世界最大の湿原で「史上最大の森林火災」追い打ちをかける史上最高気温
冬が終わったばかりの南アメリカに、前代未聞の高温が襲っています。
パラグアイの首都アスンシオンでは9月26日(土)気温が42.2℃まで上がり、この地点における観測史上最高気温を記録しました。9月の平均気温は26℃ですから、16℃も上回る高温です。
さらにフランスの気象学者によると、同国ポゾホンドでは45.5℃となり、国内最高気温記録となる可能性も出ているそうです。
週末はアルゼンチン北部でも45.5℃の高温が観測されました。
さらに今週に入っても記録が続々と生まれています。
30日(水)にはブラジルのアグアクララで44.1℃まで気温が上がり、9月の国内最高気温記録となりました。これは国内最高気温記録に、あと0.5℃に迫る高温です。
収まらない「パンタナル」の火災
高温とともに襲っているのが記録的な少雨です。このため、かつてない規模の山火事が発生しています。
ブラジル、パラグアイ、ボリビアにまたがる世界最大の湿地「パンタナル」では、7月から大規模な火災が起きています。
パンタナルにはジャガー、カピバラ、オオアルマジロといった絶滅の危機に瀕している動物を含む数多くの動植物が生息し、ユネスコ世界遺産にも登録されています。
雨季にはその8割が水に浸かるという、世界一水量の多い平原となりますが、乾期である冬季には、放牧や農耕のために野焼きが行われるようです。野焼きは例年のことですが、今年は「50年来で最悪」ともいわれる干ばつにより、火が拡大を続けています。
今年に入って1万7千件もの火災が発生、これは年平均の3倍で、かつ1998年に観測が始まって以来最多とのことです。
パンタナル全体の22%に当たる3万平方キロメートルが焼失、これは現在カリフォルニアで起きている山火事の焼失面積の倍に匹敵します。
動物への影響
干上がった川でワニや、2メートル近いアナコンダの焼死体が発見されています。また多くのジャガーが火災の犠牲になったもようです。生き残っている動物も、食べ物や飲み水がない状態で死の危険が及んでいます。
残念なことに、「一度焼失した生態系は二度と復活することはないかもしれない」と専門家は発言しています。
コーヒー価格上昇
高温少雨の影響は、農業にも大きな影を落としています。この影響で、2021年のブラジル産のコーヒー豆の価格が上昇すると予想されています。
暑さはいつまで
記録的熱波はあと2日は続き、さらに記録が更新される可能性が出ています。
一般に、南半球のもっとも暑い月は1月から2月です。まだ盛夏までに3か月近くもあるこの時期に記録が次々と出ており、この先を考えると恐ろしくなります。