丸亀のナイター2戦目は完封勝利!“故郷”で快投を披露した秋山《7/30 阪神ファーム》
30日も18時開始のナイトゲームだったウエスタン・阪神-広島戦。29日のお客様は1777人とちょっと少なめでしたが、この日は早くから入場待ちの列ができ、予定より5分早く15時55分に開門となっています。練習をしている選手たちも、外で待つお客様も心配になるほどの猛暑続きなので、ナイターは大正解ですね。ちなみに30日の観衆は2750人でした。
試合前に、この日の先発・秋山投手のご両親とお姉さんが、たくさんのぶどうを差し入れに球場入口へ来られました。この四国コカ・コーラボトリングスタジアム丸亀で初めてウエスタンの試合が行われた昨年夏も、秋山投手は帯同していなかったにもかかわらず、やはり差し入れを持って来られたとか。というのも実は、秋山投手のご両親は香川県丸亀市のご出身なのです。
そして、秋山投手自身もプロフィールに『出身・丸亀市』と書いてあるように生まれたのは丸亀で、本人が小学校3年生の4月に一家は愛媛県西条市へ引っ越しました。この四国Cスタ丸亀のすぐ近くにおうちがあったとか。ちなみにその当時、球場のあるところ一帯は「田んぼです(笑)」とお母さん。お姉さんは6年生の4月に転校したわけで、卒業まで1年足らずだったのは寂しかったでしょう?と言ったら「修学旅行に行けなかったのが…」と苦笑いでした。
そんなわけで秋山家だけでなく、丸亀の親戚やお知り合いの皆さんも駆けつけた、その前で秋山投手は今季一番といってもいいくらいの好投を披露!8回4安打無失点、三振は4回から5回にかけての4連続を含む7つ、そして無四球です。これで7勝目を挙げ、中日・伊藤投手と並んでリーグトップ、奪三振69もトップ(ソフトバンク・山田投手とタイ)、防御率2.52と勝率.778はリーグ2位の成績となっています。
打線は3回に陽川選手の併殺打の間に1点を先取。7回には、秋山投手をリードした小宮山選手のタイムリー二塁打、8回はヘイグ選手の3ランでダメを押して快勝。前日に作った借金1を一日で返して、通算成績を38勝38敗5分けと5割に戻しました。
なお、きょう31日は四国Cスタ丸亀で午前中に練習を行い、午後は野球教室だったのですが、へイグ選手とサターホワイト投手は先に帰阪。へイグ選手は少し体調を崩したようで、でも大したことはなく火曜日から合流予定です。サターホワイト投手はドリス投手との入れ替えで、きょう出場登録されましたね。そのため丸亀では結局、登板せずに帰っています。
では、きのう30日の試合詳細をどうぞ。
《ウエスタン公式戦》7月30日
阪神-広島 19回戦 (丸亀)
広島 000 000 000 = 0
阪神 001 000 13X = 5
◆バッテリー
【阪神】○秋山(7勝2敗)-高宮-福原 / 小宮山
【広島】●塹江(1勝3敗)(6回)-中村恭(1回1/3)-飯田(2/3回) / 中村亘
◆本塁打 へイグ2号3ラン(中村恭)
◆二塁打 陽川、小宮山、堂林
◆打撃 (打-安-点/振-球/盗/失) 打率
1]右:上本 (3-1-0 / 1-1 / 1 / 0) .326
〃右:板山 (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .231
2]遊:植田 (3-1-0 / 1-1 / 0 / 0) .119
3]一:陽川 (4-2-0 / 1-0 / 0 / 0) .316
4]中:横田 (3-0-0 / 0-1 / 1 / 0) .294
5]指:へイグ (4-1-3 / 0-0 / 0 / 0) .349
6]三:今成 (3-2-0 / 1-1 / 0 / 0) .300
7]二:森越 (3-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .219
8]捕:小宮山 (4-1-1 / 1-0 / 0 / 0) .246
9]左:俊介 (3-1-0 / 2-0 / 0 / 0) .256
◆投手 (安-振-球/失-自/防御率) 最速キロ
秋山 8回 99球 (4-7-0 / 0-0 / 2.52) 146
高宮 0.1回 4球 (0-1-0 / 0-0 / 2.35) 139
福原 0.2回 9球 (0-1-0 / 0-0 / 5.32) 145
試合経過
阪神の秋山が丸亀市、そして広島2年目の塹江が高松市出身ということで、地元・香川同士の先発となった試合。まず阪神の守りからご紹介しましょう。
秋山は1回、2回と三者凡退で上々の立ち上がり。3回は2死から9番の中村亘に右前打を許しますが、小宮山の盗塁阻止により3人で終了。すると4回、5回はまた三者凡退で、しかも4回2死から堂林、5回のエルドレッド、プライディ、土生と4者連続で三振(すべて真っすぐで)を奪っています。ここまでで既に7奪三振。
6回は3回と同じく簡単に2死を取ってから、また中村亘に左前打を浴び、ここで小宮山がマウンドへ。次の野間は1球で一ゴロに仕留めました。7回は1死から3番。堂林に右翼線二塁打。今度はベンチから高橋投手コーチが出向き、間合いを取ります。続くエルドレッド、プライディを打ち取り、初めてのピンチも0点に抑えた秋山は回も続投。先頭の土生に中前打されながらも、後続3人をわずか5球で料理して無失点!
ここまで99球、おまけに無四球だった秋山ですが、9回は高宮が登板して先頭の野間を空振り三振に。ついで福原に代わり、美間も空振り三振。最後は堂林を中飛に打ち取って、3投手で合計112球の完封リレーです。
一方の攻撃は1回に2死から陽川の中越え二塁打、2回は1死から今成の左前打があったものの得点なし。しかし3回、先頭の俊介が中前打で出て、上本と植田は連続四球で無死満塁!続く陽川は二ゴロ併殺打に倒れますが、この間に1点を先取しました。そのあと5回に上本が左前打と盗塁を決めるも追加点にはつながらず。
1対0のまま迎えた7回、広島2人目の中村恭から今成が四球を選び、森越は初球で送って1死二塁。続く小宮山が秋山を援護する右越えタイムリー二塁打!大きな2点目が入りました。8回は植田と陽川が連続で左前打して、横田は遊ゴロで一塁に残り盗塁成功。1死二、三塁となってヘイグがレフト芝生席に第2号3ランを放り込み、とどめを刺しています。
バッテリーが作った攻撃のリズム
秋山投手の好投はもちろん「小宮山も含め、バッテリーで攻めていった」と掛布監督。そのあとも以下のように、何度も“バッテリー”という単語が出てきたので、前日の試合結果との違いはそこにある、ということかもしれませんね。
「序盤は苦しかったけど、あの(3回の)1点が、カープに重くのしかかったかな。こちらが作戦を立てるんじゃなく、野球のセオリー通りにやるということ。秋山と小宮山がそうさせていた。バントやエンドランも出しやすい状況を作ってくれた。序盤は苦しいと言いつつ流れを向こうに渡さず攻め続けて、ピンチはあったけど秋山のピッチングを見ると同点までは覚悟もできた。バッテリーが攻撃のリズムを作った」
秋山投手について「右打者へのシュート気味のボールがよかった。タテの大きいカーブもね。ソフトバンク戦(21日、8安打7失点で6回途中降板)は緩急が使えていなかった。緩いボールを投げるのは勇気がいるけど、投げたからといって逃げているわけじゃない。逃げたカーブではないよね。攻めるカーブだった。それに尽きると思う」と振り返っています。
また高橋投手コーチの秋山投手評は、まず「素晴らしかったですね!」という言葉でした。そして「7回のピンチは、1点差ということもあって勝ちを優先したら交代というところで、もう1イニング使ってもらったのは大きい。彼がカラを破るのにつながるはず。8回は左から入る打順だったし、1軍なら左の中継ぎに代わるところですよ。一皮むけるような収穫になったでしょう」とのこと。
「頑張っているところを見せられてよかった」
あちこちから「ナイスピッチング!」と声をかけられた秋山投手は「ありがとうございます」と飛びっきりの笑顔を見せました。我々の取材にも「よかったですね」とニッコリ。今回は緩急も使えていたのでは?と聞かれ「最近シュートを投げ出して、それに頼って結果を求めている部分があったので、きょうはカーブも使いながら」と答えています。なおシュートについては「きょうブルペンで悪かったので1球も投げず」だったそうです。
「カットボールとフォークがよかった。小宮山さんがそれでリードしてくれて、しっかり投げられたと思います。欲を言えば、フォークがもっと低めにいけたら球数を少なくできたかな」。初めて迎えたピンチをしのいで8回もマウンドへ。「7回投げ終わって、8回もいかせてもらえた。すんなりとはいかなかったけど、粘れたと思います」。満足感が見て取れました。
なお幼少時を過ごした丸亀の地での好投に「家族も親戚も来てくれていたんで、頑張っているところを見せられてよかった」と笑顔の秋山投手。この球場はもちろん初めてですが、住んでいたのもすぐ近くで「ホテルへ行く時に通る道だった」とか。きっと拓己少年はこのあたりを駆け回って遊んでいたんでしょうねえ。もう既に軟式野球を始めていたかな?
そして観戦されたお父さんは、地元で打たれたらどうしようと心配されていたそうですが、よかったですね!ことしは無四球の好投も多いのに、でもそれを1軍でなかなかタイミングよく披露できない秋山投手です。夏から秋にかけて、きっと必要とされるはず。その時までずっと…というのも酷な希望ですけど、折れずに続けていってください。
この日の打点は小宮山とへイグ
攻守で勝利に貢献した小宮山選手は「要求通りに投げ込んでくれて、よかったですね」と秋山投手のピッチングを振り返り、自身のタイムリー二塁打には「いいところで打ててよかった」と、ひとことだけ。
最後に、久々の一発が出たへイグ選手です。「粘りながら、最後(のホームラン)は自分のバッティングができた。しっかり芯でとらえられて、強く打てたのでよかった。自分のバッティングができて、結果的にはチームにとっても自分にとってもいいホームランになったと思う」とコメント。
そんなヘイグ選手について、掛布監督は「アウトになるのはいいけど、攻め込まれている。弱さが見えてしまう。そのあたり、1軍へ行く云々という話になれば、もっと強い打球を打ってくれないと。最後(8回)は外野フライを打とうとして上げたんだろうね。大きなホームランだと思うけど、ヘイグはストレートの対応でしょう。今後の課題は」と話しています。まだこれからという感じに聞こえました。