ブラジル沖に9年ぶりのトロピカルストーム「イバ」発生
今年は海上で記録的な嵐が立て続けに発生しています。
1月1日には史上最も早い台風1号が誕生し、翌月には2月としては統計史上最も強い台風が発生、3月はサイクロン「イダイ」がモザンビークに上陸して、南半球史上最悪といわれる気象災害を起こしました。
そして現在、普段は熱帯低気圧が発達することが稀有な南米沖に「イバ(Iba)」が発生しています。
「イバ」発生
24日(日)ブラジル海軍は、同国の東の海上に中心気圧1008hPaのトロピカルストーム「イバ」が発生していると発表しました。トロピカルストームとは、最大風速が17m/s以上の熱帯低気圧で、台風の強さに匹敵します。
この海域でトロピカルストームが発生するのは非常に珍しいことで、2010年以来9年ぶり、また今世紀に入ってからは3度目のことです。
今後イバは南東に進んで、大陸から遠ざかっていくと予想されています。
熱帯低気圧の少ない南西大西洋
今回イバが発生した南西大西洋は、ハリケーンやトロピカルストームなどの熱帯低気圧が滅多に発生しない海域として知られています。それどころか、25年ほど前までは、それらが発生することはあり得ないとさえ考えられていました。
その理由は、海水温が比較的低いことや、高度による風向・風速の差が大きいことなどが挙げられます。
しかし、その前提が覆される出来事が起こります。それが1991年のトロピカルストームの発生でした。
その後、2004年3月にブラジル沖で最大風速43m/sのハリケーンが発生、その直後にブラジルのサンタカタリーナ州を直撃しました。このハリケーンにより、少なくとも3名が死亡、38,000軒の建物が損傷し、多大な経済損失が出たといわれています。
さらに続く2010年には、トロピカルストーム「アニータ(Anita)」が発生しました。
熱帯低気圧が発生しない海域
ところで、南西大西洋よりも、はるかに熱帯低気圧が発達しにくいのが、南米大陸を挟んだ太平洋南東部の海域です。特にペルーやチリ沖などでは、これまでに一つとしてトロピカルストームやハリケーンが発生したという記録はないようです。