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重曹にはクセがある、でもコツを知れば掃除の強い味方になるのだ。

おそうじペコ掃除研究家・掃除ライター

三度の飯より掃除が好き、子供の頃からお掃除マニアのおそうじペコです。
今回は重曹についてのお話をいたします。

◆重曹は洗剤じゃありません

重曹は万能素材というイメージがありますが、買ってみたけれど上手に使いこなせない、効果がよくわからないという方も多いのではないでしょうか。

それもそのはず、重曹とは「炭酸水素ナトリウム」という化学名を持つ「弱アルカリ性物質」の通称です。市販用に工夫された洗剤ではないため、コツを知らないと効果を十分に引き出すことができません。
今回は重曹の持つクセや効果をアップさせる簡単な方法をご紹介します。

◆あれ、思ってたのと何か違うぞ

せっかく重曹を使ったものの、頭の中で?マークが浮かんでしまう・・。よく起こりがちな重曹あるあるとその謎についてまとめました。

思ったより汚れが落ちませんが?

油汚れに効果があると思った重曹スプレーなのに、期待していたより汚れ落ちを実感しないことがあります。実は重曹のアルカリの強さはPH8.2と中性に近い弱アルカリ性(水道水などの中性はPH6~8)のため、油汚れに対する強い効果は期待できないのです。

水200mlに重曹小さじ2の一般的なレシピで作成した重曹水で計測
水200mlに重曹小さじ2の一般的なレシピで作成した重曹水で計測

PH試験紙でテストするとやはり弱アルカリ性を示します。油汚れに効果があるセスキ炭酸ソーダはPH9.8、アルカリ電解水はPH12~13、これらと比べるとアルカリの強さがかなり低いということになります。ちなみにアルカリの強さはPH1で10倍違うのでその力の差は歴然です。

※PHとは水溶液の性質を表す単位のこと。1~14の間で1に近いほど酸性、14に近いほどアルカリ性を示します。

アルカリが強いほど手荒れのリスクも上がるため、手垢などの軽い汚れであれば重曹スプレーでも落ちますが、ギトギトした油汚れには効果が低くなるというわけです。

粉が浮いてきちゃうのはなぜ?

重曹スプレーで拭き掃除をした数時間後、上記の画像のように白い粉が浮いてくるのもよくある現象です。重曹は水に溶けにくいため、重曹水が乾燥した後に粉のまま成分が残ってしまうためです。

スプレーボトルだと気づきませんが、ボウルに入れた水に重曹を入れて混ぜると溶け切らずに底に粉が残るのがわかります。溶け残りの重曹はスプレーノズルの目詰まりにもつながります。
重曹スプレーを使った拭き掃除はしっかり拭き取りをしないと白い粉が残りストレスになるため、私はあまりおすすめしていません。

◆この使い方がベスト!効果的な方法

「アルカリも弱く、粉も浮いてくるなら重曹を使いたくない」そう思われた方はちょっとお待ちください。重曹のクセを知った上で上手な使い方をすれば、効果的に汚れを落とせる便利素材に変化します。

スポンジよりクロスがおすすめ

重曹の粒子はとても細かいため粉のままクレンザーのように使用すると、汚れの隙間に入り込み上手に掻き出すことができます。一緒に使うおすすめのアイテムは毛足の短いマイクロファイバークロスです。

100円ショップダイソーの「窓ガラス・鏡おそうじクロス」がおススメです。
100円ショップダイソーの「窓ガラス・鏡おそうじクロス」がおススメです。

ブラシやスポンジだと粒子が奥に入り込んでしまいますが、クロスだと重曹を押さえ込みしっかりこすることができます。濡らしたクロスに重曹の粉をつけて磨くと、浴室洗面器にこびりついた湯垢や洗面ボウルなどの汚れもツルツルになります。

洗い流せる場所が便利

浴室、洗面所、キッチンなどの水回りで使用すれば、重曹の粉残りを気にすることもありません。重曹掃除をした後は、成分が残らないよう水をかけてしっかり洗い流せば気持ち良い仕上がりになります。

キッチンシンクや排水口カップの汚れなどのネバつく汚れも重曹の粉が上手に吸着して落とします。

綺麗に洗い流せば粉残りもせず、シンクはピカピカになり明るくなりました。

熱を加えれば2つの効果

焦げ付いた鍋(アルミ鍋は使用しないでください)の汚れ落としにおすすめなのが、重曹水を沸騰させる方法です。重曹は熱を加えるとPH11.2の「炭酸ソーダ」に変化してアルカリが強くなる特徴があります。

重曹は一気にふきこぼれるので必ず水から入れてください。
重曹は一気にふきこぼれるので必ず水から入れてください。

鍋に水を八分目まで入れ、重曹を入れて火にかけます。基本のレシピは水1リットルに対して重曹大さじ1~3です(汚れに応じて増減してください)。沸騰すると細かく発泡するので、その泡による汚れを浮かす効果もあります。

熱した重曹水はアルカリが強くなるので、ビニール手袋などをして洗ってください。
熱した重曹水はアルカリが強くなるので、ビニール手袋などをして洗ってください。

3分ほど沸騰させてから火を消し、湯が冷めるまで置いておきます。その後、洗い流すとこびり付いた汚れがスルリと落ちて、ピカピカの鍋になります。油汚れに対する「アルカリの力」と重曹の「発泡力」の2つの効果によるものです。
同じように綺麗な鍋を使って布巾を重曹で煮洗いすれば、汚れ落としと殺菌をすることができます。

◆重曹は使い方次第で魅力的に変化します

ややクセが強い重曹ですが、その個性を少し知るだけで効果をアップさせることができます。この他にも水と合わせてペースト状に、洗剤と合わせてホイップ状にするなどまだまだ楽しい使い方がたくさんあります。是非重曹マスターになって、お掃除を楽しんでくださいね!

※重曹の粉で傷がつかないよう目立たないところでテストしてから使用ください。また、アルカリに弱い素材(アルミ、天然素材等)に使用すると変質することがあるのでご注意ください。

掃除研究家・掃除ライター

資格等「ハウスキーピングコーディネーター2級」「掃除能力検定士5級」主な著作物「暮らしを楽しむお掃除エッセンス」「魔法の1分そうじ」「お掃除やる気スイッチ」「ゆるく身につく家事のきほん」等。SNS、メディアを通じて掃除に関する情報を発信しています。日々、暮らしに役立つ掃除術について探求中。

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