なぜチェルシーはCLで勝負を賭けるのか?フェリックス、ムドリク…ランパードの”復職“と大型補強の成果
変化のシーズンが、訪れている。
チェルシーは今季のチャンピオンズリーグ準々決勝でレアル・マドリーと対戦する。現地時間12日に、敵地サンティアゴ・ベルナベウでファーストレグが行われる。
だがチェルシーは万全な状態とは言えない。
先日、チェルシーはフランク・ランパード監督の就任を発表した。成績不振を理由にグレアム・ポッター前監督の解任を決めたあと、後任を探していたチェルシーだが、ランパード監督を「復帰」させる格好で指揮官ポストに据えた。
「非常に簡単な決断だった。チェルシーは私のクラブだ」とはランパード監督の弁である。
「チェルシーを去ってから、私は他の場所にいた。しかし、クラブから要請があったタイミングで、再びチャンスを得られたことを嬉しく思っているよ。シーズン終了まで、彼らをサポートできると確信している」
■チェルシーの大型補強
今冬の移籍市場で、チェルシーは積極的に補強に動いた。3億2800万ユーロ(約459億円)を投じて、シーズン後半戦に向けて戦力を整えた。
エンソ・フェルナンデス(移籍金1億2100万ユーロ)、ミカイロ・ムドリク(移籍金7000万ユーロ)、ベノワ・バディアシレ(移籍金3800万ユーロ)、ノニ・マデュエケ(移籍金3500万ユーロ)、マロ・ガスト(移籍金3000万ユーロ/20223年夏加入)、アンドレイ・サントス(移籍金1250万ユーロ)、ダトロ・フォファナ(移籍金1200万ユーロ)、ジョアン・フェリックス(レンタル)、8選手がロンドンに到着した。
チェルシーは夏のマーケットで、すでに大型補強を行なっていた。2022−23シーズンの補強費は、6億1100万ユーロ(約855億円)に上っている。
一方、レアル・マドリー戦を前に、スペインではジョアン・フェリックスのパフォーマンスに注目が集まっている。そのプレー如何で、完全移籍が決まる可能性があるからだ。
デビュー戦のフラム戦で退場処分を受けたフェリックスだが、以降、彼の調子は少しずつ上向いて行った。フェリックスのシュート本数(1試合平均3.6本)は、アレクサンダー・ミトロビッチ(フラム)に次いでプレミアリーグで2番目の数字だ。
しかしながら、イングランドではフェリックスの完全移籍に疑いを向ける者もいる。「不透明な財政状況で、チェルシーがフェリックスの獲得で再びリスクを冒すことはできるのだろうか?」とはトム・コリー記者の言葉だ。
「フェリックスは、時にボールを持って輝かしいパフォーマンスを見せる。だが、ここまで、2ゴールだ。その2試合はドローに終わっており、アシストはない。ピッチ上で自由を与えられ、守備のタスクが免除され、ボールを預けられている中心選手としては、大きな違いをつくっているとは言い難い」
フェリックスの保有権を有しているのはアトレティコ・マドリーである。
アトレティコは2019年夏にフェリックスを獲得。その際、ベンフィカに移籍金1億2700万ユーロ(約177億円)を支払った。
アトレティコは、フェリックスを欲するクラブに、移籍金1億ユーロ(約140億円)を要求するとみられている。エンリケ・セレソ会長、ミゲル・アンヘル・ヒルCEOにフェリックスを安売りするつもりはない。ここが、チェルシーのジレンマで、故にマドリー戦でのフェリックスのプレーが非常に重要になる。
■チャンピオンズリーグ出場の意味
チャンピオンズリーグで、ベスト4に進出すれば、7500万ユーロ(約105億円)前後の収入が見込める。これは、チェルシーにとって、大きい。そういった収入が、次の夏のマーケットの補強に影響する。
また、チェルシーは、現在、プレミアリーグで11位に位置している。チャンピオンズリーグ出場圏内にいる4位マンチェスター・ユナイテッドとは、勝ち点17差だ。
来季のチャンピオンズリーグ出場のために、今季のチャンピオンズリーグで優勝する。そちらの方が、チェルシーとしては現実的になっている。
チェルシーは、昨季、昨々季と2シーズン連続でマドリーと対戦している。奇しくも、その勝者が、ビッグイヤーを獲得しているのだ。絶対に負けられない戦いが、チェルシーを待っている。