2年ぶりのウインターリーグ参加 4選手が台湾へ《阪神ファーム》
きのう25日、東京都内で開催された『NPB AWARDS 2015』。いつものように1軍選手の出番は夕方ですが、お昼にはウエスタン・リーグとイースタン・リーグのファーム表彰式が行われました。阪神タイガースからは2人だけだったんですね。“記録による表彰”は最多セーブの石崎投手のみで、“選考による表彰”(優秀選手賞)で中谷選手が選ばれています。
またスポンサー表彰の中の“技能賞”を石崎投手が、“努力賞”を中谷選手が受賞しました。来年は記録による表彰、つまりタイトルを獲る選手が増えますように。いや、それよりも夕方の表彰式に若トラたちが多く出席してくれることを期待したいですね!
ところで、ファーム表彰式でソフトバンク・上林選手や巨人・和田恋選手が受賞した際に「ウインターリーグ参加のため、本日は欠席です」とのアナウンスがありました。そうなんです。2012年から始まり、昨年は行われなかった『アジア・ウインター・ベースボール・リーグ』が、ことし2年ぶりに開催されるのです。11月28日の開幕に向け、各チームの選手たちが現地へ向かっています。阪神の4選手も、きのう台湾に入りました。
過去の台湾ウインターリーグは?
アジアで初開催のウインターリーグとして2012年に始まった『アジア・ウインター・ベースボール・リーグ(AWB)』。初年度に参加したのは日本、台湾、ドミニカ共和国の3か国で、台湾は「中華白」「中華紅」の2つに分かれて計4チームでの対戦でした。球場は台中州際棒球場(インターコンチネンタル球場)、高雄市の澄清湖棒球場、斗六棒球場、桃園国際棒球場の4か所です。
日本はセ・リーグの阪神、巨人、ヤクルト、中日、DeNAと、パ・リーグのソフトバンクによる混成チームで、6球団から4人~6人の計26選手が参加しました。阪神は伊藤和投手、島本投手、中谷選手、一二三選手の4人です。11月24日から12月20日までで各21試合を行って、12月22日にあった上位2チームによる優勝決定戦で日本が勝って初代チャンピオンに。上位2チームといっても、下記のゲーム差ですからねえ。そりゃ勝ちますよねえ。
チーム 勝敗 勝率
1 日 本 19- 2 .905
2 中華白 12-10 .545
3 中華紅 8-11 .421
4 ドミニカ 2-18 .100
ちなみに参加した全選手の成績はこちら、スポニチアネックス2012年12月25日付『小虎日記』の記事でご覧ください。同じ時期に行われていたオーストラリアのウインターリーグの成績(阪神のみ)も一緒に書いています。
翌2013年には韓国が初参加しての4チームとなり、澄清湖を除く3球場で行われました。日本は前年と同じ6チームから25選手が参加し、阪神は二神投手、歳内投手、緒方選手と、自ら志願した一二三選手の4人。11月26日から12月19日までで21試合を行い、12月21日の優勝決定戦では残念ながら2位の韓国にチャンピオンの座を明け渡しています。首位で終えたのに、優勝決定戦で大喜びの韓国チームを動画で見ていると…納得いかない結末でしたね。
チーム 勝敗分 勝率
1 日 本 16- 5-1 .762
2 韓 国 13- 8-1 .619
3 台 湾 8-13-0 .381
4 ドミニカ 5-16-0 .238
この年の参加全選手の成績は、同じくスポニチアネックス2013年12月23日付『小虎日記』の記事でご確認ください。
全員が90年代生まれの日本チーム
このたび復活した『2015 亞州冬季棒球聯盟(AWB=アジア・ウインター・ベースボールリーグ)』。11月28日から12月17日までに、各チーム16試合のリーグ戦を行います。そのあと12月18日、19日にプレーオフとして成績1位と4位、2位と3位が戦い(勝ち抜きのため下位チームは2連勝が必要)、20日に優勝決定戦と3位決定戦、という流れです。まあ日本が最終日まで残るのは間違いありませんね。
ことしはドミニカ共和国が参加せず、新しく欧州選抜チームが加わりました。イタリア、スペイン、オランダ、ドイツ、フランスなどのチーム名がありますね。そして日本(NPB)、韓国(KBO)、台湾(CPBL)と、台湾棒球協会(CTBA)の計5チームです。台湾棒球協会の“CT”という文字はWBCなどのユニホームで見ているのですが、プロでなくアマチュアチームってことでしょうか。
では、18日に台湾プロ野球(CPBL)の公式サイトで発表された日本の参加メンバーを書いておきましょう。過去には途中で入れ替わった選手やコーチがあったんですけど、現時点では阪神の濱中コーチが前半のみということしかわかりません。阪神の藤本コーチは全日程参加で「飛行機…乗らなしゃあないなぁ」とつぶやいていました。無事に着いたみたいで何よりです。選手の名前に※があるのは、左投げの投手と左打ちの野手です。
◆監督 大森剛 (巨 育成部ディレクター)
◆コーチ島田直也 (De)、入来祐作 (ソ)、小川将俊 (中)、藤本敦士 (神)、斉藤宜之 (ヤ)、濱中治 (神)、会田有志 (巨)、高木康成 (巨)
◆投手-11人
岡本 健 (ソ) 92/10/29
加治屋 蓮 (ソ) 91/11/25
岸本 淳希 (中) 96/02/19
浜田 智博 ※(中) 92/10/01
今村 信貴 ※(巨) 94/03/15
平良 拳太郎 (巨) 95/07/12
田面 巧二郎 (神) 90/12/09
岩貞 祐太 ※(神) 91/09/05
児山 祐斗 ※(ヤ) 95/09/01
柿田 裕太 (De) 92/08/27
飯塚 悟史 (De) 96/10/11
◆捕手-3人
張本 優大 (ソ) 90/10/13
桂 依央利 (中) 91/07/09
山川 晃司 (ヤ) 96/11/15
◆内野手-5人
高橋 周平 ※(中) 94/01/18
岡本 和真 (巨) 96/06/30
和田 恋 (巨) 95/09/26
山下 幸輝 ※(De) 93/01/31
陽川 尚将 (神) 91/07/17
◆外野手-6人
上林 誠知 ※(ソ) 95/08/01
真砂 勇介 (ソ) 94/05/04
友永 翔太 ※(中) 91/04/01
原 泉 (ヤ) 92/07/26
関根 大気 ※(De) 95/06/28
横田 慎太郎 ※(神) 95/06/09
選手は25人。CPBLのサイトで「日本チームは平均年齢22歳、しかも全員が1990年以降の生まれである」と書かれていました。他のチームは1980年代後半の選手もいますからね。日本チームの最年長はソフトバンク・張本選手の25歳で、阪神・田面投手も期間中の12月9日に追いつきます。最年少はDeNA・飯塚投手、ヤクルト・山川選手、巨人・岡本選手の19歳です。
続いて、下記はことしの日本チームの日程。過去は4チームだったため月曜日がお休みでしたが、今回は5チームなので11月28日から12月17にまで必ず試合があります。日本は11月29日、12月5日、10日、14日が試合なし。今回は球場がほとんど台中州際棒球場(インターコンチネンタル球場)で、下記※印の2試合のみが斗六棒球場とあって、観に行かれる方は移動が楽でしょうね。
【11月】
28日 台湾プロ (18時)
30日 欧州選抜 (18時)※
【12月】
01日 台湾アマ (18時)
02日 韓国 (18時)
03日 欧州選抜 (12時)
04日 台湾プロ (18時)
06日 台湾アマ (12時)
07日 台湾プロ (12時)※
08日 韓国 (18時)
09日 欧州選抜 (18時)
11日 台湾アマ (18時)
12日 韓国 (12時)
13日 台湾プロ (18時)
15日 欧州選抜 (12時)
16日 台湾アマ (12時)
17日 韓国 (18時)
18日 プレーオフ(1-4、2-3)
19日 〃
20日 優勝決定戦、3位決定戦
自分の成長のために頑張りたい
お待たせしました。阪神から参加する4選手の意気込みをご紹介します。聞いたのは出発前日で、荷物がまだ用意できていないと焦りが見える人も。まず、その人からです。
海外は経験ありで台湾は初めてという岩貞投手。「こういう、いい機会なので自分の成長のために頑張ってきたいです」との抱負でした。続いて「いろんな人から必要なものを聞いて、しっかり荷物をまとめていきたいです」と今度は、まだ途中の荷造りについての意気込み?です。「水、氷に注意というのは聞きました。お腹が強い方じゃないんで気をつけないと」。そうそう、3年前はお腹を壊して試合を休んだ2人がいましたからね。
先発での登板になると思われますが「1球1球集中して悔いの残らないよう、次のシーズンで全球生かせるようにしたい。シュートを含め配球をある程度作って、ゲームに臨みたいですね。キャッチャーも初めて組むから」と話しています。結婚を発表して、来年はよりモチベーションが上がる?「もちろんです!」。既に寮を出て新居に移ってはいるものの「引っ越しの片づけはまだまだ…。きょうも今から帰ってやりますけど、野球優先なのでそっちはいいです」
12月下旬の帰国で、年明けの自主トレは「能見さんのに参加させていただきます」とのこと。来年に向けては「自分の可能性をどれだけ広げられるか。来年はローテに入って、その可能性を引き出していきたいです」と気合い十分の左腕。最後に、異国での1か月に不安はない?と尋ねたら…「荷物の量です」と真顔で即答されました(笑)。全部入ったのかなあ。
この3年間で一番投げているかも
田面投手も「海外は2度目ですが、台湾は初めて」だそうです。今季は春からBCリーグ・福井で3ヶ月を過ごし、締めに台湾で1か月。「ことしは、あちこち行きますね。実戦で投げられるから、いい経験になると思います。いろんなバッターもいるので」。目標は?「0に抑えること。秋季キャンプでやってきたことを継続していきたい」。やってきたこと?「真っすぐをしっかりコントロールできるように。細かいコントロールはないので、内外、高低というところを意識して。打者に対しても、しっかり投げられたら」
ことしはウエスタン公式戦だけでなく、BCリーグやフェニックス、秋季キャンプ、さらにウインター・リーグと1年投げっぱなしですね。「多分この3年間で一番投げていると思います」。故障もなく投げられたというのも大きいでしょう。「フェニックスで投げられたし、秋季キャンプもしっかりできた。最後はちょっと感覚がずれたけど、台湾に行って修正したいですね。来年につながる1ヶ月になるよう頑張ってきます」と意気込みを語っています。
なお久保投手コーチは、こんなふうに話しました。「岩貞は、前でボールをどれだけ叩けるか。いわゆる横振りになって高いとこ、高いとこへ行くんじゃなく前で叩かないとね。田面はとにかくゲームで投げて、来年の足がかりをつかみ取ってきてほしい。フェニックスよかったからね」
吸収して次へ生かせる“台湾”に
陽川選手は「いろんな球団の選手が集まってやるんで、吸収することや勉強になることがあると思います。何かしら吸収して、しっかり生かせるような台湾にしたいと思います」と、ウインターリーグへの抱負を述べました。「この秋季キャンプで課題になったことを、実戦でしっかり取り組んでやっていけるチャンス。課題にも取り組んで、結果も出していきたいです」
課題はどんなところ?「全部。1つではないですね。打つだけじゃなく、守備や走塁も含めて台湾で少しでもレベルアップしたい」。掛布監督が『打率.280以上、ホームランは3試合に1本くらい』という数字を挙げていましたが、陽川選手自身の目標は?「細かいことは定めていませんが、それなりの結果を出したいと思います」
ちなみに海外へ行くのは?「初めてです。いろいろ聞きました。お腹?弱いっすよ~」。それはもう油断できませんね。しっかり気をつけてくださいよ。あ、初海外ということは税関を通るとか、入国審査とかも初体験ですね。大丈夫?「税関?入国審査?何ですか?それ」。25日の夕方に聞いたら「着きました!」という返事だったので、無事にクリアしたようです。もっと心配な人がいますけど。
自信をつけて帰ってきたい!
そう、横田選手です。初の海外で緊張してる?と聞かれて「全然!」。意に介さずという涼しい顔でした。目標は?「数字も大事ですけど、自信をつけて帰ってきたいです。いろんな選手が来るので負けないよう頑張ります」。自信をつけるのはバッティング?「そうです」。いろんな選手の中には同級生もいますね?「はい、上林とか」。なるほど、それは特に負けたくないでしょう。
外国人ピッチャーは基本的に真っすぐで来ることが多い、という振りには「そういうのを打ち返せるように頑張ります」と答えました。掛布監督も視察に行く予定だそうで。「はい、聞きました。秋季キャンプでやっていたことを継続してやっていきます。特に何かを変えるってことはありません」。台湾で何かしたいことなどは?「ないです。野球以外はない」。野球をしに行くんですもんね。
そして「楽しみです!12月まで実戦ができるから。選んでもらって嬉しいです」と笑顔。確かに12月20日までユニホームを着て試合に臨めるのは、横田選手にとって何より嬉しいことなんでしょうね。とにかくケガせず、収穫の多い1か月であるよう祈っています。前半は藤本コーチと濱中コーチの2人が一緒なのでちょっと安心です。
ところで荷物は?「持っていきます」。いや、もちろん荷物は持っていくわね。わかってる。何か特別なものは?「ないですよ。普通です」。最後に、岩貞投手や陽川選手が「あまりお腹が強くない」と言っていたので横田選手にも聞いてみました。
お腹は丈夫なほう?「はい!腹筋してるんで」…それはよかった。