アジア大会・サッカー男子でU-21日本代表が次に対戦するパレスチナ代表とは?
手倉森誠監督が率いるU-21日本代表はアジア大会・サッカー男子のグループリーグにおいて、2勝1敗の2位で決勝トーナメントに進出。ベスト16でパレスチナと対戦することになった。
韓国は香港が相手で、順当に勝ち上がれば準々決勝で日韓戦が実現するため、注目はすでにそちらに行っている感がある。ただ、パレスチナもグループリーグでオマーン、タジキスタンを破り、3試合目ではシンガポールに2本の直接FKを決められる形で1−2と敗れたものの、すでに突破を決めた後であまり参考にはならない。
筆者が観る限り日本と”同格”とは言わないまでも、流れ次第では苦戦する可能性の高い相手だ。速いパスワークを軸とする攻撃は高いボールをボーンと蹴ることはあまり無く、グラウンダーの縦パスから前線がドリブルで切り崩す傾向が強い。
理由はFWのマラーバをはじめテクニカルでスピードのあるアタッカーが揃っていること、そして高さのある選手がいないためだろう。全体的にミドルシュートの意識は高いが、サイドを抉ればオフ・ザ・ボールの選手が躊躇無くゴール前に飛び込んで速いクロスに合わせに来る。岩波、植田、西野と高さ、強さを兼ね備える日本代表にとっても、この形がはまると厄介だ。
守備に関しては、これまで対戦したオマーンもタジキスタンも、日本ほど細かいテクニックやコンビネーションを備えておらず、彼らにとって未知の領域と言えるかもしれない。ただ、DFラインはそれほど高さがない代わりに機動力がある。クウェートやイラクよりも、クロスが得点のカギを握りそうだ。第一のターゲットマンは鈴木武蔵だが、MFの大島が課題にもあげる二列目からの飛び出しをタイミングよく出していきたい。
パレスチナにとっては代表チームの活躍は国民の希望となっている様だ。1998年にAFCに加盟したが、ガザ地区におけるイスラエルとイスラム過激派ハマスの戦闘が続く中で、政情不安が続いている。国内が厳しい状況にあって、中東の各地を回りながらチームを強化してきたというパレスチナ代表。バラカト監督は「今大会の活躍で国民を勇気づけたい」と語っている。
来年にはオーストラリアで行われるアジアカップに初出場が決まっており、初戦で日本と対戦する。その意味でも今回は彼らにとって貴重な経験の場になるはずだが、日本が先に進むために確実に超えていかなければならない相手。序盤からリズムをつかみ、チャンスを着実に決めて完勝できれば理想だが、接戦にもつれ込んだ場合は勝利を求める高い意識も重要なファクターになってくるだろう。