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楽天カード「完全ナンバーレス」選択可能に さっそく作ってみた

山口健太ITジャーナリスト
新たに登場したらナンバーレスの楽天カード(筆者撮影)

楽天カードが、表面にも裏面にもクレジットカード番号を記載しない「ナンバーレス」カードの発行を7月29日から開始しました。

裏面もナンバーレスのカードはいくつかのカード会社が発行していますが、利用者数の多い楽天カードが対応したのは注目といえます。使い勝手はどうなのか、実際にカードを作ってみました。

裏面からもカード情報を撤廃

楽天カードは2021年に実施したリニューアルにより、カード情報を裏面に集約し、表面にカード番号を記載しない「片面」ナンバーレスになっています。

表面からカード番号をなくすことで、他人にカード番号を見られる心配が減るほか、デザインの幅が広がるとか、SNSなどにカードの利用シーンを投稿しやすいといったメリットがあります。

さらに、裏面を含めて「両面」ナンバーレスのカードも出てきています。今回登場した「楽天カード(ナンバーレス)」では、「2枚目」として発行するVisaブランドの一般カードの場合のみ、選べるようになりました。

ナンバーレスは通常デザインのみ選択できる。Visa以外の国際ブランドについては、今後検討していくという(楽天カードのWebサイトより)
ナンバーレスは通常デザインのみ選択できる。Visa以外の国際ブランドについては、今後検討していくという(楽天カードのWebサイトより)

このような形で始めた理由について、楽天は「ナンバーレスを求めるニーズがある一方、券面で番号を確認したいという場面も残っている。そこで2枚目かつ、最も利用者の多いVisaから始めた」(楽天カード広報)と説明しています。

ナンバーレスを使ってほしいのか、使ってほしくないのか、よく分からない対応に感じるところはありますが、以前に完全ナンバーレスのカードには対応していないホテルがあったように、世の中にはナンバーレスで困る場面がまだ残っている可能性はあります。

楽天プレミアムカードや、最近申込受付が始まった楽天ブラックカードをナンバーレス化できないのは残念に感じますが、楽天カードは利用者数が多いだけに、全面的に展開するにはまだ時期尚早と判断した印象を受けます。

さて、実際に筆者のアカウントでナンバーレスカードを発行してみました。手元に届いたカードを確認したところ、たしかにクレジットカード番号や有効期限の記載はなくなっていることが分かります。

ナンバーレスカードの裏面。カード番号や有効期限は書かれていない(筆者撮影)
ナンバーレスカードの裏面。カード番号や有効期限は書かれていない(筆者撮影)

裏面がすっきりしている理由の1つとして「署名欄」もありません。楽天カードは2023年12月からサインパネルレスのカードを発行しており、ナンバーレスカードでも採用されています。

ただし、カードの裏面にいくつか情報は残っています。まず、通常デザインのカードにはない項目として、カードの発行日(ISSUED)が加わっています。

楽天によれば、これはカードの更新や再発行をした場合に新旧カードを区別するための記載とのこと。他社の完全ナンバーレスカードにもみられる仕様です。

ほかにも、楽天ポイントカードの番号とバーコードが記載されています。カード発行時に「楽天Edy」の搭載を選択した場合には、従来通り「Edy番号」と「Edyコード」も記載されるようです。

楽天Edyを搭載した場合は「Edy番号」や「Edyコード」も記載されるようだ(楽天カードのWebサイトより)
楽天Edyを搭載した場合は「Edy番号」や「Edyコード」も記載されるようだ(楽天カードのWebサイトより)

理由としては、問い合わせ時にEdy番号を確認したり、楽天ポイントカードの番号を入力したりするのに、券面に書かれている番号が必要となる場面が存在するためとしています。

カード番号や有効期限、セキュリティコードについては、楽天カードのアプリで確認できます。ただ、発行したカードの情報がアプリに反映されるのはカードの受取日から「通常3日以内」と案内されています。

筆者の場合はカードを受け取った翌日にアプリに反映されました。カード自体は受け取りの直後から使えるとのことですが、アプリに反映されるまでは3桁のセキュリティコードが分からず、オンラインでの買い物やApple Payへの登録には使えませんでした。

カード情報がアプリに反映されたら本人確認が可能になる。しかし登録から一定期間は表示できないようだ(楽天カードのアプリ画面より、筆者
カード情報がアプリに反映されたら本人確認が可能になる。しかし登録から一定期間は表示できないようだ(楽天カードのアプリ画面より、筆者

最近ではクレカの審査が終わるとすぐにアプリにカード情報が表示され、物理カードを受け取る前からオンラインやApple Payで使えるものがあることに比べると、改善の余地があるのではないかと思うところです。

また筆者は以前から「2枚目」の楽天カードを持っていたのですが、ナンバーレスのカードを発行するにはいったん解約し、再度「2枚目」として申し込む必要がありました。複数枚のカード発行についても柔軟な対応を期待したいところです。

今後もスマホアプリの普及を背景に、物理カードがシンプルになっていくトレンドは続きそうです。多くの場面では表面だけのナンバーレスでも十分に安心して使えますが、その上で完全ナンバーレスを求める人がどれくらいいるのか注目といえます。

完全ナンバーレスで裏面も見せやすくなる

楽天カードの特徴の1つに、「カードを裏返して楽天ポイントカードのバーコードを提示する」という使い方があります。

実際、お店のレジで楽天カードをくるっと裏返してバーコードを読み取ってもらい、そのままカードで支払っている人を見かけることがあります。

ただ、カードの裏面にクレジットカードの情報が記載されていると、ポイントカードを使うたびに不必要な情報まで見せることになってしまいます。

裏面からカード情報がなくなることで、店員さんを含め、周囲の目を気にすることなくポイントカードを出せるようになるのは、完全ナンバーレスの意外なメリットといえそうです。

ITジャーナリスト

(やまぐち けんた)1979年生まれ。10年間のプログラマー経験を経て、フリーランスのITジャーナリストとして2012年に独立。主な執筆媒体は日経クロステック(xTECH)、ASCII.jpなど。取材を兼ねて欧州方面によく出かけます。

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