悪者じゃないよ!グリム童話のイメージとは違った日本に伝わる狼伝説紹介
オオカミといえば、世界中に語り継がれるグリム童話「3匹のこぶた」や「あかずきん」の物語に悪役として登場する動物です。
そのためか、一般的に悪者というイメージを持つ方も少なくないでしょう。
しかし、彼らオオカミも決して悪者としてだけ扱われてきたわけではありません。
今回は、オオカミが活躍した日本に伝わる「狼伝説」を紹介します。
◇神の遣い
古代日本におけるオオカミの存在は、神の遣いや聖獣として崇められる信仰の対象でした。
それは日本最古の歴史書「日本書紀」にも記載されており、現在の東京都青梅市にある「武蔵御嶽神社」にもひとつの狼伝説が語り継がれています。
◇武蔵御嶽神社に伝わる狼伝説
「日本武尊(ヤマトタケルノミコト)」が御岳山を訪れた際のこと。大きな白鹿に化けた邪神が現れ、日本武尊の行く手を阻んだのでした。
日本武尊は激闘の末に邪神を退治しますが、その後に濃霧が発生。目的地の方向が分からなくなり途方に暮れることとなります。そこに1頭の白いオオカミ「白狼」が現れ、日本武尊を正しい道へ導いたのです。
日本武尊は、この白狼に「大口真神」と名付け、御岳山の守護を命じたのでした。
◇ニホンオオカミ
今回紹介した伝説のほかにも、日本には狼にまつわる逸話が数多く存在します。
それらに登場するオオカミは、かつて日本に生息していた絶滅種「ニホンオオカミ」だと考えられており、現在では目にすることすら叶いません。
最後に確認されたニホンオオカミは、1905年に奈良県東吉野村鷲家口(わしかぐち)で捕獲された個体で、その後は生存が確認されず絶滅種として認定されました。
そして1987年、奈良県東吉野村小川(旧・鷲家口)に、ニホンオオカミの等身大ブロンズ像が建立されています。
種類は異なりますが、ニホンオオカミをイメージしようとしたときには動物園へ行くのもおすすめ。
北米の北西に生息するハイイロオオカミ「シンリンオオカミ」の勇ましい姿について、徳島県にある「とくしま動物園」をはじめ、全国各地にある動物園のうち複数個所で目にすることができます。
ぜひ、みなさんも行ってみてください。