藤井聡太王将(20)への挑戦権獲得なるか? レジェンド羽生善治九段(52)快進撃でリーグ3連勝!
10月14日。東京・将棋会館において第72期ALSOK杯王将戦・挑戦者決定リーグ▲近藤誠也七段(26歳)-△羽生善治九段(52歳)戦がおこなわれました。
10時に始まった対局は17時53分に終局。結果は84手で羽生九段の勝ちとなりました。
リーグ成績はこれで、羽生九段3勝0敗、近藤七段1勝2敗。羽生九段は藤井聡太王将への挑戦権獲得に向けて、またひとつ白星を重ねました。
羽生九段、横歩を取らせて快勝
近藤七段先手で、羽生九段は横歩取りに誘導。ひねり飛車感覚の布陣となりました。
羽生九段が軽い形なのに対して、近藤七段は金銀を三段目に押し上げ、押さえ込みをねらいます。もしじっくりとした展開になれば、近藤七段の歩得が大きな主張点となりそうです。
25手目。羽生九段は端1筋に銀を上がります。これが羽生九段らしい、自在な指し回しでした。
羽生「ちょっとどういう展開になるか、全然予想はできなかったんですけど。もうなんかでも、押さえ込まれるともう、全然ダメなんで。ちょっと形はわるいんですけど、どんどん駒を前に進めるしかないかなと思ってやってました。手の流れの中で、変な手ではあるんですけど、まあ一番いいんじゃないかなと指しました」
近藤「金銀がバラバラの展開で。不安ではありましたけど。その駒を使って盛り上がっていければ楽しみもあるんじゃないかなと思ってたんで。そうですね、そういう含みを持ってはいましたけど。ちょっと動かれてよくわかんなかったですね」
昼食休憩が終わって対局が再開されたあと、40手目、羽生九段は3筋の飛車先に歩を合わせて、さらに動いていきます。
羽生「昼休明けで、思い切って歩を合わせて。まあ、攻め細いんですけど、やっていったのは結果的には良かったのかなというところですかね」
近藤「指されるかなと思って考えてたんですけど。まあ、やっぱりそうですね。こっちは強い戦いができないので。押さえ込みを頭に入れてたんですけど。でもちょっとそうですね、本譜はなんか、そういう展開にならなかったというか。常に怖い感じでした」
50手目。羽生九段は中央に角を出て、さらにゆさぶりをかけます。
羽生「バランスは取れてるんじゃないかと思ってやってたんですけど。たぶん、でも、ちょっと難しいというか。はっきりしないんですけど。押さえ込まれることにはならないんじゃないかなと思ってやってました」
羽生九段の攻めに神経を使わされる進行になった近藤七段。1時間27分の長考に沈んだあと、じっと4筋の歩を突いて、角筋を止めました。
近藤「途中、▲4六歩に大長考したんですけど。苦しい長考ではあったものの、けっこう難しいのかな、とは思ったんですけど。まあちょっと、難しいと思ってやってたんで。それが悪かったとすると、ちょっとその前に変化しなければいけなかったです」
その後は両者ともに駒を取り合う激しい進行。71手目、近藤七段が玉を三段目に逃げたあたりでは、羽生九段が少しリードをしているものの、そう簡単ではない情勢です。
羽生「ずっと難しいと思ってやってたんで。終盤もそうですね。ちょっと歩がない形なんで。ちょっとこっちも、まあギリギリかなと思ってずっと指してました」
72手目。羽生九段は近藤玉の上部に金を打ちます。これが攻防の要所を押さえた好手だったようです。
近藤「実は▲7七玉の局面が大変という見方でやってたんで。まあ、そういう読みだったんで。仕方ないんですけど。金打たれてやっぱり、苦しいのを感じました」
セオリー通りに、近藤玉を包むように寄せていく羽生九段。最後は攻防に利いていた金を捨てて、きれいに近藤玉を受けなしに追い込みました。
羽生「でも本当に最後(82手目)△7六金を見つけて。やっとよくなったかなと思いました」
羽生九段は後手番で快勝。服部慎一郎五段、糸谷哲郎八段、そして近藤七段と連破して3連勝で、現在はリーグ暫定首位です。
羽生「まあ、いいスタートが切れたんで。残りの対局もしっかり指せればいいなと思っています」
羽生九段は10月26日、渡辺明名人と対戦します。
近藤七段は初戦で渡辺明名人に勝ったあと、豊島将之九段、羽生九段に敗れて1勝2敗です。
近藤「ちょっと本局もそうですね、前局に続いて、ちょっと終盤戦にならなかったんで。残念ですけど。いやでも、一局一局また、がんばっていきたいと思います」