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早指しも鬼のように強い藤井聡太竜王(20)トーナメント制4棋戦、同一年度全制覇なるか?

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 2022年度に入ってもすさまじい勢いで勝ち続け、年度内のタイトル六冠、さらにはその先、八冠制覇の期待もかかる藤井聡太竜王(20歳)。持ち時間8時間の2日制タイトル戦や、6時間の順位戦など、長時間の持ち時間では特に無類の強さを発揮しているように見えます。

 一方、比較的持ち時間の短い設定でおこなわれるトーナメント制の棋戦でも、すでに多くの実績を積み上げています。

 今年度の将棋日本シリーズ ・JTプロ公式戦。藤井竜王は羽生善治九段、稲葉陽八段、斎藤慎太郎八段を連破して初優勝を飾っています。

 銀河戦は現在放映された分までで、ベスト4が出揃った段階。藤井竜王もそこに名をつらねています。

 藤井竜王は準決勝で豊島将之九段(32歳)と対戦。その模様は12月20日に放映されます。

 ちなみに藤井竜王は超早指しの新銀河戦(非公式戦)でも、優勝まであと一歩と迫っています。

 朝日杯は年明けから本戦トーナメントが始まります。タイトル保持者としてシードの藤井竜王は本戦から出場。今期は1回戦で阿久津主税八段(40歳)と対戦します。

 NHK杯は現在、ベスト8進出をかけた3回戦が進行中です。

 藤井竜王は佐藤天彦九段(34歳)と対局します。棋王戦挑戦者決定戦、A級順位戦、NHK杯と、この冬は両者の熱い戦いが続きます。

 2011年度の羽生善治二冠(現九段、52歳)は、銀河戦は準決勝で敗れたものの、日本シリーズ、朝日杯、NHK杯の3棋戦を制しています。(※ちなみに当時は大和証券杯ネット将棋・最強戦も存在し、菅井竜也四段[現八段]が優勝しています)

 もし現行のトーナメント制4棋戦のうち、同一年度で3棋戦制覇ならば羽生現九段に並ぶ記録。4棋戦制覇ならば、史上初となります。

 タイトル七冠同時制覇など、数々の偉業を達成してきた羽生九段。1991年度にも日本シリーズ、NHK杯、そして当時存在した全日本プロトーナメント(決勝五番勝負は1992年3月に始まり4月に終了)の3棋戦を制しています。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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