観測史上最強ハリケーン、メキシコ上陸へ 最大瞬間風速110メートルも
観測史上最強ハリケーン発生!
綺麗な薔薇にはとげがあるとはよく言ったもので、綺麗な名前の嵐にも、十分用心しなくてはいけません。ハリケーン・パトリシアは、その可憐な名前とは裏腹に、観測史上最も強いハリケーンへと成長しました。
日本時間24日00時点の中心気圧は880hPa、これは過去の東部太平洋で発生したハリケーンの中で、最も低い記録です。これまで、地球上で最も気圧が低かったのは、昭和54年・台風20号(国際名:チップ)の870hPaですが、この台風は最盛期には海上にありました。すなわちパトリシアは、いまだかつてない勢力で陸に到達する恐れがあるのです。
パトリシアの最大瞬間風速は110メートル(日本時間24日00時点)です。風速110メートルといえば、2013年にフィリピンを襲った台風ハイエン(ピーク時100メートル)すらも上回る勢力です。また竜巻ならば、上から2番目に強い「F4:激烈な竜巻」に匹敵します。このハリケーンはむしろ、非常に巨大な竜巻と想像してもいいのかもしれません。
メキシコのハリケーン事情
本来、メキシコの西岸は東風が吹いており、ハリケーンは上陸せずに海の方向に移動することが多いのです(参考)。しかし、パトリシアは異例な進路を取り、ほぼ最盛期のまま上陸する恐れが出てきました。ただですら、人類が今まで経験したことのないハリケーンであるばかりか、そもそもメキシコの太平洋側という、ハリケーンのあまり来ない場所に上陸する恐れがあるのですから、その被害は想像を超えるものになる恐れがあります。
前回この付近にカテゴリー5のハリケーンが上陸したのは、1959年、今から55年以上も前のことです。その時には、1800人の方が命を落としています。
本日、メキシコ上陸へ
パトリシアの上陸予想時刻は、日本時間24日(土曜)朝頃です。気象当局は“破滅的な災害”が起こる可能性があると、最大級の警戒を呼びかけています。風のみならず、多いところ500ミリの雨が降り、また波の高さも13メートルになると予想されています。