選挙小屋、日本でも根付くか?今月二回目の開催【民主主義ユースフェスティバル2024】
自民党裏金問題や自民党過激ダンスショーにより、ますます国民の政治への不信感が高まる中、3月23日、24日に「民主主義ユースフェスティバル2024」が開催される。
「民主主義ユースフェスティバル」とは、昨年はじめて開催されたもので、政治や社会について気軽に話す場を作ろうと、日本若者協議会が主催している。
その中の大きなコンテンツの一つが、日本初となる「選挙小屋」である。
選挙小屋とは、北欧の選挙前の約一ヶ月間、各駅前に設置される各党の小屋(テント)で、そこで有権者は各党のボランティアや政治家本人から話を聞き、投票先を決める。
さらに中学生や高校生も、学校の宿題(各党の違いをまとめる)や模擬投票先を決めるために、選挙小屋を訪れるため、政治家本人と対話する機会をたくさん持つことができる。
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一方、日本では、政治家や選挙の立候補者と有権者の距離が遠く、直接「対話」する機会はほとんどない。
選挙期間中も、一方的な街頭演説や選挙カー、テレビ討論会ぐらいで、ゆっくり話す時間もない。
結果的に、国民が政治家の考えをよく知ることができないことはもちろん、政治家も国民の考えを知る機会がない。
そして、お互いにズレが大きくなり、政治不信や政治への不参加に繋がっている。
こうした状況を改善しようと、日本でも昨年から「選挙小屋」の設置に取り組んでいる。
統一地方選の約一ヶ月前、2023年3月25-26日に開催した「民主主義ユースフェスティバル2023」では、大雨だったにもかかわらず、想定の約5倍となる約3400名に参加してもらい、大盛況となった。
実は、こうした機会がなかっただけで、ニーズは高かったのかもしれない。
文化として根付かせるために必要な「行政の後援」と「全国展開」
2022年9月にスウェーデンで選挙小屋を直接視察して以来、日本で選挙小屋を根付かせるために、3つの展開を計画している。
まず一つ目が、全主要政党が参加する選挙小屋を日本で初めて開催すること。
これは昨年実現できた。
次が、行政の後援を得ること。
北欧では、上述の通り、選挙小屋と学校が連携しており、授業の一環で生徒が訪れるため、全生徒が政治家と対話する機会を持つことができる。
実際、スウェーデンのある中学校で「政治家と話したことはありますか?」と聞くと、全員が手を挙げ、先週選挙小屋で文科大臣と話したといったエピソードがたくさん出てきた。
第二回となる「民主主義ユースフェスティバル2024」で目指していたのがこの行政の後援で、今回無事に世田谷区からの後援を得ることができた。
春休みの時期になるため、授業と絡めることは難しかったが、教育委員会に協力してもらい、地域の小中学生に案内を送ってもらうなど、普段リーチしづらい層にもリーチすることができた。
そして、次に目指しているのが、東京以外での開催だ。
実際、既に企画は始まっており、うまくいけば、2024年秋頃に札幌で、2025年春頃に関西で開催する予定だ。
北欧の選挙小屋は、選挙小屋が一つあるのではなく、ほとんど全ての駅前に設置されているため、各地域でいろんな人が対話したり、情報を得る機会がある。
そのため、次は東京以外で開催しようとしている。
さらにその次は、ノウハウを外部に積極的に共有し、いろんな団体が開催できるようにするための準備も進めている。
2024年は地域政党も参加
このように今後様々な地域に広げていくためにも、今回も成功させる必要がある。
2024年の特徴の一つは、前回よりも会場が大きくなり、参加政党やブース出展する若者・市民団体の数が増えていることだ。
前回は国政政党にしか参加の打診をしなかったが、今回は東京都議会に議席を持っている地域政党にも打診し、都民ファーストの会、緑の党グリーンズジャパン、生活者ネットワークが参加することが決まっている。
他方、裏金問題の渦中にある自民党のみ、今回不参加となってしまったのは残念極まりない。こうした国民との対話を拒否する姿勢がさらに国民の政治不信を加速させる。
3月に訪れたドイツで、地方議員に話を聞いた際、ドイツでは有権者との対話を大事にしており、事務所にオープンアワーを設けたり(その時間は市民が自由に来て話すことができる)、公開しているメールアドレスに連絡が来れば必ず返信をすると言っていた。
ただ日本では政治家にメールを送っても返ってこないことは珍しくないため、なぜか聞くと、きちんと返信をしなければ、次投票してもらうことはないからだという。
そもそも、連絡が来ているのに返事しないことが信じられないとも言っていたが...。
きちんと会話することができるドイツの国民・政治家を羨ましく思ったが、そうした国民への態度を厳しくチェックする姿勢が有権者にも求められるのだろう。
U25模擬選挙
日本では、被選挙権年齢が25歳以上と高く設定されているため、若い政治家が少ない。
しかし本来、社会の将来を決める意思決定の場に、その当事者である若者世代がいないことはおかしい。
そのため、民主主義ユースフェスティバル2024では、若い世代の問題意識を可視化するために、U25模擬選挙を行っている。
参加条件を「25歳以下」「3人以上のメンバーで構成された政党」とし、10政党が参加している。
最年少のグループは中学生と、多岐にわたるグループが出馬している。
当日は会場にU25模擬選挙ブースを設置し、各政党のポスターや選挙公報を掲示するだけでなく、会場内で直接立候補者と対話することもできる。
それらを見て、ぜひ投票してもらいたい。
U25模擬選挙特設ページ
https://democracyyouthfestival.com/u25mock-election/
このように、前回よりも大規模になった民主主義ユースフェスティバル2024。
北欧5カ国も後援に入り、パネルディスカッションに登壇するなど、世界でもっとも民主主義が発展している北欧の取り組みなども知ることができる。
民主主義ユースフェスティバル2024 開催概要
日時:2024年3月23日・24日(2日間)
1日目ー11時〜17時45分、2日目ー11時〜16時(途中入退出可)
※雨天決行(雨対策をしています)
場所:駒沢オリンピック公園 中央広場(東京都世田谷区駒沢公園1−1)
定員:会場のキャパは1,000名程度(2日間で計10,000名の見込み)
対象:若者を中心とした全世代
主催:日本若者協議会
運営:民主主義ユースフェスティバル2024実行委員会
協力:Climate Live Japan実行委員会、株式会社ドワンゴ
後援:世田谷区、スウェーデン大使館、フィンランド大使館、デンマーク王国大使館、アイスランド大使館、ノルウェー大使館
特別協賛:パタゴニア日本支社
協賛:マカイラ株式会社、ザボディショップジャパン株式会社
参加費:無料(申込不要)
コンテンツ(大枠):
①各場面での民主主義の現状を問うパネルディスカッション
②超党派の政治家と気軽に対話する場(選挙小屋)
③若者団体/市民団体によるブース
④ワークショップ、ラウンドテーブル(来場者同士の対話)
⑤エンタメ(音楽ライブや飲食など)
詳細→ https://democracyyouthfestival.com/