アルゼンチン人コーチが語る、苦戦中の代表(アルビセレステス)
4月10日、アルビセレステス(アルゼンチン代表)で指揮をとっていたエドガルド・バウサ監督が解任された。南米予選を戦っているアルゼンチンは、現在5位(6勝4分け4敗)。ブラジルW杯で準優勝したことが信じられない体たらくである。
加えてエース、リオネル・メッシは3月23日のチリ戦における審判団への暴言が問題視され、4試合の出場停止処分を受けた。残る4試合のうち、3試合でプレーできない。
あのアルゼンチンに暗雲が立ち込めているように見えるが…。
セルヒオ・エスクデロは冷静に語った。
「新しい代表の監督は、スペインリーグ、セビリアを率いるホルヘ・サンパオーリか、アトレティコ・マドリード監督のディエゴ・シメオネか、リーベル・プレート監督のマルセロ・ガジャルドになるでしょう。
アルゼンチンのサッカーは歴史を振り返っても、11対11なんです。11人それぞれが強く、自分の役割をやり遂げて勝ってきた。でも今のアルゼンチン代表は、メッシがいないと厳しいです。今後、予選で3試合出場できない。誰が監督にになっても、険しい道。
アルゼンチンの危機は10年前から始まっています。2014年に亡くなったアルゼンチンサッカー協会のフリオ・ウンベルト・グロンドーナ会長は賄賂をもらったり。W杯開催国を決めるカタールとロシアの抽選会の時、裏で動いた黒いお金にも絡んでる。本来、それぞれのクラブに分配するべきお金をグロンドーナが懐に入れちゃったこともある。その結果、潰れかけのクラブが複数あります。
イグアイン、デマリア、アグエロ、メッシ、コレアとか、いっぱいいい選手がいるのに、いいサッカーやっていないんですよ。ブラジルW杯準優勝だって、いいサッカーは出来ていませんね。素晴らしいサッカーじゃない。もっともっといいサッカーが出来るはず。いいサッカーをやるために、今回監督を変えたんです。ペルー戦、ベネズエラ戦はホームなので、その2試合を勝てばウルグアイとは引き分けてもW杯に行けます。実は、国民はそれほど心配はしていないです。ただ、戦い方には不満を持っています。
W杯初優勝を飾った1978年のチームは素晴らしかった。1979年のワールドユース代表も、国民が朝の6時とかに起きて必死でTVを観ていました。あの頃は本当に内容のある攻撃的な戦いを見せ、国民の一人一人が熱狂しました
1986年のメキシコW杯優勝は、マラドーナがいたから。守備的なチームでしたが、マラドーナは神様でしたからね。
代表に呼ばれていないいい選手が、もっといるんですよ。イグアイン、デマリア、ラベッシらベテランが多いでしょう。日本と同じで世代交代の時期なんですね。もう少し若くて、ライン際をバーっとドリブルする選手が欲しいです。ガンガン前からプレッシャーかけるために走り回る選手も。それが今の有名選手に出来るかどうか…。メッシは代表とクラブを合わせて年間70試合ほどやっています。疲れているから、もっと若い選手が必要なんですね。若手との融合がないと、ロシアW杯、厳しくなりますよ」
W杯南米予選では4位までが自動的に出場権を得られる。5位はオセアニア代表とのプレーオフを戦う。やはり、強いアルビセレステスが見たい。
引退後、セルヒオ・エスクデロは浦和レッズユースや埼玉栄高校などで指導者のキャリアを重ねた。今日、彼はレッズユース時代の教え子である千島徹が立ち上げた「Magico Futbol School」で日本の子供たちにアルゼンチンスタイルのサッカーを教え始めた。
「小学生には、まずサッカーの楽しさを伝えます。でも、そのなかから僕の国の戦いを学んでほしいですね」