親殺しの心理2:少年は先に祖母を殺していた:横浜戸塚高1母祖母殺害事件
少年にとって、家庭とは、祖母の存在とは、何だったのでしょうか。
■少年は先に祖母を殺していた
■少年は祖母にもカッとなっていた
■親を殺す少年と祖母
親殺しは、多くの場合先進国の中流以上の家庭で起きます(親殺しの心理学:なぜ子どもが親を殺すのか:横浜高1男子母と祖母殺害事件から)。子どもの心の中で、親の悪いイメージだけが広がり、巨大な親の存在に押しつぶされそうな感覚、飲み込まれるような感覚から、「殺すしかない」と感じて、親を殺害します。
そのとき、たとえ優しい祖父母であっても、少年から見れば、自分の自由を奪う大人側の人間と見なされると、親と共に祖父母も殺害されることもあります。
しかし今回の事件では、少年は祖母にもイラつきを感じてたようです。祖母を先に殺害したとするならば、自分を押さえつける最大の存在は、母親ではなく祖母と感じていたのかもしれません。
■祖父母の存在感
今回の事件の詳細は不明ですが、一般論としては、現代の日本の家庭にも、大きな力を持った祖父母が存在しています。特に地方に行くと感じます。父母は祖父母の前で小さくなっており、祖父母が家庭の中で決定権を握っています。
父と母は、互いにブレーキをかけ合うこともできますが、たとえば巨大な存在の祖母がいて家庭を牛耳っていると、誰も反対できない場合もあります。
■祖父母の孫育て
今回のケースとは違いますが、両親に子育ての力がないと、祖父母が両親代わりとなって子育て(孫育て)をすることもあります。祖父母は一生懸命がんばります。自分の老い先が短いという意識もあって、なおさら一生懸命に孫を育てようとします。
ところが、その思いが空回りすることもあります。祖父母と孫では年齢も離れていて、親以上に世代間ギャップがあります。祖父母の価値観で孫を教育し、しつけようとすると、孫が激しく反発することもあります。
親が子育てを放棄しているようなケースではなくても、一生懸命すぎる祖父母の孫育てが、トラブルにつながることはあるでしょう。
■横浜高1母祖母殺害事件
これまでの報道では、母と祖母が特別に厳しい子育てをしていたという情報はありません。ただ、この少年としては、「母親だけでなく、祖母からも勉強や生活態度についてガミガミ言われ」ていたと感じていました。
父親が不在で、母と祖母が一緒になって「ガミガミ」言ってくると感じている中で、彼の心に殺意がわいたようです。衝動的犯行と警察は見ていますが、犯行のあった朝、事件の直前に何があったのかは、まだ報道されていません。
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