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サンウルブズ立川理道キャプテン、復帰目指す日本代表でタックルの輪【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
インサイドセンターとして堅実なプレーを重ねる。(写真:アフロスポーツ)

国際リーグのスーパーラグビーに日本から参戦するサンウルブズの立川理道キャプテンは、開幕前の故障も癒え復活の序章を奏でている。

サンウルブズへは2季連続での参戦を果たし、昨秋の日本代表ではキャプテンを務めた27歳。4月中旬からは若手中心の日本代表の合宿や練習に参加し、同チームが挑んでいるアジア・ラグビーチャンピオンシップでの戦列復帰が検討されている(現在の日本代表にリストアップされていないが、「故障者との入れ替え」などの手続きが叶えば出場可能か)。

都内での練習にフル参加した26日は、リーダーとしての一面をのぞかせた。

29日におこなわれる韓国代表とのARC第2戦目を間近に控えるなか、試合のメンバーに入らなかった鹿尾貫太のタックル練習に付き合う。ハンドダミーを片手に、ぶつかる際の間合いや体勢について助言する。時間が経てば、同じくメンバー外となった伊東力がその輪に参加する。

たまたま近くにジェイミー・ジョセフがいる時は、こちらもメンバー外に回った渡邉隆之のタックル練習をサポート。そこへは自然発生的に他の選手も混ざり、笑みを交えながら個々の技術をしあった。

実は22日のARC初戦では、指揮官は自軍のタックルの質を疑問視。韓国代表に47―29と勝利も、厳しい評価を下していた。

練習会場を引き上げる折、立川はまず、居残りトレーニングの意図を明かした。

以下、単独取材による一問一答(編集箇所あり)。

――最後のタックル練習。さすがリーダーという印象でした。

「この週で40本タックルをすると決められていましたし、僕から試合に出られなかったメンバーに態度を見せられたらいいな、と」

――メンバーから外れた選手の努力を、指揮官に示す意味合いもあったのですか。

「それもありましたし、ゲームメンバーのなかにも、前の試合でパフォーマンスがよくないと感じている選手はいました。そこでいい雰囲気を作りたいな、と。代表ではそんなに何度もチャンスが来ないという風に、プレッシャーもかけたった」

――練習を拝見するに、立川選手自身も試合に出られそうなコンディションに映ります。

「ほとんど全部の練習に参加できますし、人対人(コンタクト)も大丈夫。あとは(メンバーに)選ばれるかどうか。僕のコンディションは、大丈夫です」

――現在の日本代表メンバーには名を連ねていませんが、同チームの沖縄合宿に志願参加しました。

「(それまで練習していた都内から)場所を変えて、若手もキャリアのある選手もひとつのチームになったと思います。そこへ自分が参加できたのもよかったです。コンディションも上げられましたし、試合までの流れも掴めました」

――雌伏の折は、「いまは自分にとっていい時期なのだ」と、自分に言い聞かせるように話しておられました。

「そうですね、そう思うしか…と。去年のサンウルブズでは怪我をしたら(国内の)所属チームに帰るしかなかった。ただ今年はここ(サンウルブズと同じ戦術を採用する日本代表の練習)に来れらた。いい時間を過ごしています」

この日は、日本代表が来年にイングランド代表と対戦する計画が浮上していると、一部で報じられていた。

欧州6強の一角であるイングランド代表は、自国開催だった2015年のワールドカップで予選プール敗退に終わったものの、日本代表前ヘッドコーチのエディー・ジョーンズを指揮官に据えるや「ラグビーの母国」として復活。テストマッチ18連勝をマークし、欧州6か国対抗では昨年、今年と2連覇。現在世界ランクではニュージーランド代表に次ぐ2位につける。

もしこのプランが遂行されれば、2019年のワールドカップ日本大会に向けた日本代表強化の絶好の機会となる。前指揮官との対戦という話題性と相まって、注目が高まる。

――再びジョーンズさんの前でプレーすることになる、かも、しれません。

「もし対戦が決まれば、すごくいい機会。日本の人にとってもどういう試合になるかが楽しみだと思いますし、ワールドカップでも必ずそういう強いチームと戦う。(ジョーンズに)また成長できた姿を見せられたらいいと思います」

持ち前の危機察知能力で自軍システムの死角をカバーし、強烈なタックルを繰り出す…。そんな立川の姿を覚えているファンは多いだろう。

人々が期待するカムバックを、何より本人が熱望している。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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