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若手3人と交換に獲得したスラッガーは、ここ2年の本塁打が15位タイだが、出塁率はワースト15位

宇根夏樹ベースボール・ライター
ジェイク・バーガー Jun 9, 2024(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 12月11日、テキサス・レンジャーズは、3人のマイナーリーガーと交換に、マイアミ・マーリンズからジェイク・バーガーを獲得した。

 バーガーは、パワーのある内野手だ。2023~24年の計63本塁打は、このスパンの15位タイに位置する。その一方で、2023~24年の出塁率.305は、このスパンに1000打席以上の115人中、ワースト15位だ。打率.250は71位だが、四球率5.6%は11番目に低い。

 両シーズンとも、数値は同水準に近い。シカゴ・ホワイトソックスとマーリンズでプレーした2023年は、34本塁打、出塁率.309、四球率5.9%。2024年は、29本塁打、出塁率.301、四球率5.4%を記録した。打率は、規定打席未満の2022年も含め、3シーズン続けて.250だ。

 守備は、一塁と三塁のどちらも得意ではない。レンジャーズの内野両コーナーには、それぞれ、ナサニエル・ロウジョシュ・ヤングがいるので、バーガーは主にDHとして起用されると思われる。盗塁は、通算344試合で成功と失敗が2度ずつしかない。

 言ってみれば、1ツール・プレーヤーに近い、ということだ。

 それでも、バーガーが加わり、来シーズンのラインナップには、ここ2シーズンに60本塁打以上の選手が3人並ぶ。バーガー以外の2人は、64本塁打のアドリス・ガルシアと63本塁打のコリー・シーガーだ。マーカス・シミエンも、ここ2シーズンに52本のホームランを打っている。

 また、バーガーは、来シーズンの開幕直後に29歳の誕生日を迎えるが、FAになるのは2028年のオフだ。レンジャーズは、ここから4シーズン、バーガーを保有できる。今オフは、年俸調停の申請権すら持っていない。

 2ポジションのバックアップになり得るのも、プラスだろう。ロウとヤングのどちらが離脱した場合も、代わって守備につくことができる。MLB.comが9月に掲載したクリスティーナ・デ・ニコラの記事によると、バーガーは、マーリンズでリーダーシップも発揮していたという。

 そう考えると、いずれもトップ・プロスペクトではない3人との交換は、レンジャーズにとって、悪くない取り引きのように見える。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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