「マナー」「エチケット」「モラル」の違いは?
「マナー」「エチケット」「モラル」・・・いずれも社会で人と関わり合いながら生きていく中で、お互い円滑に気持ちよく過ごすために必要とされているもの。
この3つ、意味に重なる部分もあるけれど、概念や使い方には微妙な違いがあります。
具体的にどのように違うのか、改めて掘り下げて考えてみました。
1.マナー
さまざまな価値観や立場の人たちが共存する社会の中で、客観的にみて、社会全体で守った方が皆が気持ちよく過ごせるであろう行動・振る舞いがマナー。
たとえば「テーブルマナー」であれば、香水や柔軟剤など香りのキツイものを身につけて行かないことや、酔っぱらって騒いだり、お店の雰囲気を台無しにするような服装で行かないようにするなど、
レストランという場面において、食事を共にする人はもちろん、他のテーブルのお客様たちや、そこで働く人たちも含め、その場を共有する皆が快適に過ごすために必要な振る舞い方がマナーです。
2.エチケット
マナーが、電車内や図書館などで大きな声で会話をしないなど、不特定多数の人に対して、皆が気持ちよく過ごすための振る舞いである一方、
エチケットは、”いま目の前にいる相手が不快にならないための気遣い・心配り” です。
くちゃくちゃ音を立てて食べない、咳をするときはハンカチで押さえる、敬意を持った言葉遣いをする、など、一緒にいる相手への配慮ある行動がエチケットです。
フランス語で、ワインボトルに貼られているラベルのことを「エチケット」といいますが、「エチケット」はもともと、「張り紙」や「荷札」という意味の言葉。
その昔、きれいに手入れされた宮廷の庭が荒らされないよう、庭師が立ち入り禁止の「立て札」を立てたのがエチケットのはじまりとされています。
そこから転じて、宮廷に入る者がどのように振る舞ったらいいかを記した札や、宮廷内で守るべき作法のことをエチケットと呼ぶようになりました。
マナーとエチケットは重なる部分も多いですが、
「マナー」が、社会・集団・公共の場において、皆が快適に過ごすための振る舞いであるのに対して、「エチケット」は、”いま自分の目の前にいる人” や、特定の相手への気配りである点に違いがあると言えます。
3.モラル
「モラル」は「善悪のものさし」です。モラルがマナーと大きく違う点は、マナーが客観的なものであるのに対し、モラルは善悪の判断が「個人的な価値観や信念」によるものであるということ。
「モラル」は人それぞれの良心から生み出される主観的なものなので、個人の経験や文化的背景、宗教や時代によって変わってきます。
皆が安心して快適に暮らすために
マナー・エチケット・モラルは、「ルール」と違って、守らなくてもペナルティはありません。
どう振る舞うかは個人に委ねられているので、明確な罰則も拘束力もありませんが、振る舞い方によっては、良好な人間関係を築けなかったり、信頼を失うこともあるでしょう。
少しずつ意味の違う3つの言葉ですが、共通しているのは、いずれも、相手の立場に立った思いやりの行動であるということ。
安心・安全・快適な社会生活において、必要不可欠なものですね。
まとめ
◆マナー:社会集団、公共の場において皆が快適に過ごすための振る舞い方 (客観的)
◆エチケット:個人間において相手を不快にしないための気遣い(主観的)
◆モラル:個人的な価値観をベースとした善悪のものさし(主観的)
◆ルール:社会秩序を維持するために守るべき規則 (客観的)
日常なんとなく使っている、似ているけれど意味が微妙に違う言葉を調べてみると、その物事の本質が垣間見えることがあります。これからも色々な言葉の違いを取り上げていこうと思っています。