※追記あり 日本代表トレーニングスコッド発表。どう見ればいい?【ラグビー雑記帳】
日本ラグビーフットボール協会(日本協会)は5月9日、日本代表の「第1次ラグビーワールドカップトレーニングスコッド」を発表した。
メンバーは以下の通り(カッコ内は所属先/キャップ=国際真剣勝負への出場数/★は2018年サンウルブズメンバー=後述、◎は2015年ワールドカップイングランド大会メンバー、■はサンウルブズ以外のジョセフ傘下のチーム=日本代表およびジャパンAに選出経験あり、※は現時点では日本代表資格を持っていないが日本大会までに資格を取得する選手)。
<左プロップ>
石原慎太郎(サントリー/8キャップ/★■)、稲垣啓太(パナソニック/19/★◎■)、三上正貴(東芝/33/◎■)
<フッカー>
坂手淳史(パナソニック/10/★■)、庭井祐輔(キヤノン/3/★■)、堀江翔太(パナソニック/55/★◎■)
<右プロップ>
浅原拓真(東芝/19/★■)、具智元(ホンダ/2/★■)、須藤元樹(サントリー/2/■)、ヴァル アサエリ愛(パナソニック/3/★■)
<ロック>
アニセ・サムエラ(キヤノン/7/■)、グラント・ハッティング(神戸製鋼/―/★※)、ヴィンピー・ファンデルヴァルト(NTTドコモ/3/★■)、ヘル ウヴェ(ヤマハ/7/★■)、真壁伸弥(サントリー/36/★◎■)、ジェームス・ムーア(宗像サニックス/―/★※)
<フランカー>
ベン・ガンター(パナソニック/―/※)、徳永祥尭(東芝/8/★■)、西川征克(サントリー/―/■)、アマナキ・レレイ・マフィ(NTTコム/19/◎■)、ピーター・ラブスカフニ(クボタ/―/★※)、リーチ マイケル(東芝/53/★◎■)
<ナンバーエイト>
布巻峻介(パナソニック/5/★■)、姫野和樹(トヨタ自動車/3/★■)
<スクラムハーフ>
内田啓介(パナソニック/22/★■)、茂野海人(トヨタ自動車/6/■)、田中史朗(パナソニック/64/★◎■)、流大(サントリー/9/★■)
<スタンドオフ>
田村優(キヤノン/48/★◎■)、松田力也(パナソニック/10/■)
<センター>
立川理道(クボタ/54/★◎■)、ウィリアム・トゥポウ(コカ・コーラ/1/★■)、中村亮土(サントリー/11/★■)、ラファエレ ティモシー(コカ・コーラ/8/★■)
<ウイング>
シオネ・テアウパ(クボタ/3/★■)、福岡堅樹(パナソニック/25/★◎■)、山田章仁(パナソニック/23/★◎■)、レメキ ロマノ ラヴァ(ホンダ/5/★◎■)
<フルバック>
野口竜司(パナソニック/12/★■)、松島幸太朗(サントリー/28/★◎■)
顔ぶれ
ジェイミー・ジョセフヘッドコーチは現在、国際リーグのスーパーラグビーに日本から参戦するサンウルブズを指揮している。今度の40名のうち32名は今季のサンウルブズのメンバーで、サンウルブズに所属しない選手を含めた計4名は今後代表資格(国内居住3年以上、他国代表経験なし)を取得予定。現役大学生はゼロだった。
選考基準は明示されていないが、将来性や実績よりも下部カテゴリーを含めた現体制下での立ち位置が反映されていると見られる。本来と違うポジションで掲出される選手もいる。
発表の経緯と展望
日本協会は今後、各所属先の協力を仰ぎながら今回選ばれた40名の国内試合出場数などを管理するという。決定に際しては国内各クラブとの密な連携が求められるはずだが、日本協会の薫田真広強化委員長はかねて「(クラブを持つ)各企業にご理解いただいた」と説明していた。
今後の戦いで入れ替えも促すというこの「トレーニングスコッド」はもともと昨秋に発表予定も、薫田強化委員長は「選手のモチベーションを考え」て延期していた。そして今回は「日本代表ヘッドコーチのジェイミー・ジョセフとも相談し、スーパーラグビーでの選手のコンディション調整や細かな測定を行ないその結果を踏まえて発表することがよりよい」との公式コメント(原文ママ)とともに、6月のテストマッチを1か月後に控えたスーパーラグビー期間中に発表した。
※追記=ジョセフは5月10日に共同会見に応じ、トレーニングスコッド発表の時期に関し「トップリーグの各チームにどの選手をプロテクトするかを知らせるため」と返答。
ジョセフヘッドコーチは、強化基盤であるサンウルブズに旧知の藤井雄一郎・日本協会理事(宗像サニックス部長兼監督)をゼネラルマネージャーに招聘。ジョセフヘッドコーチが指揮官を評価、サポートする立場のはずの薫田強化委員長と顔を合わせる機会は、藤井ゼネラルマネージャーとのそれよりも限られる。要は、選手の選考結果を問う以前の課題も横たわっている。
2015年のイングランド大会までの4年間は、岩渕健輔ゼネラルマネージャー(当時)とエディー・ジョーンズ前ヘッドコーチの二人三脚で貪欲さと献身性を涵養。本番では南アフリカ代表などから歴史的3勝を挙げた。
自国開催となる今回は日本代表を「協会主導」で強化するとしながら、前回大会前にあったティア1(強豪国)からの勝利はここまでゼロ。大勝負まで500日を切ったいま、「協会主導」の真価が問われる。