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フェニックス・リーグ 自らの課題と立ち向かう青柳投手《10/20 阪神ファーム》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
20日、ヤクルト戦での先発を終え、ひと足先に宮崎を後にした青柳投手。

みやざきフェニックス・リーグも第4クールが終わり、きょう21日は最後の休養日。阪神は12時からロッテと練習試合(SOKKENスタジアム)の予定でしたが、天気予報の降水確率もかなり高くて無理だろうと思っていたのです。ところが朝になって青空も見えはじめ、試合は始められそうな感じ。

ようやく先発マウンドが回ってきた秋山投手に投げてほしい!と作った、てるてる坊主の効果があったのでしょうか。練習中から雨は落ちていたものの何とかプレーボールがかかり、4回までしかできなかったとはいえ、秋山投手は59球を投げて帰途に着きました。

この試合は、あす詳しくご紹介します。なお19日に横山投手、20日に青柳投手と守屋投手、きょう21日に秋山投手が帰阪しました。守屋投手は右太もも裏に張りがあり、秋季キャンプに備えて帰ったとのことです。またU-23ワールドカップでメキシコに行く歳内投手と植田選手はきょう千葉へ移動、代表チームに合流しています。

9回の1点で何とか完封は阻止

西都原はコスモスも有名ですが、運動公園の金木犀は今とてもいい香りです。
西都原はコスモスも有名ですが、運動公園の金木犀は今とてもいい香りです。

さて、きょうは20日に西都原運動公園野球場で行われたヤクルト戦の結果をご紹介しましょう。前回、11日のこの対戦では2対1で迎えた9回裏に石崎投手が3安打されてサヨナラ負け。今回は青柳投手が計8安打(うち長打4本)と5四球で5失点…。打線は散発の6安打で9回の1点のみ。毎回の12三振を喫して完敗でした。つながらなかった打線については、また改めて。きのうも岩崎投手が投げて、3日連続(7試合連続)登板です。

《フェニックス・リーグ》10月20日

阪神- ヤクルト (西都)

ヤク 101 201 010 = 6

阪神 000 000 001 = 1

◆バッテリー

【阪神】青柳-島本-岩崎 / 梅野-小豆畑(8回~)

【ヤクルト】石山(7回)-土肥(1回)-岩橋(1回) / 中村-山川(8回~)

◆本塁打 ヤ:中村ソロ(青柳)

◆三塁打 ヤ:藤井、上田 神:荒木

◆二塁打 ヤ:上田 

◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策)

1]二:板山  (4-1-0 / 0-0 / 0 / 0)

2]遊:植田  (4-1-0 / 2-0 / 0 / 0)

3]右:江越  (3-0-0 / 2-0 / 0 / 0)

〃中:荒木  (1-1-0 / 0-0 / 0 / 0)

4]指:横田  (3-0-1 / 2-0 / 0 / 0)

5]左:陽川  (4-1-0 / 2-0 / 0 / 0)

6]中右:緒方 (4-1-0 / 0-0 / 0 / 0)

7]一:西田  (3-0-0 / 1-0 / 0 / 0)

8]捕:梅野  (1-0-0 / 0-1 / 0 / 0)

〃捕:小豆畑 (1-1-0 / 0-0 / 0 / 0)

9]三:森越  (3-0-0 / 3-0 / 0 / 0)

◆投手(打-振-球/失点-自責) 最速キロ

青柳 7回114球(8-5-5 / 5-5) 142

島本 1回 24球 (1-0-2 / 1-1) 143

岩崎 1回 18球 (0-2-0 / 0-0) 146

<試合経過>

青柳は1回、先頭の上田にライトへの二塁打と三盗を許し、2番・比屋根の中犠飛で早々に1点を先取されました。2回も先頭の6番・西田の左前打と盗塁、さらに暴投と四球などで2死一、三塁としますが、ここは無失点。

初めてのフェニックス・リーグ、3試合に先発した青柳投手。
初めてのフェニックス・リーグ、3試合に先発した青柳投手。
雨の影響もあり、島本投手は10日ぶりの3試合目の登板でした。
雨の影響もあり、島本投手は10日ぶりの3試合目の登板でした。
岩崎投手は10日以降の全7試合に投げています。
岩崎投手は10日以降の全7試合に投げています。

しかし3回、2死を取ったあとで4番・荒木に四球を与え、続く藤井の左中間三塁打で2点目。4回は8番・中村に四球と二盗、9番・渡邉の左前打で1死一、三塁として植田に右中間へのタイムリー三塁打。2点を追加されます。

5回は初めて三者凡退に切って取ったものの、6回は先頭の中村に左中間へホームランを打たれ5点目。1死後に右前打した上田をボーク(一塁牽制の際)と盗塁で三塁まで進めましたが、ここは追加点なし。7回も荒木に四球を与えるなど、青柳は7回を投げ8安打5四球で5失点。なお梅野とのバッテリーで計5盗塁を許しました。

8回は島本が登板。先頭の中村に左前打、渡邉と上田に連続四球で無死満塁として、途中出場の奥村は遊ゴロ併殺打。この間に中村を還すも、3番・西浦を三ゴロに打ち取って1点にとどめています。9回は岩崎が原泉を中飛に、藤井は空振り三振に、そして西田から見逃し三振を奪って三者凡退!

打線は1回1死から植田が右前打するも、先発・石山に牽制で刺され、江越は見逃し三振と3人で終了。2回は2死から緒方が左前打しただけ。3回、4回は三者凡退です。5回は先頭の陽川が右前打、2死後に梅野の四球で一、二塁とようやく得点圏に走者を置きますが、後続を見事に断たれて0点でした。

6回は先頭の板山が右前打したあとをピシャリと抑えられ、7回はまた三者凡退。8回は土肥から先頭の小豆畑が中前打(今リーグ3打席目での初ヒット)、しかし相変わらず後続を断たれます。

スタンドから「1点取ってくれー」という声が飛んだ9回ウラ。その前の守備から出場した荒木が岩橋の3球目(カウント2-0)をセンターへ!これが三塁打となって、次の横田は初球を打ち中犠飛。本当に1点しか取れなかった打線ですが、なんとか完封は免れました。

今は打たれてもいい時期

掛布監督はまず青柳投手について「こんなもんじゃないの?1軍でもギリギリ抑えていたところがあるから。1つリズムが崩れると、こういうゲームになってしまう。いい意味で、自分でいろんな課題を見つけたはず。今はミスしていい時期。準備できる時間があるんだから。来年を迎えるためにね。今、いいピッチングをする必要はないんだよ」とコメント。

来年のために、今は課題を浮き彫りにしていい時期だと掛布監督の言葉。
来年のために、今は課題を浮き彫りにしていい時期だと掛布監督の言葉。

さらに「ちょっと大人しくなったんじゃないかなあ。フォアボールを出さないようにとか。まだ1年目だしね。いいピッチングするより、こういう課題を持って1軍のキャンプへ行った方がいいと。そういう意味ではよかったと僕は思うよ」と続けています。

また久保投手コーチは「カウント不利のケースが多くなって、そうすると強く打たれる、遠くへ飛ぶ。8安打のうち長打が4本でしょう?カウントを有利にする投球の持っていき方ですね。練習しているのは、牽制をしたり、ストライク先行することだったり。ストライクが先行していれば、おのずとピッチャー有利のカウントになる。それをわかってやっていってくれれば」とアドバイスしました。

新しいパターンを作ろうと

では、青柳投手の言葉をご紹介します。「僕は8回までいくつもりだったんだけど、球数が多くなってしまったので…」とのこと。試合を振り返って「きょうは課題を持っていたし、いつも通りにまとめるのではなく、いつもと違うやり方でやってみようと試合前に梅野さんと話していました」と言います。“いつもと違うやり方”とは、どんなことだったんでしょう?

青柳投手の躍動感あふれる投球フォームは、来年も継続してほしいものです。
青柳投手の躍動感あふれる投球フォームは、来年も継続してほしいものです。

「右バッターにはツーシームを軸にやっていて、それ一辺倒になってしまうと苦しいと思ったんです。外の真っすぐやスライダーなど、外で勝負できるようにと。それを投げ切れなかったことは反省ですが、インコースにツーシームをわざと投げなかったのは、新しいパターンを作ろうと」。そういう意図だったみたいです。

「1軍でインコースのツーシームを多投したので、それ以外をというのがフェニックス・リーグでのテーマでした。シーズン中はインコースのツーシームがあった上で、外で三振が取れていたと思います。でも今はあえて使わずに」。今後は?「実戦の機会があまりないと思いますけど、秋季キャンプなどでもツーシーム以外のボールで打ち取れるものを考えていくつもりです。外の真っすぐとか外のスライダーとか」

「1年前の想像以上だった」

そのあと、この日の夕方に行われるドラフト会議の話になりました。あれから1年経って「早いですねえ」と青柳投手。「僕は上位指名の候補でなく、自信もなかったし、朝から嫌な一日でしたね」と苦笑い。でも指名された阪神で、ルーキーから1軍のローテ入りを果たしたわけですよね。「そこまでできると思っていなかった。僕だけの力じゃないですし、監督が使ってくれたからです」

そして「1年前からすると、想像以上」と感慨深げでした。

後輩が入ってくることに「でも僕がタイガースの中で一番ヘタなんで(笑)」と言いながら「ピッチングで負ける気はしないけど、総合的な投手力でも負けないようにしたいです」とキッパリ。そのために秋は試行錯誤の季節と言えるでしょうね。これから秋季キャンプがあり、冬にかけては台湾でのウインターリーグ。来年に向けて、まだまだ忙しいオフが待っています。

植田海は海を渡って…

忙しいといえば、メキシコ・モントレイ市で今月28日から11月6日まで開催される『2016年 第1回 WBSC U-23ワールドカップ』に参戦の植田選手。きょう21日のお昼ごろ、歳内投手とともに宮崎を離れました。「そのままメキシコへ行くの?」と聞いたら「直接行きませんよ。まず千葉ですよ」と。いやいや、それはわかっていますけど、いったん鳴尾浜に帰ってからかと思っていたもんで。

試合後にも打撃練習。『連続ティー』をする植田選手。
試合後にも打撃練習。『連続ティー』をする植田選手。

宮崎へ来る時にもうメキシコ用の荷物も入れていたんですね。すごいなあ。私は無理だわ。「そんな変わりませんよ、どこでも」…変わるでしょ、メキシコは。でも植田選手にしてみれば、野球をしに行くという点で何ら変わらないということ。海外は高校の修学旅行で行ったハワイ以来だそうですが、きっと自然体で、普通に過ごしてくるような気がします。植田選手なら。

ひと足先に打ち上げた、2週間あまりのフェニックス・リーグを振り返り「走塁ミスとか、きょうも牽制でアウトになったりとかあったんですけど、いろいろ自分の中で試せたと思います。課題が見つかりました」とコメント。今度は世界の舞台で、また新たな自分と出会ってきてほしいですね。有意義な時間でありますように!

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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