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「恋する気持ち」を忘れてしまった30代40代へ。処方箋は2つある

大宮冬洋フリーライター

「いい人をご紹介いただいたとは思うんですけど、ビビッとは来ませんでした」

「10年近く恋人がいません。人を好きになる気持ちを忘れてしまいそうです」

「ときめきって何でしたっけ?」

筆者は、恋愛や結婚に関するインタビューを重ねつつ、「素敵だな」と個人的に思うアラフォーの男女は引き合わせる活動をしている。趣味と実益を兼ねて様々な人の「恋バナ」を聞きまくる日々で、32歳を過ぎたあたりから男女ともに恋愛がしにくくなっているのを痛感する。冒頭のような言葉を耳にすることが多いのだ。

大手の結婚相談所で働くベテランのお見合いおばさんの持説によれば、恋する気持ちは20歳ぐらいでピークに達して緩やかに低下していく。生物学的にも大きくは間違ってはいない見解だと思う。人間も動物なので、本当に繁殖に適した時期は男女ともに20歳前後なのだ。

高学歴化と都市化が進んだ現在、一般的な結婚適齢期は30歳ぐらいである。10代後半は「繁殖」への欲求は抑えて学業などに励み、20代前半で少し遅い青春を謳歌し、20代後半で落ち着くというパターンだ。20代のうちならば、「失恋しても半年後ぐらいには次の恋を見つける」といった元気が残っているのだろう。

しかし、30歳を過ぎても独身で、結婚願望はあるにも関わらず恋人すらいない人たちが増加中だ。頭では「恋人がほしい」「結婚したい」と思っているけれど、年齢を重ねるにつれて恋愛の優先順位は体内でどんどん下がっていく。一人暮らしは快適だし、友だちもいる。夢中になっている趣味もあるし、仕事はもっとがんばりたい。すごく好きになれる人がいたらぜひお付き合いしたいけれど、なかなか現れない――。

筆者自身も「晩婚さん」なので、親愛の情をこめて彼らにアドバイスをしたい。「すごく好きになれる人」が世の中に少ないと感じるのは誰かのせいではない。自分の中での恋愛の優先順位が下がったことが主因だ。ならば、処方箋は2つしかない。

1つは、恋愛感情を重視しすぎないこと。「すごく好き」という激しい感情は起きなくてもいい。「生理的に嫌ではない」相手だったらデートを重ねる努力をしよう。そして、ダメな要素ではなく社会人として尊敬できるポイントを探すのだ。

よく聞くのは、「2度目以降のデートのお誘いがないので自然消滅。私も彼(彼女)が特に好きというわけではないので構わない」という話。無駄なプライドだ。そういう受け身で消極的な姿勢が恋愛を遠ざけていることに気づかねばならない。

もう1つの処方箋は、とにかく出会いの数を増やすことだ。友人知人に頭を下げて紹介をお願いする、同窓会や職場の飲み会などには積極的に参加する、ネットや結婚相談所に登録する、など自分に合ったやり方を選べばいい。数撃てば当たる、求めよさらば与えられん、である。

ここで注意したいのは、出会う相手や紹介してくれる人への感謝の気持ちを忘れないこと。結婚相談所の人たちも人間である。お金のためだけではなく、使命感や誇りを持って働いている人も多い。「ちゃんとした会員さん」にはそれにふさわしい相手を紹介したい、何とか幸せにしてあげたい、と思うのが人情だ。逆に、身勝手で思いやりがないような人は「何もしてあげたくない。早く退会して」と思うだろう。他者に感謝できない人は自分が損をするのだ。

以上の2つの処方箋を組み合わせることができれば強い。恋する心は忘れてしまっても構わない。常識ある社会人として周囲へ感謝しつつ、幅広く相手を求めて、前向きな姿勢でデートをしよう。親しく付き合っていたり、一緒に家庭を築いているうちに、尊敬をベースにした淡い恋心をパートナーに覚えるようになるかもしれない。

フリーライター

僕は1976年生まれ。40代です。燦然と輝く「中年の星」にはなれなくても、年齢を重ねてずる賢くなっただけの「中年の屑」と化すことは避けたいな。自分も周囲も一緒にキラリと光り、人に喜んでもらえる生き方を模索するべきですよね。世間という広大な夜空を彩る「中年の星屑たち」になるためのニュースコラムを発信します。著書は『人は死ぬまで結婚できる』(講談社+α新書)など。連載「晩婚さんいらっしゃい!」により東洋経済オンラインアワード2019「ロングランヒット賞」を受賞。コラムやイベント情報が読める無料メルマガ配信ご希望の方は僕のホームページをご覧ください。(「ポスト中年の主張」から2017年3月に改題)

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