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思わぬ拾い物!? 契約したばかりのベテランが、最初の3試合で逆転グランドスラム&ノーヒッター阻止

宇根夏樹ベースボール・ライター
ヘラルド・パーラ(ワシントン・ナショナルズ)May 12, 2019(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 移籍早々、ヘラルド・パーラ(ワシントン・ナショナルズ)が存在感を示した。5月10日の「ナショナルズ・デビュー」は3打数0安打ながら、11日に逆転グランドスラムを放つと、12日は8回表に二塁打を打ち、あと5アウトに迫っていたヒョンジン・リュ(ロサンゼルス・ドジャース)のノーヒッターを阻んだ(写真)。

 パーラは、32歳の外野手だ。過去3シーズンはコロラド・ロッキーズでプレーし、トータルで打率.283を記録したが、本塁打はシーズン平均8本に届かなかった。もともとパワーはあまりなく、守備もかつてほどではない。2度目のゴールドグラブを受賞したのは、6年前のことだ。

 今年2月にジャイアンツとマイナーリーグ契約を交わし、開幕ロースターに入ったものの、打率.198、1本塁打と打てず、5月3日にロースターから外された。マイナーリーグ行きを拒み、パーラは7日にFAとなった。

 一方、9日にパーラと契約したナショナルズでは、ホアン・ソトに続き、彼の穴埋めとして昇格させたアンドルー・スティーブンソンも、故障者リストに入っていた。また、2人の一塁手、ライアン・ジマーマンマット・アダムスも離脱している。通算30試合未満ながら、パーラは一塁を守った経験も持つ。

 11日にソトが復帰し、ナショナルズの外野手は5人になった。それもあって、11日と12日の試合に、パーラは一塁手として出場した。ジマーマンとアダムス、あるいは一方が戻ってくれば、パーラはその時点で解雇される可能性もある。

 ただ、2人とも復帰の目途は立っていない。本職の外野手としては余剰人員になっても、ナショナルズにおけるパーラの存在理由は、まだ失われていない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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