主な新興国・米国経済ニュース(24日)
米当局、米アマゾンの無人ヘリを使った商品配達の導入実験を承認
米連邦航空局(FAA)は先週、米オンライン小売り大手アマゾン<AMZN>が計画中の顧客の自宅に直接、“ドローン(drone)”と呼ばれる、超小型の無人ヘリコプターで商品を配送する新サービス「プライム・エア」の導入実験を承認した。米経済専門オンラインメディア、CNNマネーなどが伝えた。
このサービスは、同社のジェフ・ベゾスCEO(最高経営責任者)が2013年12月に米CBS放送のドキュメンタリー番組「60ミニッツ」で初めて明らかにしたもので、同社ではドローンの導入はFAAのルール改正が実現すればすぐにも可能として、これまで10マイル(約16キロ)のレンジで、重量5ポンド(約2.3キロ)未満の商品を使って試験飛行を行ってきている。
現在、FAAのドローンに対する飛行規制は厳しく、趣味や不動産業者が物件の空撮のためにドローンを使用するなど特定の小規模な事業者だけに限定しているのが実態。また、アマゾンはドローンで受注後30分後に商品を空輸することを目指しているが、FAAルールではドローンの使用は操縦者の視認の範囲で、かつ、飛行速度も毎時100マイル(約160キロ)以内という規制がある。
今回のFAAの決定は、アマゾンによるドローンの調査研究と操縦訓練のための編隊飛行実験を承認したもので、日中に高度400フィート(約120メートル)以下での飛行という制限があるおものの、米調査会社BIインテリジェンスのアナリスト、クーパー・スミス氏は、「今回のFAAの試験導入の承認はアマゾンにとって大きなニュースだ。FAAはアマゾンに対し、米国内での試験導入に向けて(ドローンの離陸の)“滑走路”を用意したのに等しい」と一応の評価を与えている。
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米バンカメ、年金基金など大口投資家に取締役推薦枠を付与
米金融大手バンク・オブ・アメリカ<BAC>はこのほど、3年以上の大口投資家に対する企業の説明責任を強化する一環として、公的年金基金のような長期の大口投資家が同行の取締役会のメンバーを推薦できるよう社内規則を変更した。英紙フィナンシャル・タイムズ(電子版)が先週末に伝えた。
これは同行が先週末に米証券取引委員会(SEC)に提出した報告書で明らかになったもので、それによると、バンク・オブ・アメリカは一人の株主、または、20人以下の株主グループが議決権付株式の3%超を3年以上保有していれば、取締役会のメンバーの20%まで推薦できるという。この背景にはニューヨーク市公務員年金基金が取締役の推薦が投資家の発言権を高めるために必要だとして、ここ1年以上にわたって同行に対し圧力をかけ続けてきたことがある。他のカリフォルニア州公務員年金基金やカリフォルニア州教職員退職年金基金もこうした同行の規則改正の支持を表明している。
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ロシア国内銀行の2割超、中銀の監督下に―経営悪化で
ロシア中央銀行のミハイル・スホフ副総裁は先週末の会見で、国内の銀行約800行のうち、2割超に当たる183行の経営が悪化し中央銀行の監督下に置かれていることを明らかにした。モスクワ・タイムズ(電子版)などが22日に伝えた。
同副総裁によると、183行は中銀に対し、日常業務データの報告が義務付けられているほか、他の44行は個人預金で預入額に上限を設定されているほか、8行も金利上限が課せられているという。この背景にはロシアの銀行がここ数カ月、自国通貨ルーブルの急落や中銀による急激な利上げ、さらにはリセッション(景気失速)で貸付債権が劣化し、また、西側の対露制裁で海外での資金調達が困難になっていることがある。
スホフ副総裁は、「なかでも数百行が関係企業に巨額の融資を実行しており、バランスシートがぜい弱化しているため、通常より2倍も3倍も注意して見守っていく必要がある」と警告している。
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インドネシア、アジアインフラ投資銀行の本部誘致で中国と争う構え
インドネシア財務省は23日、中国主導で創設されるアジアインフラ投資銀行(AIIB)について、中国に対抗するため、AIIBの本部を同国の首都ジャカルタに誘致したい考えだ。ジャカルタ・グローブ(電子版)などが伝えた。
AIIBの創設には多くの国が参加を表明しており、3月末の申し込み期限までに35カ国の傘下が予想されており、今年末までに業務を開始する計画だが、中国はAIIBの運営面でも主導権を握りたいことから、今後、インドネシア政府との対立が予想される。インドネシアのバンバン・ブロジョネゴロ財務相は香港で開かれたスイス金融大手クレディ・スイス主催の投資懇談会で、「ジャカルタにAIIBの本部を設置することを熱望している。もちろん、この問題で今後中国と争うことになるのは必至だ」と述べている。
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ブラジル中銀週報:15年GDP伸び率見通し、12週連続で下方修正
ブラジル中央銀行が23日に発表した先週の経済週報「フォーカス・ブルティン」によると、同中銀の委託を受けた民間アナリストが予想した2015年実質GDP(国内総生産)伸び率見通しは、前週予想の対前年比伸び率0.78%減から0.83%減へ下方修正された。下方修正は12週連続。1カ月前の予想は0.5%減だった。2016年のGDP伸び率見通しも前週予想の同1.3%増から1.2%増へ下方修正された。下方修正は3週連続。1カ月前の予想は1.5%増だった。
また、IPCA(拡大消費者物価指数)で見たインフレ見通しは、2015年は前週予想の前年比7.93%上昇から8.12%上昇へ下方修正(悪化)された。下方修正は12週連続。1カ月前の予想は7.33%上昇だった。2016年の見通しも前週予想の5.6%上昇から5.61%上昇へ下方修正された。下方修正は3週連続。1カ月前の予想は5.6%上昇だった。
一方、2015年末時点の政策金利の見通しは前週予想の13%のまま据え置かれた。据え置きは3週連続。1カ月前の予想は12.75%だった。2016年末時点の見通しも11.5%のまま据え置かれた。据え置きは12週連続。1カ月前の予想も11.5%だった。また、4月28-29日の次回金融政策決定会合時点での政策金利の見通しは13%から13.13%へ引き上げられた。1カ月前の予想は13%だった。
為替レートの見通しは、2015年末時点の対ドルレートは前週予想の3.06レアルから3.15レアルへ引き上げられた。引き上げは4週連続。1カ月前の予想は2.9レアルだった。2016年末時点の対ドルレートも3.11レアルから3.2レアルへ引き上げられた。引き上げは2週連続。1カ月前の予想は3レアルだった。(了)