今回の大河ドラマ「光る君へ」では、泉里香さんが演じる「あかね」こと和泉式部が登場した。和泉式部とは恋多き女性だったのか、紹介することにしよう。

　和泉式部は、大江雅致と平保衡の娘の子として誕生した。歌人としても有名であり、『和泉式部日記』を残したことでも知られているが、生没年は不明である。

　父の雅致は越前守に任じられた人物であるが、詳しい生涯は不明である。母は冷泉天皇の皇后昌子に仕えた女房で、介内侍と呼ばれていた。

　和泉式部には、何人か姉妹がいたと指摘されている。中でも姉と思われる女性は、選子内親王に仕えていた「播磨」なる女房だったという。

　長徳元年（９９５）頃、和泉式部は橘道貞と結婚したといわれている（正確な年月日は不明で、諸説あり）。道貞は和泉守、陸奥守などを歴任し、長和５年（１０１６）４月１６日に亡くなった。

　道貞が和泉守に任じられたのは、長保元年（９９９）のことである。和泉式部の「和泉」とは、道貞が和泉守になったことから称された。姓が「大江」だったので、「江式部」と呼ばれる場合もあった。

　道貞と和泉式部との結婚には、雅致の関与があったという。２人の間に娘の小式部内侍が誕生したのは、長徳３年（９９７）から長保元年（９９９）の間であるといわれている。

　しかし、道貞と和泉式部との幸せな結婚生活は長く続かず、ついに２人は別居したのである。その後、和泉式部は為尊親王（冷泉天皇の第三皇子）と恋に落ちるが、その恋は実らず、為尊親王は長保４年（１００２）に亡くなった。

　それから１年も経たないうちに、和泉式部は再び恋に落ちた。相手は、為尊親王の同母弟の敦道親王である。ところが、寛弘４年（１００７）に敦道親王も病没したのである。

　それから時を経て、和泉式部は藤原彰子（一条天皇の中宮）に女房として仕えることになった。そして、「道長四天王」の１人として名高い藤原保昌と再婚したのである。