ベトナムで大人気の〈Pho Thin（フォーティン）〉は、1955年にベトナム・ハノイの街角にある老舗フォー専門店です。小さなお店ですが、1日に2500人も訪れるほど人気です。そんな本場のフォーの味を日本にも広めようと池袋に1号店、新宿に2号店がオープン。続いて2023年6月に3号店を吉祥寺にオープンしました。メニューが「フォー」のみという一点特化型のお店の“極上の一杯”をご紹介します。

吉祥寺の路地裏に登場した〈フォーティントーキョー〉

JR吉祥寺駅から徒歩3分。吉祥寺サンロードから元町通りに入ってすぐの場所にオープンした同店は、冒頭で説明した通りメニューは「牛肉のフォー」のみ。

吉祥寺の街には、アジア料理のお店も多く点在し、競争相手も多いこの土地でフォーのみの提供という“一点特化型”のスタイルが多くの麺マニア＆アジア料理好きからの注目を集めています。

店内に入ったらまずは食券を購入。

メニューは牛肉のフォーと各種トッピングのみ。 ※ パクチー無しもできます。

【メニュー】

・牛肉のフォー（950円）、大盛り（1,050円）

・「生麺」牛肉のフォー（1,100円）

・トッピング/ネギ（120円）

・トッピング/パクチー（170円）

・トッピング/追加牛肉（250円）

・生卵（80円）

2階のイートインスペースへ

店内2階のイートインスペースは、バーガンディー色のタイルの壁には、ハノイの街やフォーティンの店主、ティンさんの写真が飾られています。

ハノイのお店は、ベトナムのガイドブックなどにも多く掲載されている有名店。

創業後、どこにもチェーン展開は一切しておらず、45年以上レシピは門外不出だったそう。

そんな〈フォーティン〉の味に感動した墨さんが、たくさんのお客で賑わうハノイの店に足繁く通い、ティンさんに合わせてほしいと懇願。拒否していたティンさんでしたが、帰国する最終日に会うことを許してもらえ、フォーティンの味を伝授してほしいと直談判。

様々な国からの出店を断ってきたティンさんでしたが、墨さんの情熱に心を打たれ門外不出だったフォーの作り方を譲り受けることができました。

ハノイで「伝説の味」といわれた『情熱の一杯』

スープに使用している食材は20種類弱。

甘みがぎゅっと詰まったスープのレシピは門外不出なので、ここからは味わって感じた想像ですが、牛豚鶏の骨でとったトリプルスープのように、味の奥行きが深くてまろやか。ほのかに魚やスパイスの風味も感じます。

スープは見た目はあっさりしていそうですが、とても奥深い。具材の牛肉は脂は少なくやわらかでサッパリ。ネギやパクチーなどのシャキシャキした食感と香りが食欲を増進させます。

麺は生めんと乾めんの2種類あり、生めんは数量限定となっており、開店してすぐに売り切れてしまうそうです。

テーブルに設置されている「チリソース」、「ニンニク酢」、「ヌクマム」で味変。特にティンさん秘伝の「チリソース」が辛いけれど旨味があってクセになります。

このチリソースはいろんなものにつけても美味しいはず！ 販売してほしいと思ったほど気に入りました。

フォーに使用されている素材の味も大切なのですが、日本での食材の選び方などを日本まで来て伝授してくれたティンさんの温かさや、この一杯にかけた墨さんの情熱も、この一杯の味わいを深めるスパイスとなっているのだと感じました。

心に染み渡るような一杯。ごちそうさまでした。