本塁打王はその年のポストシーズンでもホームランを打っているのか。今年の本塁打王はジャッジと大谷
今世紀に入ってから、ア・リーグあるいはナ・リーグで本塁打王を獲得した選手は、延べ53人を数える。
直近の2人は、今シーズンのアーロン・ジャッジ(ニューヨーク・ヤンキース)と大谷翔平(ロサンゼルス・ドジャース)だ。58本塁打と54本塁打は、ア・リーグ最多とナ・リーグ最多。45本以上のホームランを打った選手は、彼らしかおらず、大差の本塁打王となった。それについては、こちらで書いた。
◆「大谷翔平の54本塁打はリーグ2位と15本差。「大差の本塁打王」の歴代何位にランクイン!?」
今シーズンの2人を除く51人中、39.2%の20人は、その年のポストシーズンに出場した。60.8%の31人は、チームがポストシーズンに進めなかった。昨シーズンの大谷は、直近の後者だ。大谷の44本塁打はア・リーグで最も多く、大谷がいたロサンゼルス・エンジェルスは73勝89敗と負け越した。
ジャッジと大谷は、2人とも、今年のポストシーズンに出場する。ヤンキースもドジャースもリーグ・トップの勝率を記録し、ワイルドカード・シリーズをスキップ。10月5日に始まる、ディビジョン・シリーズからスタートする。
本塁打王を獲得し、その年のポストシーズンに出場した20人が、そこで記録したスタッツは、以下のとおり。
このなかで、5試合以上に出場し、ホームランを打たなかったのは、2005年のアレックス・ロドリゲスだけだ。また、出場10試合以上の7人は、少なくとも2本塁打を記録している。
ジャッジは、2017年と2022年も、本塁打王を獲得し、その年のポストシーズンに出場した。2017年は13試合で4本、2022年は9試合で2本のホームランを打った。
ただ、どちらのポストシーズンも、打率は.200未満だ。2017年は、リーグ・チャンピオンシップ・シリーズで3本塁打ながら、第7戦は4打席で4打数0安打。ヤンキースは0対4でヒューストン・アストロズに敗れ、ワールドシリーズ進出を逃した。2022年は、リーグ・チャンピオンシップ・シリーズでアストロズにスウィープされた。ジャッジは、17打席で16打数1安打、長打も打点もなかった。
2019年のリーグ・チャンピオンシップ・シリーズでも、ヤンキースは2勝4敗でアストロズに屈している。このシリーズも、ジャッジは、よく打ったとは言い難い。28打席で25打数6安打、1本塁打、2打点に終わった。
今年、アストロズは、ワイルドカード・シリーズで姿を消した。ヤンキースがディビジョン・シリーズで対戦するのは、カンザスシティ・ロイヤルズだ。リーグ・チャンピオンシップ・シリーズに進んだ場合、相手は、クリーブランド・ガーディアンズとデトロイト・タイガースのどちらかとなる。タイガースは、アストロズをスウィープした。
一方、2022年のカイル・シュワーバー(フィラデルフィア・フィリーズ)は、ポストシーズンの17試合で6本のホームランを打った。7試合目以降の11試合で6本塁打、と表記すべきかもしれない。ワイルドカード・シリーズとディビジョン・シリーズの計6試合は27打席で20打数1安打、0本塁打、2打点――犠牲フライ2本――ながら、リーグ・チャンピオンシップ・シリーズとワールドシリーズの計11試合は47打席で35打数11安打、6本塁打、8打点を記録した。
シュワーバーは、1度のポストシーズンで5本塁打以上が3度ある。2022年以外の2度は、シカゴ・カブス時代の2015年に9試合で5本塁打と、昨年の12試合で5本塁打だ。昨年も、最初の2シリーズは振るわなかったが、リーグ・チャンピオンシップ・シリーズの7試合で5本のホームランを打った。ポストシーズンの通算本塁打は20本。29本のマニー・ラミレス、27本のホゼ・アルトゥーベ(アストロズ)、22本のバーニー・ウィリアムズに次ぎ、デレク・ジーターと並んでいる。
今年のポストシーズンにも、シュワーバーは出場する。フィリーズも、ディビジョン・シリーズからスタートを切る。
なお、1度のポストシーズンで最も多くのホームランを打ったのは、2020年のランディ・アロザレイナ(当時タンパベイ・レイズ/現シアトル・マリナーズ)だ。20試合で10本塁打を記録した。9本塁打以上の選手は、他にはいない。