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プロ野球ファームは“五輪中断”なし。ホークス笠谷俊介「初めて」14Kで連続完封!

田尻耕太郎スポーツライター
完封勝利を挙げた笠谷(筆者撮影)

 7月20日、ウエスタン・リーグ公式戦。福岡ソフトバンクホークスと広島東洋カープがタマホームスタジアム筑後で対戦した。

バレンティン6号含む2安打

【7月20日 ウエスタン・リーグ公式戦 タマスタ筑後 1174人】

広島     000000000 0

ソフトバンク 00000101× 2

<バッテリー>

【C】●矢崎(2勝5敗)、菊池保、高橋樹――二俣、白濱

【H】◯笠谷(5勝2敗)――九鬼

<本塁打>

【H】バレンティン6号

本塁打を放ったバレンティン(筆者撮影)
本塁打を放ったバレンティン(筆者撮影)

<スタメン>

【C】8大盛 4羽月 7中村奨 3クロン 9宇草 5堂林 D正随 6韮澤 2二俣

【H】6周東 8柳町 Dデスパイネ 5リチャード 9谷川原 7中谷 3野村 2九鬼 4増田

<戦評>

 プロ野球の一軍ペナントレースは“東京五輪中断”により、8月12日まで公式戦は行われない。しかし、イースタン・ウエスタン両リーグによるファーム公式戦は引き続き開催。20日から球宴明けの後半戦がスタートした。

 ウエスタン首位のソフトバンクは同5位の広島と対戦し、2-0で完勝した。

 先発の笠谷が9回を一人で投げきった。14三振を奪う4安打完封勝利だった。

 打線は六回、野村が冷静に押し出し四球を選んで先制。八回には途中出場したバレンティンが右越え6号ソロを放った。バレンティンは六回の打席でラッキーな右前安打を放っており2打数2安打だった。(了)

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7月無失点を続ける笠谷

笠谷俊介投手(筆者撮影)
笠谷俊介投手(筆者撮影)

 ソフトバンク先発の笠谷俊介投手が素晴らしい投球を見せた。

 初回先頭打者に内野安打を許したが、その後は五回1アウトまで一人の走者も許さなかった。

 この試合で唯一のピンチは1点リードで迎えた七回だ。先頭打者が味方失策により出塁して二塁に進まれた。続く打者にこの日唯一の四球を与え、送りバントもあり1アウト二、三塁とされた。

 左腕のギアが一段階上がった。「三振を狙いに行った」。堂林を149キロで見逃し三振。捕手が構えたところにズバッと決まった。そして正随をスライダーで空振り三振に仕留めた。これがこの試合11個目。勢いは最後まで衰えず、九回のマウンドでも150キロに迫るストレートで空振りを奪った。そして最後の打者も三振で片づけて14奪三振での4安打完封を成し遂げた。

「九回を投げたのはプロに入って初めてです」

 じつは完封は前回登板だった7月12日の中日戦(ナゴヤ)で記録している。しかし、これは雨天によるコールドゲームで5回完封という注釈付きだった。実質的にはこれが“プロ初完封”となるが、記録上は2試合連続シャットアウトの快投だ。

カギは「腕だけ走らせない」

 また、7月6日の阪神戦(甲子園)では6回無失点。7月は3試合に投げて計20イニング無失点という完ぺきな投球を続けている。

「今までは腕だけを振っていた。腕だけ走らせない。身体でマッチさせる。そうすることで、ボールにギャップが生まれて、打者が(球に)刺されやすくなる」

 5月下旬にファーム降格以来、課題と向き合ってきた成果が表れてきた。倉野コーチも「今日の内容ならば一軍でも勝てる」と太鼓判を押す。

「もう一度這い上がってやろう。それしかない」

 技術向上がメンタルも強くしてくれる。春先から間違いなく“変身”した笠谷が、今ここにいる。

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。現在は「Number web」「文春野球」「NewsPicks」にて連載。ホークス球団公式サイトへの寄稿や、デイリースポーツ新聞社特約記者も務める。また、毎年1月には千賀(ソフトバンク)ら数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。2020年は上野投手、菅野投手(巨人)、千賀投手が顔を揃えた。

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