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京王電鉄がダイヤ改正で「夕方」を強化 来春の各社局改正を先取りへ

小林拓矢フリーライター
「京王ライナー」に使用される5000系車両(写真:GYRO PHOTOGRAPHY/アフロイメージマート)

 終電繰り上げの話が各鉄道事業者から出てくる。JR西日本に始まったこの動きは、JR東日本にも広がっていった。さらに、首都圏の鉄道事業者も検討し始める。

 西武鉄道、小田急電鉄、京急電鉄、東急電鉄で同様の検討が行われていると報じられ、来春のダイヤ改正ではいっせいに終電を繰り上げる見通しだ。

 相互乗り入れが進む近年の首都圏鉄道事業者は、同日にダイヤ改正を行う傾向がある。来春のダイヤ改正を前にして、各事業者で調整が行われている状況だと推測される。

 2021年の全国ダイヤ改正は3月20日になると予想している。JRの工事はその日まで日程が決まっているものの、それ以降が決まっていないからだ。

 そんな中、京王電鉄が今月30日のダイヤ改正について発表した。京王電鉄は都営新宿線以外に乗り入れている路線がなく、他社に比べてダイヤ改正の自由度が高く、異なる日に改正を行うことが多い。しかも、発表から実際の改正日までの期間が短い。

帰宅ピーク時に「京王ライナー」を増発

 まずこのダイヤ改正では、新宿発18時台から19時台の「京王ライナー」を3本増発、帰宅ラッシュ時の着席需要に応える。18時台は16本から17本、19時台は15本から17本へと、ほかの列車を削ることなく、増発することになった。

 背景には、夕方のラッシュ時間が早まったというのがある。京王電鉄の新宿駅にはピーク時間帯の混雑を示すグラフが貼られ、前後の時間帯の利用を呼びかけている。

 一方で、深夜帯の利用が減っている状況の中で、0時台の「京王ライナー」の運行を中止することになった。

 また、新宿発22時台以降の列車の運行間隔を見直し、特急・準特急を12分間隔から15分間隔へと減少させる。23時台は1本減少となり、利用者減に対応した形となる。

 0時すぎの終電時間帯には「京王ライナー」の運転中止以外には変化がなく、新線新宿発の終電も変わらない。

 ただ、この0時すぎを変化させないということは、他社の終電繰り上げの状況が決まっておらず、その接続との兼ね合いなども考慮して、ということだろう。

 各事業者のダイヤ改正の動向を見て、京王電鉄は来年のどこかでまた改正を行うのではないか。

列車を減らし始める時間帯を早くする

 一般に、終電が近づくと、運転間隔が開くようになる。車両は車庫に入り、乗務員も翌朝の乗務に向けて眠りにつくからだ。

 おおよそ、23時ころから徐々に列車は減少し始め、1時すぎには運行を終える。

 これからは22時ころから運転間隔が開くようになり、0時30分すぎには運行を終えるようになる。

 そういった動きが、各事業者で行われるようになる。

 来春のダイヤ改正では、単純に終電が繰り上げられるだけではなく、終電前の列車の本数が減り始める時間帯が早まるようになる。そのやり方が今回の京王電鉄ダイヤ改正にも現れており、とくに「京王ライナー」の深夜帯運行中止などは、端的に示すものとなっている。

 帰宅ラッシュの早まりが、深夜帯の減便へとつながり、その流れは各事業者へと広がっていく。来春の各事業者ダイヤ改正の傾向が、今月30日の京王電鉄ダイヤ改正から見えてくる。

フリーライター

1979年山梨県甲府市生まれ。早稲田大学教育学部社会科社会科学専修卒。鉄道関連では「東洋経済オンライン」「マイナビニュース」などに執筆。単著に『関東の私鉄沿線格差』(KAWADE夢新書)、『JR中央本線 知らなかった凄い話』(KAWADE夢文庫)、『早大を出た僕が入った3つの企業は、すべてブラックでした』(講談社)。共著に『関西の鉄道 関東の鉄道 勝ちはどっち?』(新田浩之氏との共著、KAWADE夢文庫)、首都圏鉄道路線研究会『沿線格差』『駅格差』(SB新書)など。鉄道以外では時事社会メディア関連を執筆。ニュース時事能力検定1級。

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