終盤を制すチームはセ界を制す。優勝はリリーフ陣で決まる、セリーグの法則。
「ボロ勝ち競り負けは弱いチームのやること」
これはノムさんの考え方の1つである。
先発が立ち上がりにつかまり序盤で大量ビハインドを背負う、若手に経験を積ませるためマウンドに送るも痛打を浴びる。どんなチームにもシーズン中に何試合かはこのような試合もあるだろう。この試合で防御率は大きく悪化するが1敗は1敗。本当に痛いのは互角の展開だった緊迫した接戦を落とした時である。1点を争う終盤で重要になるのがリリーフ陣。そこで、チーム内での救援登板数上位4人だけの防御率を調べてみた。
(救援登板のみの成績の合算。例えば広島・久本は今季43試合に登板しているが、先発した8試合は除き救援登板の47回自責点16のみを計算。チーム名の横にある数字は実際の順位)
2009年
1 巨人(山口、越智、豊田、クルーン)1.99
4 阪神(アッチソン、江草、藤川、渡辺)2.16
2 中日(浅尾、岩瀬、高橋聡、河原)2.50
5 広島(シュルツ、横山、永川、林)3.11
3 ヤクルト(林、五十嵐、松岡、押本)3.12
6 横浜(真田、高崎、山口、工藤)3.72
2010年
1 中日(浅尾、高橋聡、岩瀬、平井)1.89
4 ヤクルト(松岡、押本、増渕、林)2.39
2 阪神(久保田、西村、渡辺、藤川)2.97
3 巨人(久保、山口、越智、クルーン)3.10
6 横浜(真田、山口、江尻、加藤)4.06
5 広島(大島、岸本、横山、梅津)4.55
2011年
1 中日(浅尾、小林、岩瀬、鈴木)0.86
4 阪神(榎田、渡辺、藤川、福原)2.03
3 巨人(久保、山口、アルバラデホ、高木康)2.06
6 横浜(大原、篠原、江尻、山口)2.36
2 ヤクルト(林、押本、松岡、久古)2.92
5 広島(青木、サファテ、今村、岸本)3.21
2012年
1 巨人(山口、西村、福田、高木康)1.21
2 中日(田島、岩瀬、ソーサ、山井)1.59
5 阪神(福原、筒井、渡辺、藤川)2.10
4 広島(今村、ミコライオ、サファテ、河内)2.39
3 ヤクルト(日高、押本、バーネット、山本哲)2.49
6 DeNA(菊池、加賀、山口、藤江)2.50
なんと近年のセリーグ優勝チームは全てリリーフ4人の防御率でもトップだった。
2009年の巨人は救援投手全体の防御率は3.04で阪神の2.67、中日の2.76には及ばない。それでも勝ちパターンの継投だけに目を向ければ頭一つ抜ける。
2011、2012年は低反発球の影響もありほとんどの球団が2.50以下。その中でも中日、巨人、阪神の安定感が光る。
そして驚くべきは今季。リリーフ4人の防御率の並び順は、実際の順位と全く同じになる。
2013年
1 巨人(西村、山口、マシソン、高木京)1.75
2 阪神(加藤、安藤、福原、久保)2.11
3 広島(今村、ミコライオ、横山、久本)2.89
4 中日(岡田、武藤、岩瀬、田島)3.33
5 DeNA(大原、ソーサ、加賀、山口)3.38
6 ヤクルト(山本哲、石山、バーネット、久古)3.50
来季も巨人が大本命
再びノムさんの言葉を借りるなら「野球は投手力」ということになる。
終盤の鉄壁リレーを誇る巨人がぶっち切りで優勝し、阪神はベテラン勢の活躍が昨季の5位から順位を押し上げた。主力に故障が相次いだヤクルトは先発投手の離脱がクローズアップされがちだが、リリーフ陣の成績も思わしくなかった。
先発投手のFA移籍が話題の中心だった今季のストーブリーグ、主だったブルペン強化は呉昇桓を獲得した阪神ぐらい。広島と中日は今村と浅尾のパフォーマンスに期待がかかるが、来季のペナントレースも越智、久保が復帰し更にブルペンの厚みを増す巨人が大本命だ。
パリーグは混戦模様
一方、毎年のように熾烈な順位争いを繰り広げるパリーグはそうは行かない。
2013年
5 オリックス(佐藤達、平野、比嘉、岸田)1.93
4 ソフトバンク(森福、千賀、五十嵐、柳瀬)2.28
3 ロッテ(益田、松永、カルロス・ロサ、服部)2.83
6 日本ハム(増井、宮西、矢貫、石井)3.01
1 楽天(青山、小山、金刃、ラズナー)3.24
2 西武(サファテ、ウィリアムス、増田、大石)3.43
平野佳、岸田を擁するオリックスブルペン陣は佐藤達が加わり更に強固なものになった。リリーフ4人の防御率はパリーグ唯一の1点台ながら順位は5位。
ソフトバンクもリリーフ4人の防御率はオリックス以外の4球団を引き離し、攻撃面に目を向けてもチーム得点はリーグ最多。隙は無いように思えるが実際の順位はBクラス。
逆に優勝した楽天と2位の西武がリリーフ4人の防御率はブービーとワースト。
評論家の皆様方が順位予想で頭を抱えるのも仕方ないのかもしれない。