メダルに最も近いボクサー岡沢セオン モチベーションは「プロに舐められたくない」
メダルに最も近い岡沢セオン
東京五輪の男子ボクシング競技で金メダルに最も近いボクサーがいる。男子ウェルター級に出場する岡沢セオンだ。
岡沢は2019年度アマ年間最優秀選手に選ばれたボクサーで、アジア大会では日本選手として36年ぶりとなる銀メダルを獲得。
打たせずに打つアマチュアのスタイルで、抜群の安定感と強さを誇る選手だ。
五輪出場を決めるアジア・オセアニア予選では男子で唯一、自力で五輪出場権を獲得した。
今月24日に行われた初戦では、昨年3月のアジア・オセアニア予選で敗れたクリシャン・ビカス(インド)と戦い、序盤からペースを握り、打たせずに打つボクシングで圧勝した。
プロとアマの違い
ボクシングはプロとアマチュアでルールが異なる。
プロはダメージ、アマはパンチの的確性を重視し、試合時間もプロは最長3分12ラウンド、アマは3分3ラウンドだ。
アマチュアボクサーとして活躍する岡沢はその魅力について「3分3ラウンドのハイテンポで高い技術力が必要とされる、何よりスピード感が魅力」と話している。
私自身、プロとアマどちらも経験しているが、戦術面や練習方法、調整なども含めて別の競技と言っても過言ではないほど違う。
短いラウンドでの勝負であればプロの日本王者でも、アマの大学生には敵わないと言われるほどだ。
岡沢のモチベーション
「アマチュアボクシングが好きというのが一番のモチベーション。一生に一度しかない東京五輪で、もっと多くの人に知ってもらいたい」
岡沢はアマチュアという言葉がついているためプロのボクシングより下だという認識を持たれてしまっているのが悔しいと話していた。
「アマチュアにはアマチュアの魅力がある、プロより下だと舐められたくない。その気持ちが今の原動力」
岡沢は自ら新しい道を切り開こうとスポンサーを集め、その収入のみで競技を続けている。
アマチュアの選手は、大学生・高校生、社会人であれば自衛隊などに所属して続けるのが一般的だ。
東京五輪に向けても「19社がスポンサーしてくれている。ボクシングができているのはスポンサーのおかげ、アマチュアボクサーとしての誇りと責任を持ってやれている」と意気込みを語った。
次戦は27日にロンドン五輪で金メダルを獲得しているロニエル・イグレシアス(キューバ)と対戦が決まっている。
強敵ではあるが、金メダルを目指している岡沢にとっては超えなければいけない壁だ。
「オリンピックで金メダルを取ってアマチュアを牽引する存在になりたい」
ロンドン大会でメダルを獲得している村田諒太、清水聡以来のメダル獲得に期待したい。
【この記事は、Yahoo!ニュース個人編集部とオーサーが内容に関して共同で企画し、オーサーが執筆したものです】