米陸軍の新型中距離ミサイル「LRHWダークイーグル」発射システム試験成功、量産配備にGoサインへ
12月12日、アメリカ国防総省は陸軍と海軍が合同してフロリダ州のケープカナベラル宇宙軍基地で通常弾頭型極超音速ミサイルの飛行試験を実施し成功したと報告しました。新型の中距離級の弾道ミサイルに相当する極超音速滑空ミサイル「LRHWダークイーグル」です。出典:U.S. Department of Defense
- LRHW : Long Range Hypersonic Weapon 米陸軍の極超音速ミサイル
- CPS : Conventional Prompt Strike 米海軍の極超音速ミサイル
※陸軍向けLRHWの海軍版がCPS。滑空弾頭C-HGBやロケット推進部分など大部分が共通だが、発射型式がホットランチ式(LRHW)とコールドランチ式(CPS)で異なっている。
LRHW/CPSのオール・アップ・ラウンド(AUR)の飛行試験としては今年2回目の実施で、前回試験(2024年6月28日)は海軍主導で陸軍が協力してハワイのカウアイ島で実施されています。今回は陸軍主導でLRHWダークイーグルの発射システムが初めて使用されており、この試験成功で遂に量産配備にGoサインが出ます。
※AUR : All Up Round(オール・アップ・ラウンド)。実戦で発射可能な状態のミサイルを指す。
※End-to-end : 端から端まで、つまりこの場合は発射から着弾まで飛行データの取得。
LRHWダークイーグル発射
※国防総省発表のLRHWダークイーグル写真
※ミサイル拡大(LRHWダークイーグル)
※発射機拡大(発射時にトレーラーからトラクターヘッドは切り離す)
※中距離か長距離か:LRHWダークイーグル(Long-Range Hypersonic Weapon "Dark Eagle")は中距離弾道ミサイル相当の射程を持つ極超音速滑空ミサイルです。長距離(Long-Range)とあるのは陸軍が扱うミサイルではこれが最も長い射程になる為です。空軍のICBM(大陸間弾道ミサイル)などに比べると陸軍のLRHWは中距離扱いになりますが、陸軍の中では長距離扱いとなっています。つまり中距離か長距離かは文脈で使い分ければよく、どちらで呼んでも構いません。
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※この他では12月6日にHII(ハンティントン・インガルス・インダストリーズ)が海軍の駆逐艦ズムウォルトのCPS搭載改修の完了を発表。155mmAGS砲を1基外して空いたスペースにCPS用3連装発射チューブを4本(CPS合計12発)搭載している。