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20代が体感した金銭感覚の変化のきっかけは?(2024年公開版)

不破雷蔵グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  
20代が金銭感覚の変化を覚えたきっかけは(写真:アフロ)

お金そのものに対する見方はもちろん、お金の使い方や貯め方への姿勢も含めた金銭感覚が、時として大きな変化をすることがある。その変化をきっかけに、無駄遣いをしないようになったり、時間をかけて買い物をするようになったり、積極的に貯金をするようになったりすることもあるだろう。20代にもそのような金銭感覚の変化が生じることはあるのか、あるとすれば何をきっかけとしているのか。SMBCコンシューマーファイナンスが2024年1月に発表した調査結果「20代の金銭感覚についての意識調査2024」(※)から、その実情を確認する。

今調査対象母集団では64.4%もの人が、これまでに自分の金銭感覚が変化した経験を持っている。それでは具体的に、自分の金銭感覚が変化したきっかけは何だろうか。変化した人に尋ねた結果が次のグラフ。最上位についたのは「一人暮らしを始めた」で27.6%となった。

↑ 自分の金銭感覚が変化したきっかけは(これまでに自分の金銭感覚が変化したことがある人限定、複数回答、上位陣、男女別)(2023年)
↑ 自分の金銭感覚が変化したきっかけは(これまでに自分の金銭感覚が変化したことがある人限定、複数回答、上位陣、男女別)(2023年)

一人暮らしを始めるとなると、基本的に家計は自分ですべてを切り盛りしなければならないし、生活の中でやり取りするお金がよい意味でも悪い意味でも可視化される。以前からお金の管理に厳しかった人以外は、お金の大切さを改めて、身を持って思い知らされることになる。

次に「就職した」で25.3%。自分で働いた対価を得ることで、お金の大切さを知ることになるのだろう。また、就職に伴いさまざまなお金にかかわる制度と向き合うことを余儀なくされるため、それらもきっかけとなるに違いない。その観点では「一人暮らしを始めた」が近いかもしれない。「恋人ができた」「結婚した」「子供が生まれた」もあわせ、人生のマイルストーンがきっかけとなることは多いようだ。もっと直接的に「お小遣いが増えた・減った」「コロナ禍で家計が悪化した」のようなきっかけもある。たいていは厳しさに直面し、金銭感覚を変化せざるを得ないあたりだろうか。

「クレカを作った」は24.8%。クレジットカードを使い始めるとお金の使い方が雑になるイメージはあるものの、実際には使った金額は後程銀行口座などから引き落とされるため、その時点で現実を知ることになる。あるいはそのような話を事前に耳にしており、無駄遣いをしないよう気を付けねばと身を引き締めるのだろうか。

「アルバイトを始めた」は19.9%。アルバイトは単純にお金だけでなく、色々な経験をも得ることができるために勧められることが多い。今件のように、金銭感覚の変化のきっかけを与えてくれるよい機会にもなりそうではある。自分で懸命に働いてようやく得られたバイト代を目にし、お金の価値を再認識できるのではないだろうか。

男女別に見ると、上位陣では男性の方が値は上。「一人暮らしを始めた」「就職した」「クレカを作った」で男性の方が多いのは、単純にそれをする機会が男性の方が女性よりも多いからかもしれない。

第4位以下の項目では、女性の方が上になることが多い。女性が多いのは、女性の方が金銭感覚が変わるきっかけが多い、触発されやすいということなのだろうか。特に「結婚した」「子供が生まれた」では男女間で2倍以上もの差が生じており、女性が深く関係するであろうこれらの出来事で金銭感覚が変わる実情がうかがえよう。

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※20代の金銭感覚についての意識調査2024

2023年12月13日から15日にかけて、携帯電話を用いたインターネット経由で20代男女に対して行われたもので、有効回答数は1000件。男女・20代前半と後半の区切りで均等割り当て。未婚者826人、既婚者174人。調査協力機関はネットエイジア。

今調査における「年収」とは特に設問中で定義がされていないため、世間一般に認識されている通り、手取り(所得)ではなくサラリーマンなどなら天引きされている税金や社会保険料を含めた金額を意味するものとする。また、世帯「主」年収ではなく、世帯年収であることに注意。回答者が所帯持ちだった場合、配偶者の収入も合わせてカウントされる。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項のない限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項のない限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。

(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロではないプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記のない限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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