元(1回) / A・マルティネス‐加藤(9回表)
◆三塁打 中:A・マルティネス
◆二塁打 中:井領2
◆盗塁 中:石岡(6)
◆打撃 (打-安-点/振-球/盗/失) 打率
1]中:江越 (3-0-0 / 3-1 / 0 / 0) .223
2]指:西岡 (1-0-0 / 0-1 / 0 / 0) .278
〃打指:緒方 (1-1-0 / 0-0 / 0 / 0) .280
〃打指:山崎 (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .314
3]右:高山 (4-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .270
4]遊:板山 (4-1-0 / 0-0 / 0 / 1) .292
5]三:今成 (4-2-0 / 1-0 / 0 / 0) .239
6]二:荒木 (4-1-0 / 0-0 / 0 / 0) .206
7]一:西田 (3-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .174
8]捕:長坂 (3-1-0 / 0-0 / 0 / 0) .266
〃捕:小豆畑 (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .136
9]左:島田 (3-1-0 / 1-0 / 0 / 0) .217
◆投手 (安-振-球/失-自/防御率) 最速キロ
福永 7回 112球 (9-3-2 / 5-5 / 3.67) 144
尾仲 1回 24球 (1-1-2 / 1-0 / 4.24) 144
《試合経過》※敬称略
先発の福永は1回、簡単に2死を取ったあと松井佑をショートの送球エラーで出しますが、野本は左飛に打ち取り、10球で0点に抑えました。しかし2回、阿部を三進に仕留めながら石岡に右前打され、7番・井領の左翼線二塁打で1点。石垣は三振で2死となるも、9番のA・マルティネスに右中間へのタイムリー三塁打。1四球のあと、2番・伊藤康にも右前タイムリー。この回、3点を失います。
3回にも先頭の野本に右前打、阿部は四球、石岡のニゴロで1死一、三塁となり、またしても井領の二塁打。今度はセンターフェンスに到達する2点タイムリーでした。2死後、A・マルティネスにも左前打されたところで高橋投手コーチがマウンドへ。それ以上は失点していません。
4回は三者凡退、5回は石岡の右前打と盗塁を許したものの無失点。6回は三者凡退。そして7回は小豆畑とのバッテリーで、1死球の死から野本に左前打されますが、阿部はニゴロ併殺打!3人で片づけました。福永は7回で112球を投げ、9安打5失点です。
8回は尾仲が登板。石岡と井領に連続で四球を与え、バッテリーミス(小豆畑の捕逸)で無死二、三塁のピンチを迎えるも、石垣の三ゴロでホームタッチアウト。1死二、三塁に変わってA・マルティネスの中飛を江越がランニングキャッチ!これで2死となった直後、溝脇に中前タイムリーを浴びてしまいます。
そして打線は1回、1死から西岡が四球を選び暴投で二塁へ。板山の右前打で生還を試みますが、これは余裕のタッチアウト。2回は先頭の今成がショート内野安打したものの併殺など3人で終了。3回も先頭の長坂が右前打で出たのに、後続が連続三振と二飛でチャンスを広げることもできず、4回と5回は三者凡退でした。
6回は2死から代打の緒方が右前打しただけ。7回は今成のショート内野安打と荒木の左前打が続いて1死一、二塁と久々に二塁へ走者を置いたけれど、やはり無得点。8回は中日2人目の福から先頭の島田が渋い右前打、江越は死球で無死一、二塁となります。しかし代打・山崎の打席でスタートを切った島田が三盗失敗(よって二塁へ進んだ江越に盗塁は記録されず)、山崎は二ゴロで2死ながら初めて三塁に走者を置いたのですが、高山は左飛で得点なし。
9回は谷元と加藤のバッテリーに対して三者凡退で試合終了です。
「淡々と投げて、あっさり打たれて負けた」
試合後の矢野監督は、福永投手のピッチングを振り返って、こんな話をしています。
「なんかこう淡々と投げて、調子が悪いからもうダメとかね、そういうふうに見えたのよ。諦めているっていうとあれだけど、きょうはもうダメなんだなと思って(投げていた)。彼らはまだまだ上っていかなアカンのに、そういう気持ちでピッチングしていてもよくならないやん」
「終わったことは切り離して、そこから行くしかないのに引きずっても…。それってメッチャ難しいことやと俺もわかってるねん。でも、そう(自分に)言い聞かせていくぐらい頑張らんと、頑張られへんと思う。それがないのが残念やった。でもある意味、4回から抑えられたことでアイツが何かつかんで、まあつかむまでいかなくても何か感じるものがあったかもしれんし」
悪い時も悪いなりに、ということですね。それには“相方”の力も必要だと矢野監督は続けました。
「調子がいい時って、ずっとは続かないやん。毎日調子いいならいいけど、こういう日もあるから。こういう日にどうするか。それは(長坂)拳弥も、バッテリーも含めて。調子のいいピッチャーなら誰が捕っても抑えるねん。よくないピッチャーをどうするか、調子の悪いピッチャーをどう勝てる方向へ持っていけるかがキャッチャーの仕事やと思う」
「きょうのバッテリーにそういうのを全然感じない。なんか淡々とやって、あっさり点を取られて、あっさり負けてるっていう感じがした。それじゃ1軍は遠のくわけだから。たとえば、ここまで2回、3回といいピッチングをして、きょうよかったから1軍に上がれるかどうかわからへんけど、この1回を今度また取り戻すのはメチャクチャ大変。次が1回よくても1軍に上がられへん。やっぱり常にそういう気持ちを持って、作っておくようにしておかないと進歩がない」
たった一度のマイナスが自身にもたらす影響は、思いのほか大きいということでしょう。取り返すにはその2倍、3倍のプラス結果が必要なんですね。でも気づけたら、その時点でもう半歩前進。今度は違う姿を見せてくれると思います。
不調も続投に感謝の福永、四球を悔やむ尾仲
高橋建投手コーチも福永について「4回からは“投げさせてもらったもの”ですよね。次につながるように監督がしてくれたから。きょうは覇気や元気が見られなかった。“頑張った感”がなかったのは残念」と話しました。
では福永投手本人のコメントです。最初に「序盤であれだけ点を取られたのに、長いイニングを投げさせてくれたベンチに感謝です」という言葉。反省と収穫を挙げるとしたら?「点を取られたところは、淡々と投げていたなあと反省しています。序盤が悪かったけど、どこかで切り替えて後半をゼロに抑えたところは何とか…収穫かなと」
やっぱり調子よくなかった?「はい。悪かったです。真っすぐ自体が走っていなかった」。確かに、普段は140キロ後半の球速が出る立ち上がりも、この日の1回は141キロ止まりでした。その後も140キロ未満が多かったですね。最後に「長いこと投げさせてもらったことに感謝して、次につなげたい。調子のいい日の方が年間では少ないと思うので、悪い時のピッチングを」と締めくくっています。
また8回1イニングを投げた尾仲祐哉投手は「毎回やっているので…フォアボール。何とか先頭だけは抑えようと思うんですけど、ほとんどのバッターに(対して)初球がボール。そこを何とかしていかないと、と思います。毎回、同じような内容ですし、修正しないと」とコメント。やはり先頭からの連続四球を深く反省していましたね。
打で見えた収穫、走の失敗は次へ
野手では唯一、島田海吏選手の話を聞けたのでご紹介します。8回、代わったばかりの福投手が投げた初球(142キロの真っすぐ)を空振り、そして2球目の変化球(107キロ)を捉え、うまくライト前へ運んだヒットでした。「結果を出すのに必死なんですけど、今はコンパクトにバットを内側から出して、直球にも変化球にも対応しようとしています。きょうはその形が出たかなと思います」
そのあと無死一、二塁で三盗を試みて失敗。これについて「スタートは悪くなかったんですが、途中でスピードの乗りが悪かったなと。乗りきらずにスライディングのところへ入ってしまい、スライディングもちゃんとした形でできなかった」と自己分析と反省がありました。
盗塁死は15となったものの、直前にあった14日と15日のソフトバンク戦(熊本・リブワーク藤崎台、タマスタ筑後)では1つずつ成功させて計24盗塁!もちろんリーグトップの島田選手。「きょうもスタートは悪くなかったので、ちゃんと根拠を持ってできるようにしたい」と言います。昨年、最後の最後でソフトバンク・釜元豪選手に1つ差で最多盗塁のタイトルを譲った、植田海選手の25個は目の前ですね。
<掲載写真は筆者撮影>