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顔踏んで報酬得る「踏み活」女子の足なめた男 「不同意わいせつ」で逮捕のワケ

前田恒彦元特捜部主任検事
(提供:イメージマート)

 男性の顔などを踏んで性的に興奮させ、報酬を得る「踏み活」女子とSNSで知り合い、コインパーキングに停めた車の中で踏まれる際、その右足をなめたとして、32歳の会社員の男が不同意わいせつの容疑で逮捕された。同意の有無を問わず、相手が中学2年の14歳だった点が重要となる。

逮捕の経緯は?

 男は10月6日深夜、神戸の公園で初めてこの女生徒と会い、「踏んでくれたら数千円あげる」などと誘って車に乗せた。きっかけは、女生徒が友人から「踏み活」をしていると聞き、自分もこれをやろうと考え、その友人のSNSを介して男を紹介されたからだ。

 ただ、別の友人が車に乗せられる女生徒を目撃し、連れ去り事件だと考えて110番通報した結果、ことが大きくなった。男は1時間にわたって女生徒を連れ回したとして、翌7日に未成年者誘拐の容疑で兵庫県警に逮捕された。

 捜査の結果、この罪では処分保留となったものの、車中で女生徒に靴と靴下を脱ぐように言い、その右足をなめたとして、10月25日に不同意わいせつの容疑で再逮捕されるに至った。

性交同意年齢の引き上げ

 女生徒は男から報酬として現金数千円を受け取っていた。ただ、顔を踏む約束だからといって、足をなめられることまで了承しているとは限らないし、たとえ女生徒にそこまでの同意があったとしても、男は不同意わいせつの罪に問われることになる。

 というのも、7月に施行された改正刑法により、性交同意年齢が13歳から16歳に引き上げられたからだ。たとえ同意のうえでも、相手が16歳未満だと知りつつ性的行為に及べば、不同意性交等罪や不同意わいせつ罪が成立する。

 ただ、それだと対等な関係にある中高生同士の自由恋愛すら成り立たなくなるので、13~15歳であれば、加害者が5歳以上年上の場合に限って処罰される。女生徒が14歳であるのに対し、男は32歳だから、この点も問題ない。男は容疑を認めているという。

 とはいえ、そもそも足をなめることがわいせつな行為といえるのかという法的な議論があるうえ、事件の経緯をも考慮すると、女生徒側と示談が成立することで、不起訴で終わるという展開が予想される。(了)

【参考】

元特捜部主任検事

1996年の検事任官後、約15年間の現職中、大阪・東京地検特捜部に合計約9年間在籍。ハンナン事件や福島県知事事件、朝鮮総聯ビル詐欺事件、防衛汚職事件、陸山会事件などで主要な被疑者の取調べを担当したほか、西村眞悟弁護士法違反事件、NOVA積立金横領事件、小室哲哉詐欺事件、厚労省虚偽証明書事件などで主任検事を務める。刑事司法に関する解説や主張を独自の視点で発信中。

元特捜部主任検事の被疑者ノート

税込1,100円/月初月無料投稿頻度:月3回程度(不定期)

15年間の現職中、特捜部に所属すること9年。重要供述を引き出す「割り屋」として数々の著名事件で関係者の取調べを担当し、捜査を取りまとめる主任検事を務めた。のみならず、逆に自ら取調べを受け、訴追され、服役し、証人として証言するといった特異な経験もした。証拠改ざん事件による電撃逮捕から5年。当時連日記載していた日誌に基づき、捜査や刑事裁判、拘置所や刑務所の裏の裏を独自の視点でリアルに示す。

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