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【笠岡市】映画を観る前に聖地巡礼!?謎多き猫語映画のロケ地を、ひと足早く推理しながら巡ってみたにゃ

いかごはんWebライター(笠岡市・里庄町)

2023年秋に笠岡市で撮影された映画「しまねこ」が、福山駅前シネマモードにて10月18日(金)からいよいよ公開とのこと。

最近では、笠岡諸島を中心に映画のロケが行われることも多くなって、市民(特に島民)も慣れっこになっているのかな?失礼ながら、撮影していたのも知りませんでした。

ロケ地は笠岡市にある「北木島」。

お笑い芸人「千鳥」の大悟の故郷として有名なあの島です。

ちょっと映っているレベルではなく、映画全編を北木島だけで撮影したらしい。「オール岡山ロケ」ならまだしも「オール北木島ロケ」って。狭っ、大丈夫?

一体どんな映画なのか調べてみると、セリフのほとんどが「にゃー」という猫語で語られるお話とのこと。とはいえ、出演するのは猫ではなく人間の女の子。

チラシに映っている女優さんが猫として演技する、らしい。猫や犬を擬人化して面白おかしく描いている、まめきちまめこさんのマンガみたいな感じなのかな?

んーーー、よくわからん。

わからんけど気になる。

既に関東方面では上映されているので口コミを確認してみると、ロケ地である北木島を絶賛するコメントが多い。「最大の魅力はなんといってもロケーション」なんて書いてある。

さらに気になる!

思い立ったが吉日。

よし、北木島に行こう!

▼映画「しまねこ」予告編

聖地巡礼は鑑賞後じゃないとやっちゃダメってことは無いはず。映画の予告動画とチラシを頼りに、ロケ地を事前に体感する旅にレッツゴー!

撮影にも使われたフェリーで北木島へ

行けばどうにかなるだろうと軽く考えてたけれど、北木島は笠岡諸島で一番大きい島だそうで。「徒歩でなんて回り切れんよ」という忠告を真摯に受け止め、車で向かうことにしました。

「伏越港」は駅から遠い方。徒歩だとちょっときつい
「伏越港」は駅から遠い方。徒歩だとちょっときつい

笠岡諸島に渡るには「旅客船」「フェリー」「海上タクシー」などを利用します。

駅から近い住吉港(みなとこばなし)から出ているのが旅客船。小さい船なので車は載せられません。車ごと島に行くためには、少し離れた伏越港からフェリーに乗る必要があります。(参考:笠岡市観光協会HP「フェリーについて」)

目的地である北木島行きのフェリーは2社運航していますが、今回は「大福丸」にしました。なぜなら、チラシに大福丸らしいフェリーがちらっと映っていたから。

映画「しまねこ」チラシ裏面より
映画「しまねこ」チラシ裏面より

この映画は架空の都市ではなく「笠岡市北木島に住む猫」と定義しているらしく、フェリーの行先も「笠岡」と堂々と書いています。隠しません。船も文字もそのまんま。

おかげでしょっぱなから

チラシのと同じ船だーーー!!

と気分が上がりました。

船の最後尾には双眼鏡も(100円必要)
船の最後尾には双眼鏡も(100円必要)

同じ市内とはいえ、到着まで約1時間程かかります。意外と遠いなーと思ったけど、景色を見たり船を探索していたらあっという間。

余談ですが、フェリーは観光船ではなく島民の交通手段。皆慣れているので音もなく出発するし、港に着いたと思ったら間髪を容れずにすぐ次の港へ向かいます。電車の扉がすぐに閉まっちゃうのと同じ。

景色に夢中で写真を撮っていたりして、乗り降り損ねちゃう観光客も多いみたいですよ。気を付けて下さいね。

北木島「豊浦港」に到着
北木島「豊浦港」に到着

北木島で最初の寄港地である「豊浦(とようら)港」でフェリーを降りました。ここは島の北西。カフェやらレンタサイクル、郵便局などが近くにあり、島の中でも賑やかな雰囲気です。

まずは、島の南西部へ

ひとまず島の端まで移動してから豊浦港へ戻ることに。海岸沿いをぐんぐん進み、山を越えると行き止まりになりました。車で島をぐるっと一周するのは無理みたいです。

この中のどこかの家が大悟さんのご実家らしい
この中のどこかの家が大悟さんのご実家らしい

島内の案内地図には、このあたりに印があって「千鳥・大悟の生家」と普通に書いてあってビックリ。以前は案内看板まであったようですが無くなっていたので、どの家なのかはわかりませんでした。

まったりと日向ぼっこしたくなるような静かで心地の良い場所だったけど、撮影ポイントらしき場所はなさそう。

続いて、旅客船の寄港地「大浦港」へ

「大浦(おおうら)港」は、旅客船が発着する港です。フェリーが到着した豊浦港からは車で10分程でしょうか。歩くと1時間以上はかかるかも。

案内看板の「現在地」と書かれてある付近。フェリーの到着地は地図の右上あたりなので、かなり離れています。
案内看板の「現在地」と書かれてある付近。フェリーの到着地は地図の右上あたりなので、かなり離れています。

旅客船が泊まるから一番の観光地スポットかと思いきや、言葉を選ばなければ、何もありません。レンタサイクルもここには無いので、当初の私のようにノープランでこの港に降り立つと途方に暮れるかも?

地元の人に「グリスロ」と呼ばれているゴルフ場のカートのような乗り物を頼めば、同一区域内で100円、区域間でも200円で移動ができます。(参考:島づくり海社HP

ロケ地は発見できるのか?

何もないけれど、だからこそ雰囲気抜群の大浦港は、どこを歩いてみても撮影してそうな風景だらけ。

広ーい砂浜は撮影場所にピッタリじゃない?
広ーい砂浜は撮影場所にピッタリじゃない?

石を祀っているのか、石だけが3つ置かれてある鳥居(島内に何カ所も!)
石を祀っているのか、石だけが3つ置かれてある鳥居(島内に何カ所も!)

映画のセットみたいな雰囲気ある路地
映画のセットみたいな雰囲気ある路地

猫が追いかけっこして遊んでそうな船着き場
猫が追いかけっこして遊んでそうな船着き場

実は、いざという時のために笠岡市で地域おこし協力隊をされている方に案内係として同行いただいておりました。その方は映画にも関わっているので、撮影場所はほぼ把握しています。

「ネタバレはしないで!」という私のオーダーでしたが、あまりにも無関係な場所で写真を撮りまくっているのを見かねてヒントをくれました。帰りの便まで残り時間も少なくなってきたので、スピードを上げて回ります。


▼撮影隊の宿泊先

俳優さんのサインだけでなくスタッフの寄せ書きまで
俳優さんのサインだけでなくスタッフの寄せ書きまで

撮影のためにスタッフや俳優さんが寝泊りしたという「天野屋旅館」。サインや記念写真が飾られていました。


中を少し見学させていただきましたが、歴史的な建物や内装が素晴らしく、昭和レトロな空間にかなりテンションが上がってキャーキャー大騒ぎ。

でも、ここでは撮影してなさそう。

▼諏訪神社と山本酒店

石の鳥居が立派な神社。ここでも撮影したらしいけれど、どのシーンなのかはよくわからず…
石の鳥居が立派な神社。ここでも撮影したらしいけれど、どのシーンなのかはよくわからず…

神社の横の路地に目をやると、島に2軒しかないという小さな商店が
神社の横の路地に目をやると、島に2軒しかないという小さな商店が


わかった!

パンを盗んで追いかけられるシーンだ!!

映画「しまねこ」予告編YouTubeより
映画「しまねこ」予告編YouTubeより

たばこの看板も、商品棚も、空きケースを台にしているところも全部同じ。ここまでありのままのロケ地ってある?

お酒だけでなく、食品や日用品、衣料品まで。島に住む人々の生活を支えていることがよくわかります。

いよいよ「豊浦」「金風呂」地区へ

フェリーの発着地である港付近に撮影スポットが多く集まっているようなので、大浦地区をあとにしてスタート地点に戻ることに。予告動画やチラシで印象的だったシーンを中心に探していきます。

▼猫たちの秘密基地っぽい場所

映画「しまねこ」予告編YouTubeより
映画「しまねこ」予告編YouTubeより

レンガと思いきや、ゴツゴツした石垣が印象的なこのシーン。地元の人には「北木のベニス」と呼ばれている場所らしい。イタリアのベネチアに似てるから名付けられたそう。

海岸沿いを走っていると、工事現場みたいなところにチラリと見えた「公衆トイレ」。なんでこんなところに公衆トイレ?と不思議に思いつつ、島にはトイレが少ないので見かけたら取り合えず行っておくというセオリーに従って立ち寄りました。

どうやらこの辺り一帯が観光スポットになっているようでキョロキョロ見渡してみると…

あっ!

秘密基地発見!!

そのまんますぎて笑う。

映画のセットの中に紛れ込んだみたい。

打ち捨てられた自転車まで映画の映像のまま、そこにあるんだもの。

映画「しまねこ」予告編YouTubeより
映画「しまねこ」予告編YouTubeより

建物の反対側から見ると、ベニスに見えなくも無いような、あるような、無いような。

イタリアの有名観光地に似ているかどうかはさておき、素敵な景色。

▼落ち葉で遊んでいた神社

映画「しまねこ」予告編YouTubeより
映画「しまねこ」予告編YouTubeより

大浦地区にあった諏訪神社はちょっと違うなーと思ってたら、豊浦地区にある「八幡宮」でした。

「神明(しんめい)鳥居」と「明神(みょうじん)鳥居」の2種類が同時に並んでいて、面白い。

私が気になったのは、ちっちゃい鳥居。

鳥居の親子みたいで可愛い。

猫用かなぁ?(んなわけない)

▼メインビジュアルの風景

映画「しまねこ」チラシ表面より
映画「しまねこ」チラシ表面より

難なく発見。コンクリートにある汚れ?まで同じ。

八幡宮から海岸沿いに出たあたりの道路でした。有名な石のモニュメント「メビウスの輪」が右奥に見える所です。


向こうに見える波止場に立ってる棒?柱?の下の方に、何やら見覚えがあるものが。メビウスの輪のあたりから波止場を歩いてみることに。

海が透明で綺麗。大きなクラゲも浮いていました。予告編で飛び込んでいた海もこのあたりかも?

▼ココアが寄り添ってた石

映画「しまねこ」予告編YouTubeより
映画「しまねこ」予告編YouTubeより

やっぱり!

木の柱の支えになっている石が、ココアがもたれていた石と同じでした。


ここでも映画のシーンを再現しながら同じポーズで写真が撮れますよ。今のところ、一般人が立ち入りできない場所は無し。全部がありのままそこに存在しています。

すごいな、北木島。島全体が映画のセットみたい。「笠岡のUSJ」とでも名乗ったら良いんじゃない?

▼CGみたいな幻想的な湖畔

映画「しまねこ」チラシ裏面より抜粋
映画「しまねこ」チラシ裏面より抜粋

最後に探したのはこの湖。さすがにこれは絶対加工してるでしょ?CGでしょ?

こんなに美しくて幻想的な湖が瀬戸内海にあるとは思えません。

あったーーーー!!!

私の撮影技術ではこれが限界。少しは伝わるでしょうか?

非現実みたいな空間。アニメの世界に迷い込んだような、シンとした不思議な空気感に圧倒されました。


石を地下深くまで掘り出した穴に雨水が溜まって湖になった「丁場湖(ちょうばこ)」。

北木島にはいくつかありますがここは「北木島の桂林(今岡丁場跡)」と呼ばれる場所。観光地を観光地で例えるのはもはやお家芸でございます。

かつてここで採石をしていたであろう賑やかな雰囲気もほのかに残しながら、錆びついた設備跡のうら寂しさと景色の美しさとのコントラストがなんとも形容しがたい。


映画「しまねこ」は、猫になり切った女の子たちがキャッキャと遊んでいるだけのコメディー映画と思いきや、監督がロケハンの中で捨て猫や捨て犬の多さを憂いて発想を得たらしく、ちょっぴりビターな作品なのだそうです。

映画の世界観は、この風景にも反映されているのかもしれません。


▼限定公開★映画『しまねこ』エンドロール 曲:ねこ想い


映画のエンドロール曲がYouTubeで限定公開されていました。すてきな歌と共に、島に住む実際の猫と、島の光景が映し出されています。

どの猫も可愛い。

けれど、寂しそうでもある。

2024年10月20日(日)には「福山駅前シネマモード」、10月27日(日)には「岡山のシネマ・クレール」にて舞台挨拶付きの上映会があります。今関あきよし監督や女優さんの登壇も予定されていますので、是非。

私も早く映画を観て、この映画のメッセージを受け止めたいと思いました。

今回の旅で巡ったロケ地がどれだけ登場するかも楽しみです。

映画『しまねこ』公式HP

<キャスト・監督舞台挨拶情報>

■広島県・福山市

劇場:福山駅前シネマモード1

日時:10/20(日)16:30 からの上映後

(17:40-18:10 頃予定)

登壇者:美咲姫(ミント役)、大島葉子(朝日さん役)、今関あきよし監督、山本周史(ラインプロデュサー)

※10/18(金)より公開。
参考:イベント告知ページ

■岡山県・岡山市

劇場:シネマ・クレール丸の内

日時:10/27(日)17:05からの上映後

(18:10前後予定)

登壇者:鎌田らい樹(チョコ役)、増井湖々(ココア役)、美咲姫(ミント役)、佐伯日菜子(トキワさん役)、今関あきよし監督

Webライター(笠岡市・里庄町)

大阪から笠岡市に移り住んで20年超。これまで職場との往復、家でゴロゴロしてるだけで気づけなかった笠岡市・里庄町の魅力を見つける旅に出ます。一緒にもっと笠岡市・里庄町を好きになりましょう!高梁川流域ライター塾2023年度修了生。

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