台風5号 予報円が同心円を描く訳
台風5号の予想が冴えない。指向流が弱いため、予報円は小笠原諸島付近で同心円を描く。一方、台風のスパイラルバンドが北上し、激しい雨が頻発するおそれがある。
予報円の大きさは直径1600キロ
こちらは28日(金)午後3時の雲の様子です。丸く見えるのは台風の雲で、右上が台風5号、左下が台風9号です。
雲の大きさを比べると台風5号は9号の半分以下ですが、どちらも強い台風です。台風の強さは雲の多い少ないではなく、中心付近の風の強さで決まっています。
台風9号は沖縄から中国大陸へ、予報円が進行方向に伸び、予想の信頼性が比較的高いことを示しています(表紙)。
一方、台風5号はどうでしょう?予報円が重なりあい、同心円を描いています。
5日先の予報円の大きさは直径1600キロあり、最大級の大きさです。予報円は台風の中心が70%の確率で入る範囲を示していますから、台風の行き先が不透明なときほど、予報円は大きくなります。巨大な台風となる意味ではありません。
なぜ、予報円が同心円に?
台風を流す風を「指向流」といい、台風予想の要です。上空の強い西風、そして高気圧の位置や勢力に大きく左右されます。
この時期は指向流が弱いため、台風が周囲の環境を変化させる影響が大きい。さらに、台風5号のようにスケールの小さい台風は予測そのものが難しく、予想の不確実性が増す原因になっています。
日本の南海上は指向流が弱く、予測の難しい状況がしばらく続くでしょう。見通しがはっきりするのは来週以降になりそうです。
激しい雨が頻発
台風を取り巻く雲はスパイラルバンドといい、その名の通りらせん状の発達した雨雲です。関東地方から台風5号まで約900キロ離れていますが、台風の外側を取り巻くスパイラルバンドのひとつが千葉県・房総半島沖まで北上しています。
さらに、台風は湿った空気を送り出すポンプのような役割をするため、台風から遠い場所でも、急に雨雲が発生して、激しい雨が降ります。ここ数日、台風の間接的な影響で、午後は西日本から東日本の広い範囲で激しい雷雨になっています。
この変わりやすい空模様はしばらく続くでしょう。夏休みが本格化する今、これまで以上に天気予報に敏感になってほしいと思います。
【2017年7月28日午後3時現在の気象情報、台風情報を元にしています】