【マダニに注意】猫は外に出さず、犬はマダニの予防薬を。ペットの処置を怠ると飼い主の命が危険に
今年の夏は、炎天下を歩いていると、日本が亜熱帯になってしまったのか、と思うほど猛暑です。日々暮らしていると、温暖化が進んでいるように感じます。
こんな時代なので、猫と犬のマダニとの関係も変化しているので、飼い方を見直す必要があります。
マダニに刺されて人が死亡「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」
2022年5月には、広島県呉(くれ)市の80代の男性が死亡し、今年に入ってからも、3月に熊本県上益城(かみましき)郡の78歳の女性が、5月に同じく熊本県葦北(あしきた)郡の45歳の男性が死亡しました。
いずれも「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」という感染症を発症するウイルスを保有するマダニにかまれたことが原因で亡くなったと週刊女性PRIMEが伝えています。
SFTSは人の致死率30%で恐ろしいダニ感染症
SFTSに感染して亡くなる人は、高齢者が多いのですが、この病気は、ウイルス感染なので、まだこれといった有効な薬がないことが恐怖です。
同じマダニにかまれて感染する病気は、SFTSの他に「日本紅斑熱」や「ライム病」や「ダニ媒介性脳炎」などがあります。「日本紅斑熱」や「ライム病」は細菌感染なので、抗生剤で治ります。SFTSは抗生剤では治らないことを頭に入れておくことは大切です。
マダニに感染しないためには、散歩で草むらに行く飼い主は以下のことに気をつけてください。
・肌を露出しない
・サンダル履きでいかない
・首も手ぬぐいなどで覆う
もし、ダニにかまれて倦怠感などがあれば、すぐに病院に行きましょう。
愛猫や愛犬をSFTSに感染させない
マダニに感染すると、猫や犬は以下の病気になる可能性があります。
(猫)
・猫ヘモプラズマ感染症
・猫ヘモバルトネラ症
・ライム病
・重症熱性血小板減少症候群(SFTS)
(犬)
・バベシア症
・日本紅斑熱
・ライム病
・Q熱
・重症熱性血小板減少症候群(SFTS)
などです。
マダニにかまれて起こる病気は、猫だけ、犬だけの病気だけではなく、飼い主にも感染するものがあります。日本紅斑熱、ライム病、Q熱、SFTSなどがそうです。
SFTSは、新しく発見された病気で、2011年に中国で初めて報告されたウイルス性出血熱の一種で、日本では2013年に山口県で初めて確認された感染症です。
SFTSは、初期症状は発熱、全身倦怠感、消化器症状で、重症化し、死亡することもあります。
つまり飼い主がマダニにかまれなくても、マダニにかまれてSFTSに感染した猫や犬に飼い主がかまれるとこのSFTSになる可能性があるのです。
飼い主にできること
飼い主は、自分がマダニに感染しないことも大切ですが、猫や犬もマダニに感染させないことも大切です。
・過剰な触れ合いは控えてください。
口移しでエサを与えたり、動物を布団に入れて寝たりすることなどは控えましょう。
・マダニの予防薬をつける
できれば、動物病院で購入して猫や犬にマダニの予防をしてください。市販薬の中には効果が薄いものがあります。
・猫は完全室内飼い
マダニは基本、家の中にはいません。健康な猫や屋内のみで飼育されている猫から人がSFTSウイルスに感染した事例はこれまでに報告がありません。だから猫は外に出さないことです。
・犬と草むらに散歩に行ったらマダニがついていないかよく見る
・野生動物との接触は避けてください
・動物の死体等に接触することは控えましょう
なぜ、マダニが増えたか?
2021年6月の国立感染症研究所の発表によりますと、SFTSの日本での流行は静岡県以西の西日本に限定していて、毎年患者が報告されていましたが、関東地方を感染推定地域とするSFTS患者はこれまで報告されていませんでした。
今回、ダニ媒介性リケッチア感染症を疑いながらも診断が付かなかった、いわゆる不明熱患者症例が、千葉県で初めてSFTSウイルス感染事例が確認されたので報告されています。つまり比較的西の地域で多い病気だったのですが、東にも感染者が出ています。
SFTSは、西日本の病気で、関東では関係がはないといえなくなってきています。
その他に、シカ、イノシシなどの野生動物を通して、人や犬や猫がマダニに感染するリスクがあるのです。
以前、【獣医師が解説】奈良公園の鹿「想像の100倍マダニがくっついている」と話題に。その真偽と接し方を書きましたが、奈良公園のシカだけではなく、野生のシカにももちろん、マダニがいます。野生動物が、人に近くなってきているので、注意する必要があります。
まとめ
2022年に千葉でもSFTSが見つかっていますし、野生動物がより人里に来ています。そのうえ、温暖化などが起きています。
飼い主は、以前と同じ環境ではないということを肝に銘じて、マダニに対する予防や意識をアップデートする必要が出てきています。
そのようなことをして、飼い主も愛猫も愛犬もマダニの感染症にならないようにしましょう。