川沿いに名湯が多いのはなぜ? ソロ温泉で訪ねたい温泉地5選
温泉地といえば、河川の存在と切り離して考えることはできない。多くの温泉地は近くに川が流れている。河川の流れに沿って風情ある温泉街が形成されているケースも少なくない。
歴史ある名湯に河川あり、といわれる。
当たり前だが、地下でつくられる温泉は地上へとつながる通り道がなければ自然には湧出しない。その点、川はその通り道をつくってくれる。
温泉の泉源は河川の流れによる浸食で、湧出口が地上に露出するケースが多いのだ。そこから湧き出した湯のまわりに温泉街が形成されるのは自然な成り行きである。だから、現在のようにボーリングで掘削する技術がなかった時代から栄える古湯の多くは川沿いにある。
温泉地の多くは山や海など自然が豊かな地にあるが、筆者がとりわけ好むのが川沿いの温泉地である。
川の流れを見やりながら、そのせせらぎを聞いているだけでも、なぜか心が落ち着いていく。日常生活でささくれだった気持ちがふっと軽くなる。川に面した部屋など最高である。ひとりで水面をボーッと眺めていてもいいし、河川敷を散策してもいい。
ソロ温泉は川の温泉地と相性がよいのだ。
川とともにある温泉地は枚挙にいとまがないが、そのなかでもソロ温泉で訪ねたい川のある温泉地を紹介しよう。
①山中温泉(石川県)
名湯・山中温泉には北陸随一の渓谷美を誇る鶴仙渓がある。湯浴客で賑わう温泉街とは打って変わって、鶴仙渓の遊歩道は風雅な雰囲気。甘味やお茶をいただける「川床」も名物だ。山中温泉は、それほど温泉に興味がなかったとされる松尾芭蕉が唯一長逗留した温泉地である。
②川湯温泉(和歌山県)
温泉街の目の前を流れる大塔川から湯が湧き出している。夏はスコップで自分好みの露天風呂をつくりつつ、川遊びやキャンプに興じる観光客が多い。冬は「仙人風呂」という巨大露天風呂が出現し、名物となっている。まさに川とともにある温泉地だ。
③三朝温泉(鳥取県)
三徳川に沿って形成される三朝温泉は、日本有数の放射能泉の名湯として知られる。多くの宿が川に面しているが、湯浴み客が立ち寄る名物が、河川敷にある河原露天風呂。周囲から丸見えの混浴であるが、一度浸かれば解放感抜群だ。
④長湯温泉(大分県)
温泉宿が立ち並ぶ芹川の河川敷にあるのが、名物の露天風呂「ガニ湯」。野ざらしなので入浴には勇気がいるが、ほかにも共同浴場や日帰り入浴施設が充実しているので、湯浴みには困らない。湯治客用の宿が多いのも長湯温泉の特徴。
⑤杖立温泉(熊本県)
杖立峡谷の両岸に宿がびっしりと並び、白い湯けむりがあちこちから立ち昇る。温泉情緒あふれる景観が魅力の温泉街である。春には川を横断するように鯉のぼりが泳ぐ。その景色は圧巻。アットホームな宿が多いのも魅力だ。