送別会で罵り合い!? 退職する若手社員に上司が放ったまさかの一言 「当事者意識」について考えてみる
「君は当事者意識に欠けているんだよ!」
「言いがかりだ! 私なりに当事者意識はありましたよ」
退職が決まった若手社員の送別会は、本来ならば花束や寄せ書きなど、和やかな雰囲気で幕を閉じるはず。ところがある企業で行われた送別会は、まさかの口論へと発展した。若手社員と上司が激しく罵り合い、まわりの同僚は静まりかえってしまったという。
なぜこんな事態になったのか?
このトラブルの背景には、「当事者意識」というキーワードが隠れている。
今回は「退職する若手社員に上司が放った、まさかの一言」について解説する。組織マネジャーはもちろん、職場の人間関係に悩んでいる人に、ぜひ最後まで読んでもらいたい。
■なぜ送別会で罵り合い?
送別会で罵り合うとは、いったい何があったのか。
退職する若手社員の挨拶に対し、上司が露骨に不機嫌な態度をとった。その若手社員も我慢の限界だったようで、酔った勢いで
「いつも不機嫌な上司がイヤで、辞めたいと思ったんです!」
そう言い放ったのだ。すると上司も
「なんだとォ! 君の当事者意識が足りなかったんだろう」
と応戦した。
「会社やプロジェクトのことを、本当に自分事と捉えていたのか」
「言いがかりです! 自分なりに当事者意識は持っていましたよ」
「口ばっかりなんだよ」
「そんなことありません!」
同僚が仲裁に入ったからよかったものの、場の空気は完全に凍りついた。
■そもそも当事者意識とは何か?
上司の態度は決して褒められたものではない。しかし部下に対して「当事者意識が足りない」「もっと主体的に動いてほしい」と不満を覚えているマネジャーは多い。
そもそも「当事者意識」とは、どういう意味か?
私は当事者意識という概念を理解するうえで、当事者以外の立場を整理して覚えることをおススメしている。それを表現したのが、次の図だ。当事者以外にも、「関係者」「第三者」「外部の人」という立場がある。
真ん中に「当事者」がいて、そのすぐ外側に「関係者」、さらに外側に「第三者」、最も外に「外部の人」が位置する。この四重構造を見たとき、自分がいったいどこにいるかを判断してみよう。
たとえば、自分が何らかのプロジェクトに属するメンバーだとしよう。しかし直属の上司はそのメンバーに入っていないとする。その場合、次のようにそれぞれの立場を整理できるだろう。
・プロジェクトのリーダーやメンバー → 当事者
・プロジェクトメンバーの同僚や上司 → 関係者
・プロジェクトから距離がある経営陣や従業員 → 第三者
・外部のコンサルタント → 外部の人
プロジェクトに直接加わっているから当事者だと考えていても、実はプロジェクトリーダーから見ると「全然当事者になりきっていない」と思われていることもある。
そうすると、そのリーダーが上司に相談するのだ。
「君の部下、全然プロジェクトに対して当事者意識がない。意見を求めても『第三者的な発言』しかしないんだ」
まるで自分事として捉えていない。まるで他人事のように振る舞っていると言われたら、上司は落胆するだろう。
■当事者意識を持つために
当事者意識を式で表してみよう。
「当事者意識=関心度×責任感」
ここでいう関心度とは、どれだけその課題や仕事を自分のこととして関心を持って取り組んでいるかを示す。いっぽう責任感とは、自分に課された役割や成果をどれだけ自分の責任として背負うつもりがあるかを表す指標だ。
どちらも高いほど、当事者意識が高いといえる。逆に、関心度も責任感も低ければ、その人は当事者意識が薄いことになる。
したがって、当事者意識を持つためには、自分がコントロールできる範囲(影響の輪)を常に意識することだ。そしてその範囲のテーマに関心と責任を持つことである。受け身であったり、「指示待ち」であってはいけない。
当事者意識は、「やる気」とは関係がない。「関心度×責任感」という計算式で成り立つものだ。普段から、自分の立場を何度も振り返ること。
・自分は「当事者」なのか?
・自分は「関係者」なのか?
・自分は「第三者」なのか?
・自分は「外部の人」なのか?
そうすることで、職場の人間関係はずいぶん解消しやすくなるだろう。
<参考となる動画>