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Netflix、Spotify、定額黒船がやってくる!

神田敏晶ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

KNNポール神田です!

メールアドレスを受け付けるNETFLIX
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Netflixは、約50カ国で5,700万人以上が利用するサブスクリプション型の動画配信サービス。映画やテレビ、オリジナル番組など月あたり20億時間以上という豊富なコンテンツを武器に、北米市場を中心に確固たる地位を築いた。

米国の大手映像配信サービス「Netflix」(ネットフリックス)が今秋から日本でのサービスを開始すると発表した。料金やコンテンツ、対応機器などの詳細については、後日改めて発表される。

出典:「Netflix」が秋に日本上陸――日本オフィスも立ち上げ

ついに、あのNetflixが日本に上陸する。世界5,700万人だが、米国で5,000万人のユーザー数を誇る。Netflixは、1997年創業。TSUTAYAのようなレンタルビデオシステムを、店舗ではなく、郵送で月額制度で提供しはじめたベンチャーだ。ネット回線の進化と共に、貸出中のないオン・デマンドで映像を配信。HDMIでテレビに出力できるようになってからはCATVなどの市場へ食い込んだ。

CATV HBOの売上に迫るNetflix
CATV HBOの売上に迫るNetflix

タイム・ワーナー傘下のHBO(セックス・アンド・ザ・シティの製作などで有名)らも、Netflixに市場を侵食されつつある。

Netflixの強みはSVOD(Subscription Video on Demand)

CATVでは、マルチチャンネル、多くは400チャンネルもあるが、基本的にはEPG(電子番組ガイド)と呼ばれる番組ガイドのスケジュールに合わせてテレビで視聴をする(原則的にセットトップボックスが設置されたモニタ)。しかし、SVODのNetflixは、検索し、どこでも、好きな時間に、視聴できるところに価値がある。しかも、テレビモニタでも、タブレットでも、スマートフォンでも、デバイスの端末は自由なのだ。

みなさんも経験があるかと思うが、テレビリモコンのユーザーインタフェースは最悪だ。しかもレスポンスが悪く、メーカーごとに規格がバラバラ。それで好きな番組をチョイスするだけでもストレスだ。しかし、それが物理的なネット上のプラットフォームであるNetflixであれば、検索で選べるし視聴履歴でレコメンドされる。もっとすごいのは、ユーザーが、どの映画を何分後に視聴を辞めたかまでのデータを集積していることだ。

現在これができるのは、Netflixとamazonくらいだろう。そんなNetflixがCP(コンテント・プロバイダー)から提供されるだけでなく自社で番組も製作をはじめた。日本で想定すると、TSUTAYAや、ゲオが番組を作って無料でレンタルするようなキャンペーンをやっているイメージだろう。

膨大な視聴データをもとに、番組製作に反映していく。そんなマーケティングをおこなっている製作社は皆無だ。

もっとTV、そしてhulu。 Netflixとのシナジーはあるのか?

そして、Netflixが日本に上陸するということは、既存のテレビ受像機の既得権者たちとの、水面下の交渉がなんらかのカタチで落ち着いたのだろう。民放各社は、若年層のテレビ離れを食い止めたい。受像機メーカー側との

アプローチである呉越同舟&護送船団方式の「もっとTV」が先月3年間の実質上のトライアルを終了。そして、本格的に受像機側に頼るのではなく、HDMIに接続されたデバイス端末から受像機側が供給を受ける日本テレビ放送網が主導する月額課金のhuluへ舵が取られたと思われていたところだ。

huluは会員数を非公開だが、日本でのイニシアティブは日テレにある。なんらかのNetflixとの民放との交渉があってもおかしくはないと思う。日本の映画興行でも海外映画よりも日本映画が貢献しているからだ。そして、現在の日本映画はテレビ局が必ずサポートしている状況だ。この秋の上陸、huluが海外コンテンツだけの丸腰で上陸したのとは違い、Netflixの海外国際戦略にのっとり、日本側のCPとのグロスでのチャネル展開が気になるところだ。

また、今月、民放連は無許諾ネット公開は違法とのキャンペーンを開始する。YouTubeに取られた視聴者を取り戻すための施策にも見えなくもない。

そして、Spotifyまでやってくる!

ソニーが自前のMusic Unlimitedを2015年3月29日に終了し、Spotifyと提携し、2015年春から、世界41ヶ国で「PlayStationMusic」の提供を行うという。日本でのSpotifyの提供は未定とあるが、実際にSpotify.comでは日本のユーザー向けへのメッセージが表示されているところを思案すると、時間の問題だと容易に想像ができる。

ハードウェアに依存してきた日本のメーカーやCPが、ソフトとクラウドによるサービスへ一気にシフトしていかなければ、今後は生き残れないことが理解されたと判断している。ようやく、これで日本のコンテンツもソフトやクラウドで提供される時代のスタート地点にたどりつけたようだ。しかし、これで無事にスタート&ダッシュが飾れるとは限らない。過去のビジネスモデルが必ず脚をひっぱりだすからだ。

日本のメディア経営層はそこの舵とりを覚悟しておく必要がある。

過去のレガシーを断ち切り、新たなビジネス構築に望まないと、また、中途半端な失われた「もっとTV」の時間を作ってしまうだけだ。

ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

1961年神戸市生まれ。ワインのマーケティング業を経て、コンピュータ雑誌の出版とDTP普及に携わる。1995年よりビデオストリーミングによる個人放送「KandaNewsNetwork」を運営開始。世界全体を取材対象に駆け回る。ITに関わるSNS、経済、ファイナンスなども取材対象。早稲田大学大学院、関西大学総合情報学部、サイバー大学で非常勤講師を歴任。著書に『Web2.0でビジネスが変わる』『YouTube革命』『Twiter革命』『Web3.0型社会』等。2020年よりクアラルンプールから沖縄県やんばるへ移住。メディア出演、コンサル、取材、執筆、書評の依頼 などは0980-59-5058まで

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