【京都市中京区】池田屋事件端緒となった拷問部屋の土蔵や新選組誕生のきっかけとなった演説の場を特別公開
桜や紅葉といった自然の魅力だけでなく、夏の時期に文化財や伝統文化・産業などの奥深い京都の魅力を伝え、ゆっくりと観光を楽しんでもらうためのキャンペーンとして開催される「京の夏の旅」が今年も始まりました。京都市と京都市観光協会が主催するもので、期間は2023年7月8日(土)~9月30日(土)(各施設によって差異あり)まで。
第48回となる2023年は、新選組結成160年&世界遺産をテーマに、壬生寺や前川邸、新徳寺、仁和寺や上賀茂神社など市内9か所で、通常非公開の建築・仏像・庭園などの文化財が期間限定で特別公開されています。新選組誕生の地とされる壬生界隈の壬生寺、新徳寺、旧前川邸の内覧会に行ってきました。
新徳寺は、江戸時代創建の臨済宗永源寺派の寺院で、幕末、上洛した「浪士組」のリーダーであった清河八郎が、浪士たちを集めて尊王攘夷の演説を行った場所。これに反発した近藤勇らが、江戸に引き返した清河らと決別し、「幕府権力の維持」を目指して立ち上げた集団が「壬生浪士組」、後の「新選組」です。
本堂や、内部に残る燭台は当時のものといわれており、内陣中央には本尊・准胝観音菩薩像が安置されています。また脇壇に祀られる地蔵菩薩像は、大風で壊れた屋根を直してくれた若い法師が地蔵菩薩の化身であったという言い伝えから「屋根葺地蔵」とも呼ばれ広く信仰されてきました。京都市観光協会委託のガイドさんが、「清河八郎と近藤勇や土方歳三、芹沢鴨らと決別していく顛末」などを分かりやすく解説してくださいます。
旧前川邸は、文久3年(1863)から約2年間、新選組の屯所となった建物。ここを活動拠点とし、新選組に関わる様々な事件の舞台ともなりました。今回は、豪雨により傷んだ屋根の修繕と葺き替え工事が行われたばかりの「東の蔵」を特別公開。今回は公開されませんが、山南敬助が切腹したと伝わる仏間のある母屋もあります。
両替商を営んでいた前川家は、京都御所や京都守護職など公的機関の出納も担当しており、天保10年(1839)に完成したこの蔵は貴重品を保管していたため、四重扉の厳重な造りとなっています。この「東の蔵」で、池田屋事件の端緒となった土方歳三による古高俊太郎への拷問が行われました。そのほか、現在は取り外されている「長屋門」の刀傷の残る出格子なども展示されます。
また期間中は、ガイドと歩く夏の旅~新選組屯所跡の残る壬生界隈として、京都SKY観光ガイド協会と京都市観光協会が主催する「京の夏の旅」文化財特別公開の公開箇所と周辺の見どころを案内するウォーキングツアーも開催されます。詳しくは京都市観光協会のオフィシャルサイト「京都観光Navi」(外部リンク)をご覧ください。
みなさんこの夏は、盛り上がる壬生界隈へぜひお越しください!
新徳寺 京都市中京区壬生賀陽御所町48
旧前川邸(外部リンク)京都市中京区壬生賀陽御所町49