一生に一度は訪ねたい「昭和レトロな温泉街」5選(中部・東海編)
昭和レトロがブームである。旅の目的地として、昭和の懐かしさを感じられる観光地を選ぶ人も多いという。
その点、古くから温泉が湧き続けている歴史ある温泉地には、現代の日本人が懐かしさを覚えるようなレトロな街並みや浴室が残る。そんな昭和レトロな温泉街は、浴衣と下駄でのそぞろ歩きが似合う。
そこで今回は、「昭和レトロ」の気分を存分に味わえる温泉街を中部・東海エリアに絞って5カ所紹介したい。
山代温泉(石川県)
「古総湯」と呼ばれる共同浴場を中心に旅館が立ち並ぶ温泉地。北陸地方ではその街並みを「湯の曲輪」といい、独特の風情を醸し出している。明治時代の建築を再現した木造二階建ての「古総湯」の浴室は、当時の浴室と同様にカランやシャワーを設置せず、ひたすら湯船に源泉がかけ流しされる。また浴室内は九谷焼のタイル、当時最先端だったステンドグラスなどで彩られ、レトロな雰囲気にあふれる。明治時代には多くの文化人に愛され、芸術家の北大路魯山人のゆかりの名旅館などが今も人気を集めている。
角間温泉(長野県)
渋・湯田中エリアは10以上の温泉地がひしめく一大温泉郷。そのひとつ、角間温泉は小さな宿が寄り添うように立つ静かな温泉地だが、木造の旅館や共同浴場など旅情を誘う昭和レトロな空間が魅力。まるで時間が止まってしまったかのよう。みんなでワイワイと楽しむのには向かないが、1人、2人で非日常の時間を感じるには最適の温泉地だ。各宿の浴場のほか、宿泊客限定で3つの共同浴場を利用できる。温泉三昧にはもっていこいだ。
野沢温泉(長野県)
標高600mに位置する温泉街には、旅館や土産物屋、飲食店などが並び、昔ながらの湯の街情緒があふれる。高温の源泉が湧き出す麻釜などの散策スポットのほか、13の外湯が存在し、無料で利用できる(賽銭箱はあるので寸志は入れよう!)。浴衣姿で外湯めぐりを楽しむ人も少なくない。
出湯温泉(新潟県)
五頭温泉郷は村杉温泉、今板温泉、出湯温泉という阿賀野市の温泉地から構成される静かな温泉地。なかでも出湯温泉はぬる湯の名湯として知られ、華報寺という寺の境内の一角にひっそりと立つ「華報寺共同浴場」は、素朴で鄙びた佇まいがレトロファンの心をくすぐる。泉温は38.6度。ピュアで透明な源泉がザバザバとかけ流し。入るたびに「まだ出たくない」と、ついつい長風呂してしまう。
伊東温泉(静岡県)
全国屈指の源泉湧出量を誇る東伊豆の名湯。昔ながらのレトロな共同浴場の湯めぐりも楽しい。老舗旅館を再利用した「東海館」をはじめ文化的な観光スポットや飲食店が多いのも魅力である。駅前から延びる商店街も、昭和の雰囲気が残る店が軒を連ねており、散策するだけでも楽しい。