中国の偽「一蘭」に対して本家は何をできるのか?
「店はソックリ、味は"全く…" 人気ラーメン店の“パクリ“店舗に本家困惑!」というニュースがありました。私も大好きな日本の有名とんこつラーメンチェーン「一蘭」のそっくり店舗が中国で「蘭池」(ランチ)としてチェーン展開しているというお話です。
店名が紛らわしいことに加えて、看板、店舗デザイン、ウェブサイトデザイン等そっくりです(ただし、味は本家には遠く及ばないそうです)。中国ではよくあることではあるのですが、どう見てもフリーライドなので本家としてはそうとう腹が立つことと思います。知財的に何ができるのかを検討してみます。
まず、商標権です。「一蘭」は現時点では中国で店舗展開していないようですが、中国での登録状況をチェックすると、2008年時点から「一蘭」や看板の図形等の多くの商標を登録しています(中国で事業を開始するより前に商標登録を行なっておくのは賢明です)。しかし、いずれにせよ、「一蘭」と「蘭池」では「蘭」は共通するものの商標としては非類似なのでちょっと厳しそうです(というか、蘭池側も「鳥二郎方式」で連想はするかもしれないが類似まではしないというギリギリの線を狙っていると思われます)。一方、看板のデザインも似ていることから看板の図形商標(タイトル画像参照)による権利行使はできるかもしれません。
店舗の外観がそっくりである点は、日本であれば不正競争防止法で権利行使できる可能性大です(コメダ珈琲の裁判(関連過去記事)により店舗外観が似ていて消費者が誤認混同していれば差止め可能であることが明らかになりました)。中国にも日本と類似の不正競争防止法はありますが、一蘭が中国で店舗展開していないことから、消費者の誤認混同を立証するのは難しそうです。
特許についてはどうでしょうか?以前もちょっと書きましたが、一蘭はカウンター形式の店舗設計「味集中システム」で特許を取得しています(第4267981号)。しかし、本特許は日本のみの登録なので中国での実施に対する権利行使は不可能です。
著作権についてはどうでしょうか?蘭池は、なぜか日本語のウェブサイトを提供しています(現地の日本人や観光客が来ることを期待しているのでしょうか)。ウェブサイトのデザインも本家そっくりなのですが、文章が完全に一致しているところが結構あります。ここについては著作権侵害を主張できる可能性があると思います(営業を差止められるわけではないので効果は限定的ではありますが)。