U-17女子ワールドカップがインドで開幕。西海岸のリゾート・ゴアの魅力とコンディション調整の難しさ
U-17女子W杯がインドで開幕した。
3大会ぶりの優勝を目指すU-17日本女子代表は、初戦でW杯初出場のタンザニアと対戦し、4-0で勝利。前半は初戦の硬さが見え、攻撃が噛み合わない場面もあったが、後半は時間と共にスペースを効果的に使えるようになり、FW白垣うの、FW板村真央、FW辻澤亜唯、MF谷川萌々子と、4人の選手がゴールを決めて快勝を飾った。
日本はグループステージ3試合を、インド西海岸のゴアのネルー・スタジアムで戦う。ノックアウトステージも、準決勝までは同会場での試合となる。
ゴアはアラビア海に面した、観光客に人気のリゾートだ。青々とした自然や田園風景が魅力で、南北に100km続くという海岸線には背の高いヤシの木が伸び、南国らしい情緒を醸し出している。名産は、カシューナッツの果実から作った「フェニ」という地酒。60年前まではポルトガル領だったこともあり、当時の名残ある色彩豊かな家並みが美しい。
インドの国技はクリケットだが、それに続くサッカーも、人気は年々高まってきているという。筆者が泊まっている宿の近くのレストランでは、インドのプロリーグ(スーパーリーグとIリーグがある)の試合が放映されていて、熱心にテレビを見る人たちがいた。
FIFAランクは男子が106位、女子は61位。U-17女子W杯は今大会が初出場で、グループステージではアメリカとモロッコに2敗と、厳しい状況だ。ただし、ゴアのスタジアムで試合を観戦する学生の中には、女性の姿も少なくない。
インドの女性がサッカーをする上では宗教面でのハードルもあると思われるが、来年には中国を超えて人口が世界最多になるというデータが国連から発表されており、競技人口の広がりを考えれば高いポテンシャルを秘めた国だろう。
日本のグループステージの会場となるネルー・スタジアムは、サッカーとクリケット兼用スタジアムだ。築33年で、くすんだ外壁は歴史を感じさせる。
収容人数は23,300人で、スタンドとピッチは柵で隔てられている。一部の熱狂的なサポーターがグラウンドに乱入してしまうからかもしれない。
ニュージーランドとチリの開幕戦の前には、スタジアム周辺が学生や時間を持て余した人々でごった返し、「チケット持っていないか?試合を見たいんだ」と、代わるがわる話しかけてきた。
コンディション調整の難しさ
日本との時差は、マイナス3時間30分。気候は高温多湿の熱帯モンスーン気候で、6月から9月までの雨季には大量の雨が降るという。現在は観光のベストシーズンと言われる乾季だが、昼間は30度を超えてかなり暑く、夜になっても湿度が高い。海から吹いてくる風の影響もあるかもしれない。
U-17日本代表のグループステージ3試合は、すべて20時キックオフに設定されている。練習は試合時間に合わせて19時からに設定されているが、終わってホテルに帰って食事を摂るのはかなり遅い時間になる。
試合の日は、食事が24時近くになるという。選手たちにとっては初の国際大会で、中2日の過密日程の中で戦わなければならないが、慣れない環境下でのコンディション調整も勝敗を分ける一つのポイントになる。
その点で、狩野倫久監督は抜かりのない準備を進めてきたようだ。
「インドのスケジュールが出た時点で、フィジカル部門とメディカル部門とテクニカルと話をして、直前合宿のUAEから時差も含めて少しずつ、生活スタイルを夜型に持っていきました。試合は通常の練習より遅いので、コンディションを確認しながら次の試合に繋げていきます」
気候に関しては、ゴアより5度以上も気温が高い酷暑下で暑熱対策を行なってきたため、「涼しく感じる」という声がスタッフや選手からも聞かれた。ただし、UAEに比べると湿度がかなり高く、試合時間の夜でも80%を超える(雨は降っていない)。スタンドに座っていても全身から汗が滴り落ちてくるほどだ。
狩野監督は、「試合中は汗が吹き出してくるので、水分の摂り方などは注意しています。ただ、日本の気候で多少なりとも湿度には慣れていると思うので、選手たちは環境に適応しています」と話しており、コンディション面は問題なさそうだ。
日本は今夜、グループステージ第2戦でカナダと戦う。カナダは前回(2018年)大会ベスト4、昨年の東京五輪ではA代表が初優勝を飾った強豪だ。
キックオフは20:00(日本時間の23:30)。BSフジとJ SPORTSで中継される。
*表記のない写真は筆者撮影