コンビニの新ファストフードは、昭和の哀愁漂う焼き芋
「いーしやーきいも おいも」昭和には自宅の近くへ移動販売車が来るのが日常で、今でもアニメにも登場するため、石焼き芋の歌は老若男女が幅広く口ずさむ事が出来る国民さえずり歌になるほどで焼き芋は冬の風物食となっている。
そんな焼き芋が、今年は特に盛り上がりを見せていて石焼き芋専門店も全国の出店が進んでいる。
筆者もそんなブームに乗り、壺焼きの焼き芋を売る専門店「銀座つぼやきいも」に昨年末に行ってみた。
平日でも行列が出来、焼いた温かい芋だけでは無く、冷やし焼き芋という新しい提案も人気となり店頭で買ったあと10分後が食べ頃の"紅はるか"はまさにスイーツだった。
ここ数年、ドン・キホーテやマルエツなどスーパーが先行して焼き芋の販売し定着したのは焼き芋専用器が開発されたのが大きい。
遠赤外線の効果で、旨み・甘味を凝縮しておいしく焼き上げ、2段構造になっており、下段がオーブンとなっており焼成をし上段がホットケースになっていて保温をして販売しています。
今秋からファミリーマートが、販売が見込めそうな全国の約1030店舗で焼き芋の販売を開始した。
2018年には、ドン・キホーテとの共同実験店舗3店舗(現状は無い)での展開から、2019年の実験を経ての拡大展開となる。
コンビニのサービスは、全店での展開が基本だったが、ファミリーマートではコインランドリーやスポーツジムの併設など、顧客の嗜好が多様化を考慮した立地特性に合わせた展開を模索している。焼き芋は専用器のコストの問題もあり限定店舗からのスタートとなったのだろう。
ローソンストア100では、生鮮部門が良質な芋を大量に仕入れるルートを持っていたため、10年前から焼き芋の販売をスタートしている。「焼き芋」は1本100円(税別)を貫き焼いもに適した「紅はるか」「紅あずま」などを中心に、ローソングループの自社農場であるローソンファーム千葉、ローソンファーム鹿児島をはじめとする契約農家などから仕入れた国産のさつまいもを使っている。
2013年から種子島産の「安納芋」を破格の1本200円(税別)で販売していて、固定客も付いている。焼き芋は、1日、1店舗約20本というローソンストア100の超売れ筋商品となっている。コロナ禍でコンビニ業界の売上が苦戦する中、焼き芋の売上は9月以、前年比115%と好調に推移している。焼き芋販売のピークである2月に向けて更に焼き芋ブームもあり販売がさらに伸長しそうだ。
コンビニは、体感温度の変化によって販売が伸長する商品が多く、寒くなるとカウンターファーストとフードが売れる、煮込むおでん、蒸す中華まん、揚げる唐揚げにプラスして焼く焼き芋が追加された形だ。
昭和の中期までは、焼き芋はおやつの王様だったが、コンビニやファーストフードが台頭し、食が多様化して市場がシュリンクしたが、令和に入りコンビニが焼き芋を再びマスなおやつに引き上げようとしている時代の流れはなんとも面白い。
海外でも日本の焼き芋は人気だ。焼き芋の文化は東アジアの文化で街角や屋台、台湾ではコンビニでも販売されている。ドン・キホーテがタイのバンコクやシンガポールに進出し、行列が出来るほど人気となっている。
紅はるかブランドが地場の芋と比べて、甘くて濃厚なスイートポテトのようで美味しいという口コミが広がり人気となっているようだ。
12月2日に改正種苗法が成立し、2021年4月から施行され、国内で開発されたブランド果実・野菜などの種や苗木の海外流出を防ぐ仕組みが強化された。現在韓国が国内で販売されているさつまいもの約40%は紅はるかと言われ、開発した日本に利益を落とさない現状があり残念な状況だったが、今後は法改正によって日本の高品質なブランド果実・野菜の権利が守られて、海外での焼き芋のようなブランドが生まれていくのかもしれない。
焼き芋は、日本のコンビニでは、おやつとして、昼食・夕食一緒に買っていったり
学校や仕事の帰り道に購入されたりするケースが多く、客層は特に女性となり、子供にも人気だ。
ダイエットやスポーツで節制している人にも、食物繊維が豊富で脂質も少なく、GI値が低く血糖値が上がりにくいため、人気の幅が広がり、焼き芋ブームの裾野が広がっている。
年末には横浜日吉の自宅近くに住んで8年目で初めて「いーしやーきいも おいも」の歌が聞こえてきた。500円と少しお高めだったはご愛嬌。焼き芋ブームを実感せずにはいられなかった。今年のコロナの冬は換気必須、ホクホクの焼き芋を食べて暖まってみてはいかがですか。