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吉田正尚より「三振しない打者」は3人だけ。最も三振率が低い打者は打率.380

宇根夏樹ベースボール・ライター
ルイス・アライズ(マイアミ・マーリンズ)Jul 14, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 吉田正尚(ボストン・レッドソックス)は、349打席で38三振しか喫していない。三振率は10.9%だ。

 この数値は、過去4シーズンにオリックス・バファローズで記録した三振率よりも高い。2019~22年のシーズン三振率は、10.5%、5.9%、5.7%、8.1%だった。けれども、今シーズンのア・リーグとナ・リーグにおいて、7月16日の時点で規定打席に達していて、三振率が吉田よりも低い選手は、3人しかいない。

 5.3%のルイス・アライズ(マイアミ・マーリンズ)と9.3%のケイバート・ルイーズ(ワシントン・ナショナルズ)に、10.0%のホゼ・ラミレス(クリーブランド・ガーディアンズ)がそうだ。

 吉田を含めた4人のうち、ルイーズ以外の3人は、打率.280以上と出塁率.350以上を記録している。アライズの打率.380と出塁率.431は、両リーグで最も高い。

 一方、ルイーズの打率.228と出塁率.281は、129位と145位だ。150人中の順位なので、ワースト22位とワースト6位ということになる。

 三振率15%未満の選手は、以下のとおり。

筆者作成
筆者作成

 三振率の低さは、打率や出塁率の高さとイコールではないが、この19人のなかで打率.240未満はルイーズだけだ。出塁率.300未満も、ルイーズ以外にいない。

ケイバート・ルイーズ(ワシントン・ナショナルズ)May 26, 2023
ケイバート・ルイーズ(ワシントン・ナショナルズ)May 26, 2023写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 それでも、ルイーズは、レギュラーとして起用されている。

 これには、理由がある。

 現在、ナショナルズは再建中だ。2019年にワールドシリーズを制した後、2020~22年は地区最下位に沈んでいる。今シーズンも、過去3シーズンと同じ順位となるだろう。

 ルイーズは、数日後に25歳となる。ポジションは捕手だ。

 2年前の夏、ナショナルズは、マックス・シャーザー(現ニューヨーク・メッツ)とトレイ・ターナー(現フィラデルフィア・フィリーズ)をロサンゼルス・ドジャースへ放出し、ルイーズとジョサイア・グレイを含む4人を獲得した。

 さらに、今シーズンの開幕前に、ナショナルズは、ルイーズと8年5000万ドル(2023~30年)の延長契約を交わした。この契約には、解約金なしの球団オプションが2年分ついている。2031年が年俸1200万ドル、2032年は年俸1400万ドルだ。

 トレードと延長契約から、ルイーズに対する、ナショナルズの期待の高さが窺える。ドジャースも、同じポジションのウィル・スミスがいなければ、ルイーズを手放したかどうかはわからない。また、ナショナルズは、長期契約を交わしたことにより、FAになるまでの保有期間を気にする必要がなくなった。結果にかかわらず、メジャーリーグで経験を積ませることができる。

 打率と出塁率は低いものの、ルイーズのホームランは10本を数える。左打者として9本と右打者として1本だ。

 なお、ルイーズとともに移籍したグレイは、過去2シーズンの防御率5.00以上から一転。完全開花には至っていない気がするものの、今シーズンは105.1イニングを投げ、防御率3.59を記録している。オールスター・ゲームのメンバーにも選ばれ、1イニングを3人で終わらせた。

 

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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