異様な北朝鮮の日本バッシング! 「日韓」よりも最悪の「日朝」
韓国の代表的な北朝鮮専門家として知られ、盧武鉉政権下(2003-07年)で統一部長官に任命(2006年)された李鍾奭(イジョンソク)氏が6月2日、記者会見を開き、改正された朝鮮労働党規約について解説をしていた。
興味深いのは旧規約から「日本軍国主義と侵略策動を粉砕して」の文言が消えたことについての分析で、李元統一部長官は「日朝関係に肯定的なシグナルとして作用する可能性がある」と予測していた。また、こうしたことから新規約には日本に対する「認識の変化も反映されている」と分析していた。
朝鮮労働党規約が改正されたのは党大会が開かれた1月初旬である。それから半年になるが、この間の北朝鮮の報道をチェックする限り、日本に対しては批判、非難のオンパレードで対日認識の変化は微塵も感じられない。大会終了と同時に対日批判は再開され、今日まで絶えることなく続いている。米国に対する批判が自制されているのとは好対照である。
(参考資料:北朝鮮の矛先は日本! ヒートアップする対日非難! 米国に対しては沈黙)
北朝鮮の対日バッシング報道は1月から2月は月平均で3本程度だった。しかし、3月には6件と倍増し、4月は1日に朝鮮人強制連行被害者・遺族協会代弁人が「国家総動員法」公布から83年に際しての談話を発表し、元慰安婦をはじめとする植民地時代の被害者への謝罪・賠償を日本政府に求めたのを皮切りに28日には朝鮮中央通信が陸上自衛隊による大規模な軍事演習計画を非難する論評を配信するなどその数は14件に上った。
先月(5月)はやや減ったものの、それでも確認されただけでも以下8件に上る。
4日 日本政府の福島処理水放出決定を対外宣伝サイト「メアリ」が批判。
5日 菅首相をはじめとする閣僚らの靖国神社への供物奉納や安倍前首相の参拝などについて朝鮮中央通信が「戦争犯罪の賛美は許されない」と非難する論評を配信。
10日 日本の外交青書について宣伝媒体「我が民族同士」が「独島強奪の野望はいつになっても実現できない」と批判。
11日 日本政府が教科書の「従軍慰安婦」の表記から「従軍」を削除することを決めたことを外務省のホームページで批判
13日 日本の外交青書に「竹島」(独島)が「日本固有の領土」と明記されたことを朝鮮中央通信が「大陸侵略の発火点となる」と非難。
14日 日本の原発処理水放出を「我が民族同士」が批判。
19日 菅首相が憲法9条への自衛隊明記を含む改憲を目指す立場を明らかにしたことを朝鮮中央通信が「戦争をできる国にしようとの足掻き」と非難する論評を配信。
26日 岸防衛相が北朝鮮を「安全保障上の懸念である」と発言したことを朝鮮中央通信が「先制攻撃能力保有の正当化するものである」と非難。
今月(6月)も、まだ一週間しか経ってないが、すでに4日、5日、6日と3日連続して日本を叩いている。
例えば、4日は朝鮮中央通信が東京五輪組織委員会のホームページの地図に竹島が表示されていることを批判し、5日は北朝鮮外務省傘下の日本研究所研究員が「日本は周辺諸国を脅かす張本人である」と非難し、6日は党機関紙「労働新聞」が「日本の慰安婦強制動員問題に対する中国の立場は一貫して明確だ」と述べた中国外交部報道官の1日の発言を「過去の犯罪を否定しようとする日本の恥知らずの仕打ちを糾弾する」と題して取り上げていた。
菅義偉首相は就任以来、再三「金正恩委員長に無条件に会う用意がある」と北朝鮮に呼びかけ、また、加藤勝信官房長官も5日に新潟市内で行われた横田めぐみさんの父、滋さんの一周忌の追悼会にリモート出席し、「拉致問題は菅内閣においても最重要課題である。すべての被害者の一日も早い帰国実現へ全力で行動していく」と述べていたが、北朝鮮の対日批判はエスカレートする一方で、今年も拉致問題の進展は期待できそうにもない。