地震雲を見たら本当に地震が起きる?科学的根拠はなし!SNSのデマ投稿に注意
みなさんは「地震雲」という言葉を、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。その雲が現れると地震が発生すると、まことしやかに広がっている「噂(うわさ)」ですが、本当に信じている人もいるようです。
今回は、昔からささやかれている「地震雲」についてお話しましょう。
南海トラフ臨時情報(巨大地震注意)でデマが拡散
今年8月8日に日向灘で発生したマグニチュード(M)7.1地震によって、気象庁は「南海トラフ地震臨時情報」を発表しました。これを受けてSNS上では「地震雲が見られた!」などのデマ投稿が相次ぎました。
【結論】地震雲は存在しない!地震との関連性はない
SNS上で「地震雲を見た!」「巨大地震の前兆」などのデマ投稿が相次いだことで、気象庁は公式サイトで「日時と場所を特定した地震を予知する情報はデマ。心配する必要はない」と呼び掛けています。
また、雲研究者で気象庁気象研究所主任研究官である「荒木健太郎」さんのXでも「何度でも言いますが、雲は地震の前兆にはなりません。」と伝えています。
地震雲の「うわさ」はどこから発生したの?
古代よりさまざまな言い伝えがあり、現代でも継承されているモノもあります。例えば「巫女さん」が代表的な例でしょう。
神さまに奉仕する女性のことで、古には死霊や神霊を呼出す呪術の能力があり、祈祷師として活躍していたとも言われています。
その実態は不明ですが、現代でも「巫女」との呼び名は残っていて、神職の下でお手伝いをする役目を担っています。
このように、地震雲も昔からの自然現象として、アマチュア学者の間で流行り、いつしか一般に広く伝わっていったようです。
大地震の前に異様な形の雲が発生していたこともある
過去の報告例を遡ると、大地震の前に実際に異様な形の雲が発生していたことがあったようです。
偶然なのか、実際に大地震が起きる前に気象現象が変わるのか、解明はされていませんが現実に発生していたことで、地震雲の定義が広がったようです。
また、日本地震学会のFAQ 2-12. 地震雲(2019年10月修正)では「Q:地震前に地震雲が現れるという話をよく聞きます。本当でしょうか?」に対する回答の、以下の文章だけを切り取って、雲と地震との関係性があるとしている点もあります。
地震雲に化学的なエビデンスは全くない!
とは言っても、地震雲には化学的なエビデンスは一切ありません!それは、先にお伝えした「巫女」が神さまの言葉を代弁する「口寄せ」ができる。との噂と同レベルと言えるからです。
また、前述した雲の専門家でもある荒木健太郎さんが伝えている「雲は地震の前兆にはなりません」からも、エビデンスがないことがよく分かります。
現状では、地震雲を真剣に研究する学者や専門家は皆無です。一部のアマチュア学者が、SNSなどを使って発信することで、現在でもまことしやかに噂されているのが現状です。
日本は地震の多い国ですから、今回のような「地震雲」などのデマ投稿はなくなることはないでしょう。そのため、受け取る側が「デマを信じない!」ことが重要です。
繰返しになりますが、雲と地震との関係に科学的根拠はないため、SNSによるデマに惑わされないようにしましょう!