民主党バイデン候補の外交(3)
それでは中東政策を具体的に見ておこう。まず大枠を語れば、アメリカが中東に介入して自らのイメージに似せた民主国家を創ろうというブッシュ息子大統領の時代の初期のような野心に批判的である。アメリカには、そうした力はない。必要なのは中東での国家建設ではなく、この地域からのテロリストによるアメリカ攻撃の阻止である。であるならば必要なのは、少数の対テロ戦争に特化した部隊である。つまり少数の特殊部隊を中東に駐留させてドローン(無人機)などを使いつつテロ組織を攻撃しようという発想である。これも基本的にはオバマ期の政策である。ある意味トランプも引き継いだ考え方である。下のグラフをご覧いただきたい。これはイエメンにおけるアメリカによるドローン攻撃の回数を示している。オバマ大統領になって、日常的にとも言えるほどの頻度でドローンが使われるようになった。そして、トランプがそれを引き継いだ。その実態が数値でデータ的に確認できる。なおブッシュ期に回数が少ないのは、まだドローンそのものの開発や配備が進んでいなかったからだ。
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