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日本市場に参入する世界4位のスマホメーカー『OPPO』のスゴさとは?

篠原修司ITジャーナリスト/炎上解説やデマ訂正が専門
2月9日に日本で発売されるOPPOのカメラフォン『R11s』。同社サイトより

 中国で人気のスマホメーカー『OPPO(オッポ)』が、2月9日(金)に同社のAndroidスマートフォン『R11s』を日本でも発売します。

 OPPOと言われても「あまり聞いたことがない」という人は多いでしょう。しかしこのOPPO、2017年第3四半期のスマートフォン出荷台数でアジア1位、世界4位を記録している人気メーカーなのです(調査会社カウンターポイント調べ)。

 この記事ではそんなOPPOについて解説します。

薄型スマホで話題を集めたOPPO

 OPPOは中国の電子機器メーカー『BBK(歩歩高)』のAV部門を分社化して、2004年に設立された会社です。設立後はDVDプレーヤーやMP3プレーヤーの販売を手掛けつつ、2008年から携帯電話事業に参入しました。

 その後、2011年に同社初のAndroidスマートフォン『Find』シリーズを引っさげてスマートフォン市場に参入。その際、CMに俳優のレオナルド・ディカプリオを起用したことが大きな話題を呼びました。

 また、当時の中国では薄型スマートフォンが人気であり、独自色に欠けるOPPOは他社との差別化を図るため2013年1月に世界最薄(当時)、厚さ6.65ミリのスマートフォン『Finder』を発売。

 さらに2014年11月には同、厚さ4.85ミリの『OPPO R5』を発売し、その高いデザイン性がユーザーのあいだで話題となりました。

自撮りをメインにカメラ機能に特化

 こうした薄型化と並行してOPPOが力を入れた機能が、同社のスマートフォンが「カメラフォン」と呼ばれるようになった“カメラ機能”です。

 2013年12月、OPPOはカメラ部分の角度を前後に206度まで変更できるスマートフォン『N1』を発売します。通常、スマートフォンはフロントカメラとリアカメラの2つのレンズが用意されていますが、N1では1つのレンズで前面と背面の両方を撮影できます。

 これにより多くのスマートフォンでフロントカメラの性能がリアカメラより劣るところを、N1では自撮りのときも美しく、高画質な写真が撮れるようになりました。

 この「自撮りカメラにも高画質を」という精神は日本で発売されるR11sにも受け継がれており、R11sのフロントカメラの画質は2,000万画素を誇ります。まさに自撮りのためのカメラです。

大量の実店舗と広告で若者や女性に人気に

 もちろんこれらの“性能”だけでは人気メーカーには成りえません。OPPOが売れたのはその圧倒的な店舗数の多さにあると言われています。その数、じつに中国国内だけで25万店舗(2017年12月末時点。OPPO発表)。昨年12月には上海に「スーパーフラッグシップストア」をオープンし、何百万人もの女性客を集めたそうです。

上海のOPPO店舗。Google Mapよりキャプチャ
上海のOPPO店舗。Google Mapよりキャプチャ

 これらの「どこにでもOPPOの店舗がある」という空気と、中国各所で展開された膨大な量の広告戦略により、OPPOは若年層を中心にヒット。2016年には同社の『OPPO R9』が「中国で一番売れたスマートフォン」に躍り出ました。

 このOPPO R9にはカメラ機能以外に「充電5分、通話2時間」のキャッチコピーで(現地では)有名な急速充電機能もついており、これも若者に支持される理由となっています。

日本ではiPhoneからの乗り換えユーザーを狙う?

 そんなOPPOが、日本に上陸します。

 これまでの同社の戦略から考えると、日本でも同様にカメラフォンとして大々的に打ち出していくことは想像に難くありません。

 問題は日本のスマートフォン市場のガラパゴスっぷりです。

 日本は世界でも類を見ないほど『iPhone』が人気の市場であり、Androidスマートフォンのシェアは約30%しかありません(2017年。statcounter.com調べ)。

 しかもOPPOが中国で支持されている若年層ほどiPhoneへの人気が高く、高校生を中心とした学生にとっては「最新機種じゃなくてもいいけどスマホはiPhone」がまず大前提になっていると言われるほどです。

 そんななかでシェアを獲得するのは並大抵のことではないでしょう。けれども、もしかしたらOPPOにはそれが可能かもしれません。それがカメラフォンとしての自撮り機能と、R11sが搭載しているカスタムOSです。

 まず、自撮りは単純に画質が良いだけではありません。R11sには「A.I.ビューティーセンサー」というAI技術が内蔵されており、フロントカメラで写真を撮った際にユーザーごとの顔の特徴を分析し、バランスを自然に整えたかたちの美しい写真を出力します。

 『SNOW』や『BeautyPlus』といった専用のカメラアプリをインストールする必要がない手軽さがあります。

 また、R11sのOSには純粋なAndroid OSではなく、『Android 7.1』をベースにしたカスタムOS『Color OS 3.2』が採用されています。伝え聞くところによれば、システムなどの操作感がとてもiPhoneに似ているそうです。

 つまり、きれいな自撮り写真を撮りたいiPhoneユーザーにとっては乗り換えやすいということです。

 そんなR11sの価格は57,980円(税抜)。ヨドバシカメラやビックカメラなどの家電量販店で取扱いが行われます。

ITジャーナリスト/炎上解説やデマ訂正が専門

1983年生まれ。福岡県在住。2007年よりフリーランスのライターとして活動中。インターネット(SNS)で起きる炎上の解説、デマのファクトチェック、スマホやガジェットの話題、生成AIが専門。最近はYouTubeでも活動しています。執筆や取材の依頼は digimaganet@gmail.com まで

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